7月14日頃、トヨタ車の急加速事故は大半が運転ミスによるものだったという報道がありました。ただし、年初の洪水のような報道に比べるとごく「控えめ」なものでした。以下は同日の毎日JPの記事です。
『米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は13日、トヨタ自動車の急加速問題で、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)がトヨタ車を調査した結果、急加速による事故の原因は大半がドライバーの運転ミスだった可能性が高いことが分かった、と報じた。
NHTSA関係者の話として報じたもので、事故を起こしたトヨタ車から数十台を選び、車載の事故データ記録機(EDR)を解析した結果、大半の事例でアクセルが全開の状態だったほか、ブレーキも使用されていなかった。NHTSA関係者は「ドライバーがブレーキを踏もうとして誤ってアクセルを踏み込んだことを示している」と分析したという。
(中略)米科学アカデミーへのNHTSAからの報告によると、トヨタ車の欠陥が原因で死亡事故につながったと立証できたケースは、これまでのところ昨年8月にカリフォルニア州で高級車レクサスが暴走し、乗っていた一家4人が死亡した事故の1件だけだという。
ただし、アクセルペダルが戻りにくくなっていた欠陥とフロアマットに引っ掛かるケースは、急加速の原因につながっていた可能性があり、NHTSAは今後も調査を続ける。
トヨタ車の急加速問題をめぐっては、米議会から「速度を調節するための電子制御スロットルシステム(ETCS)の欠陥が原因ではないか」との指摘が出ていた』
より重大な問題である電子制御スロットルシステムに欠陥が見つからなかったことが判明したことによって、トヨタにかけられていた疑いの根拠の多くが失われたということになります。むろんフロアマットなどの問題が残りますが、全体の信頼性という点では年初での認識と大きな違いがあります。
年初の派手なリコール報道によってトヨタ車への信頼度は大きく低下しました。その時流に乗って、多くの評者達はトヨタの利益重視のためだとか、世界一という驕りがあったとか、まことしやかな解説をし、メディアはそれらを好んで取り上げました。これらの「解説」はトヨタの品質に問題があるという前提でなされたものですが、その前提の多くの部分は失われたことになります。改めて高尚な「解説」を伺いたいものですが、何も聞こえてきません。
派手な報道によってトヨタの信頼が大きく傷ついたのは否定できません。トヨタに不利な情報を大きく取り上げるなど、情報の「編集」が行われたかどうかはわかりませんが、結果として、センセーショナルな報道は誤った認識を生みだしました。ブレーキを踏んでも急加速したといった、実際は根拠のない事実を繰り返し大きく報道することによって事実と思わせてしまったわけです。
この度の、急加速事故の大半が運転ミスによるものだったという事実の判明は、誤った認識を改める絶好の機会なのですが、報道はウォールストリート・ジャーナルやフィナンシャル・タイムズの記事を紹介するだけの簡単なものがほとんどです。
大騒ぎを引き起こした原因が実は間違っていました、と認めたくないとは思いますが、メディア各社には報道によって傷つけたトヨタの信用の一部を回復させる責任がある筈です。
根拠のない報道によって信用を傷つけ、損害を与えたわけですから、それをふれまわった時以上の努力でもって回復に努めるのがまともな人のやり方です。いつものことながら、風評被害に対する責任感の乏しさ、そしてメディアの驕りを感じる次第です。
『米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は13日、トヨタ自動車の急加速問題で、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)がトヨタ車を調査した結果、急加速による事故の原因は大半がドライバーの運転ミスだった可能性が高いことが分かった、と報じた。
NHTSA関係者の話として報じたもので、事故を起こしたトヨタ車から数十台を選び、車載の事故データ記録機(EDR)を解析した結果、大半の事例でアクセルが全開の状態だったほか、ブレーキも使用されていなかった。NHTSA関係者は「ドライバーがブレーキを踏もうとして誤ってアクセルを踏み込んだことを示している」と分析したという。
(中略)米科学アカデミーへのNHTSAからの報告によると、トヨタ車の欠陥が原因で死亡事故につながったと立証できたケースは、これまでのところ昨年8月にカリフォルニア州で高級車レクサスが暴走し、乗っていた一家4人が死亡した事故の1件だけだという。
ただし、アクセルペダルが戻りにくくなっていた欠陥とフロアマットに引っ掛かるケースは、急加速の原因につながっていた可能性があり、NHTSAは今後も調査を続ける。
トヨタ車の急加速問題をめぐっては、米議会から「速度を調節するための電子制御スロットルシステム(ETCS)の欠陥が原因ではないか」との指摘が出ていた』
より重大な問題である電子制御スロットルシステムに欠陥が見つからなかったことが判明したことによって、トヨタにかけられていた疑いの根拠の多くが失われたということになります。むろんフロアマットなどの問題が残りますが、全体の信頼性という点では年初での認識と大きな違いがあります。
年初の派手なリコール報道によってトヨタ車への信頼度は大きく低下しました。その時流に乗って、多くの評者達はトヨタの利益重視のためだとか、世界一という驕りがあったとか、まことしやかな解説をし、メディアはそれらを好んで取り上げました。これらの「解説」はトヨタの品質に問題があるという前提でなされたものですが、その前提の多くの部分は失われたことになります。改めて高尚な「解説」を伺いたいものですが、何も聞こえてきません。
派手な報道によってトヨタの信頼が大きく傷ついたのは否定できません。トヨタに不利な情報を大きく取り上げるなど、情報の「編集」が行われたかどうかはわかりませんが、結果として、センセーショナルな報道は誤った認識を生みだしました。ブレーキを踏んでも急加速したといった、実際は根拠のない事実を繰り返し大きく報道することによって事実と思わせてしまったわけです。
この度の、急加速事故の大半が運転ミスによるものだったという事実の判明は、誤った認識を改める絶好の機会なのですが、報道はウォールストリート・ジャーナルやフィナンシャル・タイムズの記事を紹介するだけの簡単なものがほとんどです。
大騒ぎを引き起こした原因が実は間違っていました、と認めたくないとは思いますが、メディア各社には報道によって傷つけたトヨタの信用の一部を回復させる責任がある筈です。
根拠のない報道によって信用を傷つけ、損害を与えたわけですから、それをふれまわった時以上の努力でもって回復に努めるのがまともな人のやり方です。いつものことながら、風評被害に対する責任感の乏しさ、そしてメディアの驕りを感じる次第です。