1963年
川上監督は、いま小永井に首ったけである。小永井(こながいと読む)という名の選手などあまりなじみはないが、今シーズン、横浜南高から入団した新人である。ポジションは捕手だが、川上監督は「二年間が勝負だ。その間に一軍に入れなかったらクビを覚悟しろよ」とハッパをかけている。川上監督としては、外野手に転向させて、手薄な外野陣を充実させる計画らしい。1メートル81、78キロという体格だから、鍛え方いかんではクリーンアップも打てる素質を持っている。ところがこの小永井はちょっと変わった経歴の持ち主なのである。中学時代に日本ボーイスカウトの代表としてフィリピンのマニラへ行ったことがあるその上、野球をはじめてからこんにちまで、ファーストミットかキャッチャーミットしか持ったことがないという。「だから、監督さんから外野をやれといわれたときには、どうも打つほうより守るほうが不安でなりませんでした。小学校のころはファーストミットを持ったまま投手をやったんです。脚力と打撃には少し自信があるんですが・・・」と控えめながらも張り切っている。
川上監督は、いま小永井に首ったけである。小永井(こながいと読む)という名の選手などあまりなじみはないが、今シーズン、横浜南高から入団した新人である。ポジションは捕手だが、川上監督は「二年間が勝負だ。その間に一軍に入れなかったらクビを覚悟しろよ」とハッパをかけている。川上監督としては、外野手に転向させて、手薄な外野陣を充実させる計画らしい。1メートル81、78キロという体格だから、鍛え方いかんではクリーンアップも打てる素質を持っている。ところがこの小永井はちょっと変わった経歴の持ち主なのである。中学時代に日本ボーイスカウトの代表としてフィリピンのマニラへ行ったことがあるその上、野球をはじめてからこんにちまで、ファーストミットかキャッチャーミットしか持ったことがないという。「だから、監督さんから外野をやれといわれたときには、どうも打つほうより守るほうが不安でなりませんでした。小学校のころはファーストミットを持ったまま投手をやったんです。脚力と打撃には少し自信があるんですが・・・」と控えめながらも張り切っている。