実家母は、もうすぐ90歳になるが、この年齢までほとんど病気をしたことがない。
そして、検査をしたこともない。
一度もバリウムを飲んだことがないそうだし、胃の内視鏡検査もしたことがない。
便の潜血反応検査もしたことがなく、視力検査も聴力検査もしたことがない。心電図も取ったことが無い。乳がん検診のマンモグラフィーもやったことが無い。
静岡県の実家のある自治体では、病気のある人は無料の健康診断を受けることができないそうだ。
というのは、かかりつけの病院で治療中に検査をするからということなのだろう。
それで、持病のない母は、健康診断に行くが、この年齢で健康診断に行く人というのも珍しいようだ。
そこで、驚くことは、静岡県某市の健康診断とは、ものすごく簡単なもので血液検査と検尿と内科検診(聴診器と腹や首などを触診)と血圧、身長・体重くらいしか検査しないのだという。
レントゲンも無し、心電図もなし。
これで健康診断なのか。
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正月に実家に帰り、自分の年始の健康診断の予定を話したところ、母に、そんな検査は不要だろうと言われてしまった。
そして母は「私は何も検査したことが無いけど、こんな年まで元気にくらしてきた」という。
それは運がよかったのだろう。魚と緑茶と山菜のお陰かもしれない。
だが、身体について何も検査をしないというのもどうなんだろうか。
実際、母の妹は2人直腸がんで亡くなっているし、父方の兄弟も2人腸の癌で亡くなっている。
故郷の同級生は胃がんで60歳で亡くなってしまったが、もし胃の内視鏡検査をしていたら早期に発見できたかもしれない。
従兄妹も50代前半に乳がんだか何だかがもとで亡くなった。
だから、こまめに健康診断やがん検診をやっておくことは大切だと思う。
母は、たまたま運よく病気にならなかったということだろう。
だが、母が言うとおりに、これまでの私に手厚い健康診断が必要だったのかどうかと考えると、たしかに異常が多々見つかったものの、結局治療までは要しないものが多い。
子宮筋腫だと言われても自覚症状もなければ進行もしないので、これは知らなくても同じことである。
胃もそうかもしれない。
マンモグラフィーで左右の形が違うから異常だとされても、乳腺外来に行って再検査をするとなんでもなく、左右の形が違うのはあたりまえだが、健康診断では全部異常になってしまうとのことだった。それで、今回はマンモは受けていない。
では、健康診断を受ける必要がなかったのかというとそうではない。
40歳になる直前の頃、目視ではわからない便潜血反応が出て、腸の内視鏡検査をすると変な形のポリープがS状結腸にできていたのだ。
それを内視鏡で切除した。悪性ではなかったが、あれを放置しておいたら癌になっていた可能性がある。
その他に、やはり数年前、便潜血反応で肛門ポリープが発見され、これも3年前くらいに切除した。
こちらは、大腸の内視鏡によって出血原因が肛門ポリープであることが判明したが、内視鏡では切除できないそうで、癌化するおそれもないものとのことだったから数年放置していたが、たまに目に見えるほどの出血を起こすようになったし、便潜血反応で大腸がんとの区別ができなくなるので、肛門科で切除してきた。
このようなものは、健康診断をきっかけに発見できたものなので、そのお陰で適切な処置ができ健康を維持していると言える。
だからやはり、しっかりと多項目の検査をしておいたほうが良いと思うのである。
私は社会保険で職場の健康診断を受けているが、区の検診でも同程度の内容の健康診断が受けられるようになっている。それは東京都が裕福だからできることなのだろうか。
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静岡県は全国でも医療費が少ない県だそうだが、確かに医療にお金を使っていないことがうかがえる。
私も子どもの頃、ほとんど医者にかかったことはなく、風邪をひいたら寝ていれば治ると思っていた。
また、実家母は虫歯も全然ない人間だったが、さすがに老化によって歯が悪くなり歯医者に通うことがあるが、歯医者で歯の歯石を取るなど歯の掃除をする気が無いことに驚く。
東京の私のかかりつけでは、毎月歯垢や歯石をとってきれいにしており、黙っていてもクリーニングの予約を取るように設定されている。
静岡県では、病院に行ってもあまり治す気が無いし、手厚く面倒を見る気が無いようである。
最近、どうも具合が悪いと言って医者にかかった老人が、大丈夫だから帰宅しろと言われ帰宅したもののやはり苦しいので救急車を呼んだら、肺炎にかかっていたなんていうことがあったそうだ。
本人が苦しいと言っているにもかかわらず、悪いところがないなどというのはどういうことなのだろう。
老人だから治す気が無いのだろうか。
また、あるおじいさんが、毎年便潜血反応の検査をしていたそうだが、最近も行ったところ、医者に「もう来なくていい、症状が出てから来なさい」といわれたのだそうだ。
何のために検査なのか。
実家母も「目で見たって血なんかでてやないし、近所の人も医者にそう言われたそうだから、そんなものは不要だよ」などというのだ。
目で見えないうちに発見するためのものだろうに、医者までがおかしい。
そう言えば、静岡県の実家地方では、医療に限らず、何もかもやる気がなく、いい加減適当で、そこで育った私も、何事も後回しにしてなまけている性分だ。
医療に関しては、クリニックなども競争意識がないので、頑張って治療をしなくても、やぶでも患者が来るから適当にやっているのかもしれない。
東京に比べたらとても空いているのであるが、実家母などは1時間も待たされるのは嫌だからと言って、毎回診察も受けずに血圧の薬の処方箋を整形外科でもらってくるだけである。
手厚すぎる医療よりは良いのかもしれないが、どうも適応しにくい。