最近、印象に残った世間のニュースは、線路の融雪装置「カンテラ」に関する出来事だ。
本日1月30日の朝、JR西日本のコールセンターに「加古川線の神野駅で、線路内で物を燃やしている人がいる」という通報が入ったそうだ。
それと同時刻に、ある乗客が「線路から火が出ていたので、お茶をかけて消そうとしたが消えなかった」との連絡が入ったそうだ。
そのため、JR西日本は電車の運行を止めて、現地を確認したところ、それは前夜から線路のポイントが凍結しないように作動させていた「カンテラ」の火であり、問題がないことが判明したので、運転を再開したという。
「火を燃やしている人が居た」と言った人は、火を消そうとしていた人を見て、燃やしていると思ってしまったことがわかった。
このことによって、電車は上下5本、最大52分の遅れが起こり、350人の乗客に影響が出たそうである。
このニュース、笑ってはいけないが、ちょっと笑ってしまった。
その通報した人や火を消そうとした人は、本当に「善意の人」に違いないのである。
本当の火災だったら大変なことで、通報は重要であろう。
しかし、結果としては余計なことだったわけなのだが、なんだか私自身も知らなければ通報してしまうかもしれないと思うのだった。
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カンテラとは、大雪が降った時などに、線路のポイントの凍結を防ぐために、灯油のランプみたいなもの置いて、その炎で温めて雪を融かし、ポイントが凍らないようにするものだそうだ。
それを知ったのは、24日の大雪の日に、京都や琵琶湖のほうでカンテラを作動させなかったせいで、ポイントが凍結し、電車が止まってしまって7000人もの人が、電車に閉じ込められ大変なことになったというニュースでだった。
普通、6時間で10cmくらい雪が降るときに、このカンテラを使うそうだが、その日の予測では8cmだったので不要と考えていたらしい。
ところが、実際には15cmも降り、ポイントが凍結してしまって、電車が立ち往生した。
このカンテラというのは、人間の手で作業をしないといけないのだそうで、電車が止まってから各所に設置するには時間もかかり手遅れになってしまったそうだ。
それで、線路の上で電車が止まったまま動けず、乗客は電車に乗ったまま何時間も閉じ込められてしまったそうだ。
ある電車では、夜の8時前に線路上に止まったままで、深夜11時頃やっと乗客が線路に降りられるようになったが、遅い人は夜中の1時や2時頃になってしまい、それから20~30分歩いてやっと駅まで到着したそうだ。
この時のニュースでは、他の私鉄では電気で自動的に融雪装置が作動するようになっていて、炎ではなく電気の熱で融かす方法を行っているとのことだった。しかし、JRでは旧式の灯油ランプを人の手で設置するのでこのようなことが起こったため、今後、対処法を改善したほうが良いのではないかと言っていた。確かに、この時代にしてはかなり原始的な方法のようだ。
東京などでは、少しの雪でも、すぐに電車を止めてしまうようなので、私はカンテラや電気の融雪装置のことは知らなかった。
今年は、珍しく大寒波が訪れて西日本は大雪になったので、予測もつかないことが起こったのだろう。
そして、きっと24日のようなことが起こらないように、JRは昨夜からカンテラをつけていたのだろう。昼には消す予定だったそうであるが、今度は今度で、善良な人が火事だと勘違いしてしまって、またこんな騒動になり、電車が止まったというわけである。