東北36不動尊の一つ、宮城兼丸森町の「駒場不動尊 愛敬院」に行ってみました。
愛敬院さんは祈祷寺院ですが、ふたつの山門をくぐります。
この山門にはいわれがあります。
文政の頃、天下泰平庶民安楽を祈願しこの地の名主であった菊地大兵衛が私財を投じ建立しました。
文政6年に菊地大兵衛は、冷害飢饉・圧制に苦しむ庶民の窮状を訴えるため出里し、工事は中断となり、昭和56年の完成工事が行われるまで、未完成のままだったそうです。
農民の窮状を訴えた大兵衛は、その後捕らえられ、仙台の経ヶ峰にて死罪に処せられました。
無常な時代だったのですね。
人のために我が身を犠牲にし、この祈願寺院を後世に遺した菊地大兵衛さんの生き様を考えなると、なんか心にグッと押し寄せてくるものがあります。
梵鐘を打ちました。
余韻のさざめく音に心も共鳴します。
駒場瀧不動尊は、約1100年前、天台座主の慈覚大師が奥州鎮護霊山寺を創建し、鬼門の守りとして浄地を選び、世の平和と泰平を念じて激流岩をかこむ駒場ヶ瀧において 自ら不動尊像を刻み滝上の岩窟の中に祀られたそうです。
「中尊堂」
中央には大日如来、右には慈覚大師の尊霊と当山歴代の三界万霊等を祀られています。
左には江戸時代の末期に農民の窮状を訴え処罰された菊地大兵衛翁を祀っています。
「本堂」
中に入れました。
般若心経を読みあげ、しばらくご本尊様を見つめていました。
誰もいない本堂は、静寂に包まれてました。
愛敬院さんでは毎年5月に山伏修業体験を行っています。
愛敬院さんのホームページに詳細が掲載されていますが、今年の分はまだ受付されているようです。
私も参加してみたい気持ちはいっぱいあるのですが、岩岳の断崖絶壁に身を前のめりにする業があるらしく、それが写真で掲載されているのを見て、高所恐怖症の私に置き換えてみれば「無理無理!」という気持ちしか沸きません。情けない、情けない・・・。
さてご朱印帳を頂いた後は、しばらくの間、境内の周りを散歩することにしました。
「子安観音」
内川。
累々と重なる岩石を洗って急流や深淵がいたるところにあり、上流には高さ12mの清滝もあるそうです。
水石として価値の高い五色石の採集もできるそうですよ。
そして上流には「不動尊公園キャンプ場」もあります。
どこから来たのか?巨石がゴロリ。
清流は時には激しく、時にはゆるりと時間の止まることを知らず、流れ続けています。
自然の中にいると、だんだんと心がほどけて、子供のようにはしゃいで、そして家に帰るとなぜか少しさびしくなります。