噛みつき評論 ブログ版

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形式重視は愚かさの証明?

2017-10-30 08:48:43 | マスメディア
 日産自動車、スバル、神戸製鋼と大企業の不祥事が続き、朝日新聞はすべてを一面トップで報じた。おかげで品質に定評のある日本の工業製品に対する疑念が世界中に広がった。神戸製鋼のデータ改竄はモラルが問われるだけでなく現実に強度不足などの問題が起きる可能性があり、罪が深い。しかし、資格のない者が自動車の完成検査をしていたという今回の事例は現実的にはたいした問題ではない。

 日本製の自動車の品質が優れているということについては広く知られている。完成検査が不十分なためにハンドルやブレーキが効かなくなったという話は聞いたことがない。たいていの人は日本車の品質にほぼ全幅の信頼を置いている。

 スバル社長の吉永氏の発言はこの問題の核心を表している。
「(出荷した自動車について)『安全です』と言ったら(リコールの必要がなくなって)おかしくなるし、『安全ではない』と言ったらもっとおかしくなる」

 吉永氏は本音では安全だと考えているにもかかわらず、無意味なリコールをせざるを得ない状況に戸惑っておられるようである。私はスバル車に乗っているが全く不安は感じない。リコール通知が届いても、その必要はありません、と辞退するつもりである。資源の浪費だと思うからである。

 現在は部分の検査が十分されているため、完成車検査の意味が薄れているという指摘がある。制度の意味がなければ守ろうとする動機も生まれにくい。スバルは30年以上前から、日産も数十年前から「この方式」で検査を実施してきたそうである。つまり「この方式」は十分な実績があるというわけだ。

 数十年前に作られた検査の制度が現実に適合しなくなっている状況こそが問題なのだが、メディアはもっぱら違反や違法の観点からこの問題を扱っている。制度を守らなくても安全な自動車が生産できるのだから、変えるべきは検査制度の方であろう。逆に気付く立場にある行政の怠慢を指摘してもよい。しかしそのような見解の記事は見つからない。大企業の不祥事、といった「伝統的な批判」が中心である。

 世の中には形式主義者と呼ばれる人たちがいる。内容よりも形式に目が行く人たちである。行為の是非を判断するのに違法の有無などの形式を基準にすれば確かに簡単である。わかりやすく、事実を深く調べる手間も省け、思考力もいらない。従ってマスコミにも適している。ただ物事の解決にはなりにくいどころか、邪魔になる可能性が高い。マスコミがもう少し多面的な見方をしていれば、一面トップで世界を驚かすような報道をしないだろう。従軍慰安婦の虚偽報道のように日本を貶めるのが朝日の方針なら話は別だか。

 所有者のわからない土地が九州ほどもあるそうだ。今回の問題と同じく法の不備がその大きい理由なのだろう。法が時代に合わなくなっていることを探し出し、課題として提示するのはマスコミの仕事のひとつである。それを受けて法を整備するのは国会の仕事である。両者が安保法制などで大騒ぎして、その機能の多くが浪費されている状況は困ったものである。法を生産・改正する国会もまた生産性を問われるべき機関である。

高齢化する左翼

2017-10-23 09:09:38 | マスメディア
 朝日新聞が17、18日に実施した世論調査によると、安倍首相に今後も首相を続けてほしいかの問いに「続けてほしい」が34%、「そうは思わない」が51%となっている。やや否定が多すぎるように思うが、その前に「自民党だけが強い勢力を持つ状況はよいことだと思いますか」という質問をするなどの「工夫」のおかげもあるだろう。そして「首相続投望まない 51%」が見出しとなっている。では誰を首相に望むのであろうか。恐らく反安倍だけで、現実的な答えを持っているのか疑わしい。

 一方、年齢別の調査では18~29歳は「続けてほしい」が49%、(中略)対して60代では「そうは思わない」が60%と大きな差がある。つまり若者は安倍支持で老人は反安倍が明確である。憲法9条の改正でも18~29歳は賛成47%に対し反対32%、70歳以上では賛成30%に対し反対44%となっている。原発への賛否も若者の多くが賛成、老人は反対が大多数であった。

 年齢別の発表は何故かこの3項目だけで、どの政党を支持するかという質問項目に対応する年齢別の発表がない。しかし上記の年齢別調査から、左派政党への支持は高齢層が多数を占めていることが推定できる。だが近いうちにこの世から消えるであろう老人が主な支持層となれば、それらの政党の未来は明るいとは言えない。それゆえ発表を控えたのであろう。知れば、左派政党の将来は暗いイメージに覆われるだろう。

 左派への支持が高齢層中心となり、若年層が保守的傾向を示すのはかなり以前から起きていることである。理由はいくつか考えられるが、もっとも大きいのはネットの普及であろう。情報の取得方法が多様になると従来の管理された大手メディア情報の影響力は相対的に低下する。ネットから多くの情報を得る層においては大手メディアに批判的な態度も育つ。本当の意味での情報の自由化である。

 もう一つは日教組の衰退が象徴するように教育現場の変化、つまり「政治教育」に熱心な教員が以前ほどいなくなったからではないかと思う。私もそうだが、今の高齢層は子供時代から左翼教育を受け、管理されたメディア情報によって育った世代である。つまり左翼思想の呪縛から逃れられなかった人が多くを占める世代である。まことに強力で、厄介な呪縛である。左翼思想にも良いところはあるが、非武装中立を信じたり、北朝鮮との対話が可能だと考えたりと、現実認識が歪んでしまうのが致命的な欠陥である。頭がおかしくなるのと同じで、宗教と似ている。

 よく引用するが「25歳のとき左翼にならない人には心がない。35歳になってもまだ左翼のままの人には頭がない」という言葉がある。言ったのはチャーチルだとされているが異論もある。どっちでもよいが、しばしばこれが使われるのはそれがよく現実を表しているからだろう。多くの左翼学生が就職すると抵抗なく資本主義社会に溶け込む事実はよく知られている。つまり彼らは35歳を待たずして変われるだけの頭があるということになる。

 一方、朝日やTBSには大勢の左翼が集まっているが、影響力の大きい幹部連中はとうに50歳を超えているだろう。35歳どころか50歳、60歳を過ぎても左翼のままの人の頭はどう考えればよいのであろう。チャーチルの言う「頭がない」以上の状態とは? ともかく戦後の長い間、強い影響力を誇った左翼は高齢化に直面し、徐々に衰退するものと思われる。社会に不必要な軋轢が減少し、意味ある争点・議論が生まれることに期待したい。

国民から憲法改正の権利を奪う

2017-10-16 09:07:38 | マスメディア

 憲法は政権が勝手なことができないように政権を縛るものである、という文言はしばしばメディアなどに登場する。まあその通りだとしよう。しかし、それではその憲法を作ったり改正したりするのは誰か、というところまでは何故か話が及ばない。かつて王権神授説というのがあったが、苦しいインチキである。現行憲法では憲法改正は国民投票によることになっているが、今まで約70年間、憲法改正の投票は実施されたことがない。

 日本国憲法第96条の1には次のように書かれている。
この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

 また総務省の資料には、憲法を改正するところが複数あった場合は
憲法改正案は、内容において関連する事項ごとに提案され、それぞれの改正案ごとに一人一票を投じることとなります。
とされている。

 国会での発議は護憲派の反対のおかげで、70年間、通ったことがない。それは国民から投票、つまり国民の意思表示の機会を70年間奪ってきたことである。国民の重要な権利を妨げてきたとも言える。

 国民の権利を声高に主張する政党やメディアが極めて重要な権利を奪ってきたのである。つまり警察が裏で犯罪を犯したり、消防が放火する、聖職者が子供を犯す(これは米国の複数のカソリック教会で数百人規模で行われていた)ようなものである。明らかな自家撞着であるにもかかわらず、この護憲派が国民の権利を奪ってきたという議論を目にすることはあまりない。

 上で触れたように憲法改正案は、内容において関連する事項ごとに提案され、それぞれの改正案ごとに一人一票を投じる、とあるので、細かな選択が可能である。決して憲法改正に賛成か反対かを迫るものではない。

 むろん護憲派が国民の権利を奪ってきたという議論はときおり目にする。しかし重要な割には周知されていない。その理由はやはりメディアにあると思う。国会の段階で憲法改正を阻止しようとする勢力にとってはそれは不都合な真実なのである。そして彼らは国会の段階で阻止しなければ国民投票によって改正される可能性を恐れているわけである。国民の権利を取り上げていることを知られないための方策なのである。

購読紙が人を支配する

2017-10-09 07:24:27 | マスメディア
 「JX通信社」が6月23日告示の東京都議会選挙を前に行った世論調査の結果が発表され、極端な結果が話題になっている。各新聞の読者ごとに小池都知事と安倍首相の支持率を調査した。調査は電話によるRDD方式で行われ、有効回答数は726人、回答の中で挙げられた購読紙は、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日本経済新聞、東京新聞、産経新聞、その他・答えない、となっている。

 調査結果によると、産経新聞読者の安倍政権支持率は86%に達し、6紙の中で際立って高かった。一方、もっとも低かったのは東京新聞読者の5%、「極端な差」が示された。読売新聞読者の43%。日経新聞読者の41%が続いた。朝日新聞、毎日新聞の読者の支持率はそれぞれ、14%、9%にとどまった。ちなみに不支持率は産経新聞読者が6%、東京新聞読者は77%だった。

 以上は産経新聞の6月21日付の記事の要約である。回答数が726人と十分とは言えないが、これ程の大差があれば少なくとも傾向を見るには十分である。安倍政権支持率は東京新聞読者の5%という数値には驚く。朝日と毎日がそれぞれ14%、9%は報道の帰結として十分納得がいく。安倍政権批判が使命とでも思っているかのような紙面だからである。反面、産経の86%も同様に安倍政権支持の紙面の結果と見てよいと思う。

 30年ほど前であるが、読者はその思想によって購読紙を選ぶのではなく、購読紙が読者の思想を決めるのだ、という一文を読んだ記憶がある。米国の誰かの発言で、雑誌に紹介されものであったと思う。上記の例で言えば、東京新聞の大部分の読者は反安倍だから東京新聞を選んだのか、それとも東京新聞を読んだために反安倍になったのか、という問題である。

 無論、どちらか一方だけということはあり得ないと思う。問題はどちらが支配的であるかである。同じ東京都民でありながらこれ程の大差が生じるのは常識的に言って新聞の影響力なしでは考えにくい。東京新聞は地方紙であるから、思想によって購読紙を選ぶという動機は考えにくい。つまり東京には右寄りの有力地方紙という選択肢は多分ないからである。また宅配制度のために親の代から継続して購読する例も多く、子供のころから影響を受ける。どちらが支配的と言えばやはり新聞の方であろう。厳密には購読紙を変更した人の思想の変化を調べるなどの調査が必要であると思うが、あまり聞いたことがない。興味ある結果が出ると思うのだが。

 新聞・テレビ・通信社は頻繁に内閣支持率、各政党支持率などの調査を実施している。その際の質問項目には内閣を支持するかといった本来の目的以外に、性別や年齢、職業、支持政党といった回答者の属性を調べる項目がある。ここに購読紙を加えて購読紙別の結果を発表してほしい。実に興味深い結果が得られると思う。メディア各社は自分の報道がどれだけ人々の考えに影響を与え、世論に影響を与えているかを知り、多少なりともその責任の重さを自覚するだろう。個人が好き放題に言うのと違って、組織的かつ大規模に人々の考えを強引に曲げるわけだから。2009年にはその「無責任な軽口」が民主党政権を誕生させる大きな力になった。民主党はその失敗のためにいま滅ぼうとしているが、力を貸したメディアは知らん顔である。

食い物にされる民進党

2017-10-02 09:07:06 | マスメディア
 甘い男が、したたかな女に一杯食わされたように見える。それも政党の浮沈を決める交渉である。他人の喧嘩を見るのは楽しい。不謹慎と言われるかもしれないが、それが見物人、傍観者というものである。

 民進党の両院議員総会は、民進党が希望の党に実質的に吸収されることを満場一致で承認した。こんなにも屈辱的な話がなぜ満場一致なのか、理解できなかった。民進党には骨のある人はいないのかとも思った。しかしその後の報道を見ていると、これは前原氏が小池氏に見事にしてやられた話なのだと想像がついた。前原氏が左派を切るために確信的にやったという観測もあるが、前原氏はそこまで芝居ができる人物とは思えない。

 前原氏は民進党の衆院議員全員が希望の党に移れると思わされていたようである。その前提であったからこそ、藁をもつかみたい状況の民進党議員達は話に乗ったのだろう。前原氏の甘さ、軽率さが際立つが、話に乗った方もまあ同様である。それにしても全員を受け入れると思わせながら、後戻りできない状態にまで来させてから、「全員はさらさらない」「排除する」という言葉からは小池氏の驕りも感じられる。小池氏は一枚上というだけでなく、相当に腹黒い。まあ以上は私の推測にすぎないわけだが、これから明らかになると思う。

 前原氏は外務大臣を務めた人物である。外務大臣在とは外国と交渉するのが仕事であり、騙されるようでは話にならない。まあ民主党には他に適格者がいなかったのかもしれない。なんといっても首相が鳩山氏や菅氏なんだから。

 希望の党がブームを巻き起こし大勝することを懸念する向きがあるが、私はあまり心配していない。ブームにはメディアの担ぎ上げが必須条件だが、希望の党は憲法改正や安保法案を支持する立場なので左翼メディアの支持は弱い。また民主党を担ぎ上げて大失敗した記憶はメディアにも国民にも残っている。しかしメディアが反安倍ならなんでもいいと、感情的な、筋違いのキャンペーンをやれば若干の懸念はある。

 北朝鮮による戦争危機の現実化によって9条で平和が保たれるというリベラル派の夢想は色褪せた。それは安保法案反対を掲げた民進党の凋落の一因ともなったと思う。希望の党がやや右よりの路線を選択し、ある程度の支持を集めているのはそれが時代の変化に沿ったものであるという意味がある。より左寄りの社民党はほぼ絶滅状態、民進党も同じ道を歩んでいたように見える。しかし政治の流れは変わっても、朝日など左派メディアには変化の兆しが見えない。親和性があるのは共産党くらいだろう。初志貫徹と言えば聞こえがよいが、しつこくて頑固なだけである。

 話が飛ぶが、英国のEU離脱を問う選挙、米国の大統領選挙は予想外の結果を生んだ。同時に国民多数が望まないものを選んでしまった、という評価が根強くある。両方ともまさかそんなことはあるまい、と思った人達が投票に行かなかったことが予想外の結果を生んだわけで、間違った選挙予想を信じたことが大きいとされる。

 ならば選挙の投票日を2日間程度に分け、1日目の投票結果を発表することを提案したい(あるいは1日間のままで午前中の出口調査をすぐ発表してもよい)。1日目の結果次第では危機感を抱き2日目に投票に出かける人が増えるかもしれない。予想もしない、多数にとって不本意な結果を防ぐことはできる。サイレントマジョリティーに対する投票促進効果であり、投票率も上がるだろう。投票前に中間の得票結果を知らせることは投票行動に影響を与えるのは確かであり、種々の検討を要するが、誤った選挙予想で狂わされるよりマシだろう。