『今世紀末の地球の平均海面水位は、最近20年間と比べて最大81センチ上がり、平均気温は最大4.8度上昇すると予測した気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第1作業部会の第5次報告書案が22日、明らかになった。報告書の改定は6年ぶり。
人間の活動が原因で地球温暖化が起きている可能性は「極めて高い」(95%以上の確率)と踏み込んだ表現となっており、二酸化炭素(CO2)の排出削減が急務であることを示す内容。今後の温暖化対策の基礎資料となる。9月下旬にストックホルムで開かれる世界の科学者と政府関係者らの会合で最終調整した上で確定し、公表される(共同)』
これは8月22日の毎日新聞電子版に載ったものですが、あとはMSN産経ニュースが取り上げたくらいで、他の主要メディアは無視したようです。環境問題、とりわけ温暖化問題に熱心であった朝日とNHKが黙殺したのはちょっと腑に落ちません。IPCCの報告書案なんてどうでもよいと思っているのでしょうか。
それにしても今年の夏の暑さは格別でした。しかしこの異常な暑さを温暖化と結びつけた報道は見かけませんでした。むろん地域的、短期的な異常気象を直ちに温暖化傾向の現われと見るわけにはいきませんが、平均気温が上昇したり、最高気温が過去の記録を超えたり、日本周辺の海水温が過去にないほど上昇すれば、温暖化を示す現象のひとつになり得ます。
富士山の山麓に小さな地割れができただけで噴火の前兆だと大騒ぎするようなメディアが、この異常な高温に対して単に「暑い暑い」というだけの反応には疑問が生じます。温暖化との関係を探る報道が少しくらいあってもよさそうです。もう温暖化には飽きてしまったのでしょうか。
私の素直でない心が勘ぐりたくなるのは、原発再稼動に反対するメディアは温暖化が大きなテーマになるのを阻止したいと思っているのではないか、ということです。温暖化が緊急の課題となれば、原発再稼動の必要性が増し、反対派は劣勢となるからです。
ピュリツァー賞を受けた「銃・病原菌・鉄」はなかなか興味深い本ですが、著者の進化生物学者(地理・歴史学者ともいわれる)ジャレド・ダイアモンド氏は長期的・俯瞰的な観察に優れた人物です。朝日新聞(2012/1/3)のインタビューの中で次のように述べています(原発反対の朝日にとっては期待外れの答えであり、まさに薮蛇ですね)。
「原発事故もまた『リスクが過大評価されがちな事故』の典型例です。私たち米国人もスリーマイル島原発の事故の後、1人の死者も出なかったのに、新しい原発の建設をやめてしまいました。それはあやまちだったと思います。原子力のかかえる問題は、石油や石炭を使い続けることで起きる問題に比べれば小さい、と考えるからです」
有名人の意見だから正しいとは限りませんが、少なくとも私の意見よりはずっと信頼性が高いでしょう。それはともかく原発に対しては賛否両論があることは周知の通りです。
原発再稼動に反対という政治的主張のために、朝日やNHKが温暖化問題に触れないとしたら、それはアンフェアなやり方です。国民に判断を委ねるべきものを自分達で勝手に判断し、情報操作によって国民をその方向へ動かそうとするわけですから、ずいぶん僭越な態度と言わねばなりません。口先では民意、民意とわめきながら、その実、民主制度を骨抜きにする行為と言えるでしょう。
人間の活動が原因で地球温暖化が起きている可能性は「極めて高い」(95%以上の確率)と踏み込んだ表現となっており、二酸化炭素(CO2)の排出削減が急務であることを示す内容。今後の温暖化対策の基礎資料となる。9月下旬にストックホルムで開かれる世界の科学者と政府関係者らの会合で最終調整した上で確定し、公表される(共同)』
これは8月22日の毎日新聞電子版に載ったものですが、あとはMSN産経ニュースが取り上げたくらいで、他の主要メディアは無視したようです。環境問題、とりわけ温暖化問題に熱心であった朝日とNHKが黙殺したのはちょっと腑に落ちません。IPCCの報告書案なんてどうでもよいと思っているのでしょうか。
それにしても今年の夏の暑さは格別でした。しかしこの異常な暑さを温暖化と結びつけた報道は見かけませんでした。むろん地域的、短期的な異常気象を直ちに温暖化傾向の現われと見るわけにはいきませんが、平均気温が上昇したり、最高気温が過去の記録を超えたり、日本周辺の海水温が過去にないほど上昇すれば、温暖化を示す現象のひとつになり得ます。
富士山の山麓に小さな地割れができただけで噴火の前兆だと大騒ぎするようなメディアが、この異常な高温に対して単に「暑い暑い」というだけの反応には疑問が生じます。温暖化との関係を探る報道が少しくらいあってもよさそうです。もう温暖化には飽きてしまったのでしょうか。
私の素直でない心が勘ぐりたくなるのは、原発再稼動に反対するメディアは温暖化が大きなテーマになるのを阻止したいと思っているのではないか、ということです。温暖化が緊急の課題となれば、原発再稼動の必要性が増し、反対派は劣勢となるからです。
ピュリツァー賞を受けた「銃・病原菌・鉄」はなかなか興味深い本ですが、著者の進化生物学者(地理・歴史学者ともいわれる)ジャレド・ダイアモンド氏は長期的・俯瞰的な観察に優れた人物です。朝日新聞(2012/1/3)のインタビューの中で次のように述べています(原発反対の朝日にとっては期待外れの答えであり、まさに薮蛇ですね)。
「原発事故もまた『リスクが過大評価されがちな事故』の典型例です。私たち米国人もスリーマイル島原発の事故の後、1人の死者も出なかったのに、新しい原発の建設をやめてしまいました。それはあやまちだったと思います。原子力のかかえる問題は、石油や石炭を使い続けることで起きる問題に比べれば小さい、と考えるからです」
有名人の意見だから正しいとは限りませんが、少なくとも私の意見よりはずっと信頼性が高いでしょう。それはともかく原発に対しては賛否両論があることは周知の通りです。
原発再稼動に反対という政治的主張のために、朝日やNHKが温暖化問題に触れないとしたら、それはアンフェアなやり方です。国民に判断を委ねるべきものを自分達で勝手に判断し、情報操作によって国民をその方向へ動かそうとするわけですから、ずいぶん僭越な態度と言わねばなりません。口先では民意、民意とわめきながら、その実、民主制度を骨抜きにする行為と言えるでしょう。