1964年
「今シーズンはいい経験になりました。自分でもプロの水は決して甘くないんだと思ってはいましたが、大学とプロの差がこんなにあるとは思わなかった。練習する時間がなかった。といいわけにはしたくない。とにかく来シーズンこそは、また一年生になったつもりで一からやり直します」竜はこういって今シーズンを振り返っている。法大時代、山崎(東映)と並んで神宮で鳴らし、今シーズンは小野につぐ左腕の本格派投手として期待された竜も、芳ばしい成績ではなかった。わずか10試合にリリーフばかりで登板、9回1/3を投げただけで自責点8と全くの不振にあえぎ、ワン・シーズンを棒に振ってしまった。
「スタートでつまずいたこともあるが、練習不足でシーズンにはいってしまったため、フォームがまとまらず、逃げのピッチングをしたのが一番の原因だ。そのため本来上から投げていた腕が下に下がって、スピードが出なかった。だから右打者特有の打者のひざ元に食い込むタマにもキレがなかった」と不振の原因を説明している。今シーズン、竜は大学の卒業試験のためハワイ・キャンプへも途中から参加、調整の遅れがそのままフォームのくずれに結びついて、公式戦まで響いたというわけだ。竜以上の期待はずれに終わった山崎の場合と、全く同じ格好だ。六大学時代から竜のピッチングは本格派といえるほどのものではなかった。上背もなく、シュート、カーブなどの変化球にしても、絶対的なウイニング・ショットといえる切れ味がなかった。しいていえば、球質が重いこと、ピンチにも力まない冷静さが彼のピッチングを支えていたといえた。「大学時代はカーブに自信を持っていたので、勝負どころではカーブを使っていたが、、変化球に頼るのでは寿命が短い。これからは真っ向から速球で勝負出来る投手になりたい」と目標を立てていた。しかしことしは体調の遅れとこの大きな目標がぶつかって、かえって禍いした格好になったようだ。本格派投手という目標はいいとしても、急速に生まれ変われるものではない。竜は竜なりの持ち味を生かせば、根性があるだけにもっと活躍出来たに違いない。「一からやり直す・・」という竜の来シーズンに期待したい。おそらく来年こそは山崎ー竜の投げ合いが見られるだろう。プロ入りして期待の選手が崩れたりみずから潰れるのは根性に由来することが多い。この点、チーム力からいっても、左腕に期待するところの多い東京では、竜の一本立への期待は大きい。
「今シーズンはいい経験になりました。自分でもプロの水は決して甘くないんだと思ってはいましたが、大学とプロの差がこんなにあるとは思わなかった。練習する時間がなかった。といいわけにはしたくない。とにかく来シーズンこそは、また一年生になったつもりで一からやり直します」竜はこういって今シーズンを振り返っている。法大時代、山崎(東映)と並んで神宮で鳴らし、今シーズンは小野につぐ左腕の本格派投手として期待された竜も、芳ばしい成績ではなかった。わずか10試合にリリーフばかりで登板、9回1/3を投げただけで自責点8と全くの不振にあえぎ、ワン・シーズンを棒に振ってしまった。
「スタートでつまずいたこともあるが、練習不足でシーズンにはいってしまったため、フォームがまとまらず、逃げのピッチングをしたのが一番の原因だ。そのため本来上から投げていた腕が下に下がって、スピードが出なかった。だから右打者特有の打者のひざ元に食い込むタマにもキレがなかった」と不振の原因を説明している。今シーズン、竜は大学の卒業試験のためハワイ・キャンプへも途中から参加、調整の遅れがそのままフォームのくずれに結びついて、公式戦まで響いたというわけだ。竜以上の期待はずれに終わった山崎の場合と、全く同じ格好だ。六大学時代から竜のピッチングは本格派といえるほどのものではなかった。上背もなく、シュート、カーブなどの変化球にしても、絶対的なウイニング・ショットといえる切れ味がなかった。しいていえば、球質が重いこと、ピンチにも力まない冷静さが彼のピッチングを支えていたといえた。「大学時代はカーブに自信を持っていたので、勝負どころではカーブを使っていたが、、変化球に頼るのでは寿命が短い。これからは真っ向から速球で勝負出来る投手になりたい」と目標を立てていた。しかしことしは体調の遅れとこの大きな目標がぶつかって、かえって禍いした格好になったようだ。本格派投手という目標はいいとしても、急速に生まれ変われるものではない。竜は竜なりの持ち味を生かせば、根性があるだけにもっと活躍出来たに違いない。「一からやり直す・・」という竜の来シーズンに期待したい。おそらく来年こそは山崎ー竜の投げ合いが見られるだろう。プロ入りして期待の選手が崩れたりみずから潰れるのは根性に由来することが多い。この点、チーム力からいっても、左腕に期待するところの多い東京では、竜の一本立への期待は大きい。