10月10日(月祝)、マチ★アソビの合間を縫って、近くの徳島城公園に標記展覧会を少しだけ拝見しに行きました。
時間が少なかったので、知人の井下俊作先生の作品だけ拝見しました。先生は、ずっと「A MESSAGE TO THE EARTH」という題で制作されています。今年は、いつもの場所とは違って、徳島城の石垣の前に置かれていました。流木と棺桶からなる彫刻です。いつもの年の彫刻とは少し雰囲気の異なる作品でした。
先生にお聞きすると、吉野川河口で焦げたような流木を見つけ、専門家に聞いたらこれは焼け焦げたわけではなく「炭化流木」と言われるもので、木が土砂などに埋まって腐敗せずに炭化していく初期段階だそうです。これが進行したものが「石炭」になるといいます。それを知って驚いた先生に、作品の構想が天から降ってきました。木は、森に有る時は建築材や家具として人類の生活を支え、埋木となって石炭に姿を変えた後は、発電所や製鉄所の燃料として貢献し続けています。
石炭は、県内の火力発電所からわけて頂いてそうです。石炭の上に炭化流木を置いています。
そこに、口を開けた黒い棺桶を配置するのが、井下先生の感性の鋭いところです。この酸素と二酸化炭素のサイクルを無理に進行させすぎているのが現代の人間の文明のやり方です。流木の形が矢印になって、その先に棺桶があります。その先には人類の滅亡が待ち受けていることを、象徴的に警告しています。あえて作品は黒で統一し、それを苔むした青石の石垣の前に置くという色の取り合わせが絶妙です。石垣の上に生える松が人類に遺されたわずかな希望を表すのかもしれません。野外展の場合はこのような「借景」がポイントです。とてもお洒落な色使いだと思います。
棺桶には十字架が付いていますが、宗教とは関係ありません。宗教を超越した地球そのものの叫びに、耳を貸さねばならないことを伝えているようです。
展示は11月11日(金)までです。作品はこの他にもたくさんあります。ぜひご覧ください。