山本飛鳥の“頑張れコリドラス!”

とりあえず、いろんなことにチャレンジしたいと思います。
と思っていたけど、もうそんな年齢じゃなくなってきた。

比喩には要注意!

2007-01-29 23:54:00 | 未分類過去
柳沢厚労相が「女性は子供を産む機械・装置」というような発言をして、世の中の批判の的となっている。
確かに気分のいい喩えではない。なんか気味が悪くさえなってくる。機械というのは自然に何かを生み出すことはなく、決まった原料などを仕組んだのちに、一通りの作業を経ると最終的に物が製造完成されて出てくるというものである。そしてその機械は同じ工程を繰り返し同じものが生産されるのが普通である。そのような無味乾燥的というか、愛も夢もないような、とにかく人間を生産して人口を増やせみたいな感じがして非常にいやである。

ところで、この発言に対して辞職をしろという声も多々出ているようだ。女性議員なども皆怒っている。う~ん、確かにこの発言は不適切で人格を疑ってしまうようなものだ。
でも、辞職をするほどのことかな?と思う。別に法律を犯したわけでもないし、不正なことをしたわけでもない。誰かが損害をこうむったわけでもないだろう。そして、実際にこの人はこの言葉ほどに女性をただの機械だと思いそのように普段から扱っているかどうかは、わからない。本人が言うには、普段生産とかそういう分野のことばかりにかかわっているので、ついそのような喩えをしてしまったと言っていた。機械にたとえたからと言って、女性や赤ちゃんの人格を認めないというわけではなく、それはそれとして、人口という数字について、機械を思い描いてしまったというのは、判らなくはないような気がする。

しかし、受け取る人間の心象には十分注意しなければならないだろう。

高校1年のときだったか、現代国語の授業で「言葉」についてグループでまとめて発表するという課題がでた。
教科書には大野晋の「日本語の年輪」が載っていたが、それを機に言葉について考えようということだった。私は「言葉の魔術」という本を読んでまとめた。同じグループの男子はサボっていて全部任せるからやっといてと言ってきた。

そのとき私が「比喩」についてまとめた部分で、例としてあげたいくつかの言葉の中に「ガイコツのような人」というのがあった。まあ、「やせ細ったひと」という意味である。
しかし、全部任せたと言っていた男子がそこを見て、気もちが悪いから変えろというのだ。
そうかな~と思ったが、その男子は「犬のような人」がいいと言った。
「犬のような人」っていうのはどんな人だかよくわからないから、けっしていい例ではないが、一応言われたとおりに変えた。
「ガイコツ」の喩えがいやな人がいるなんて、私には思いもよらなかった。

だが、「犬のような人」っていうのは、中国人には絶対に言ってはいけない比喩だと数年前に初めて聞いた。人づてに聞いた話なので詳しいことはよくわからないが、「中国語を話す犬を見たことがありますか?」などという例文を中国の日本語の授業で使った日本人教師がいたそうである。
そうしたら、中国人の学生たちがそれを印刷したプリントをびりびりに破いて捨て怒って教室を出て行ったとかいうことだ。中国人にとって犬は侮蔑すべきものなのだそうだ。
それで「中国語を話す犬」というのは中国人を蔑視している極度な表現に値するのだそうだ。

だから、中国人に「犬のような人」などと言うのはさけたほうがいいだろう。もちろん中国人と一言で言ってもいろいろな人がいるから一概には言えないが、問題となり得るものはやめたほうがいい。

その日本語の先生は、当座は何が起こったのかわからなかったが、その後ワケを知り必死に謝ってなんとか許してもらったらしい。とても大変なことだったそうだ。

そのときのプリントには「空から宇宙人がおりて来たのを見たことがありますか」など、あり得ないことを書いていたらしい。日本人にとってはどっちも単にあり得ないことの例にすぎず、特別な意味はない。日本語を話す犬でもゴリラでも一向にかまわないわけだった。

日本人にとって犬は「いやしい」とか「がっついている」というような悪いイメージもなくはないが、パンダなどと変わらず「かわいい動物」というイメージが強い。

うちの次女が2歳くらいのとき、長女の幼稚園の送り迎えにいつもくっついて行っていたが、そこで長女の同級生の男の子のお母さんが、次女を見るたびに「かわいいわね。柴犬の子犬みたい」と言っていた。
ほんとうにそうだった。どうしたって、ころころしていて子犬のようである。しかし、その種類はマルチーズやパピヨンなどではなく、まさしく「柴犬」だ。親の私もそう思い、そのように言われてけっしていやな気はせず、嬉しい気分だった。
私がもともと犬好きというのもあるが、うちの子が柴犬の子犬にしかないかわいらしさと共通するものを持っていたということだ。

でも、こういうことを中国の人に言ったら大変かもしれないし、日本人でも「なんでうちの子が犬なの!」と怒る人もいるかもしれない。

比喩には要注意ですね。
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