1974年
ジンクスはこの世界につきもの。左打者が多いというわけでなk、阪急は下手投げを苦手にしている。昨年夏の甲子園大会に駒を進めた札幌商のエース佐藤をみてロッテ・スカウト陣の気持ちははずんだ。巨人も食指と聞き込んだので同球団はドラフト一位指名、すんなり入団させることができたのである。舞台はかわる。一月三十一日ロッテの宿舎鹿児島・サンロイヤル・ホテルで歓迎レセプションがひらかれていた。いの一番北国民謡のノドを聞かせたのがルーキーの佐藤だ。「ええツラがまえしとるのう」相好をくずしたのは金田監督だった。昨年のキャンプでがむしゃらにスキヤキをばくつく弘田をみて「ええ食欲しとる」とカネやんは感心した。その弘田は押しも押されもせぬスター。佐藤が成功すれば、金田監督を感心させた選手はロッテのスターになれる新ジンクスが誕生するかもしれない。三日は暖かい日だったので佐藤がはじめてブルペンに立った。大投手カネやんが横にいるので心臓男もさすがに緊張した。「ええリストしとるやないか」といわれてペコリと頭を下げた。「自主トレには両親が東京までついてきてくれたんですが、、神宮外苑を走らされてアゴを出した。プロはきついなあと思いましたよ。でもいまは平気です。なにしろ南国は暖かい」白い歯をみせた佐藤は178㌢、80㌔、上背はたいしたことはないが、北国で鍛えた体ががっちりしている。高木ピッチングコーチは「プロ四、五年生のものおじしない態度、重いタマでコントロールがいい。うちはよそと違って新人だからといって一年間は調整なんてことはしない。よかったら本番にどしどし投げさせる」という。下手投げのルーキーが売り出すかどうか。
ジンクスはこの世界につきもの。左打者が多いというわけでなk、阪急は下手投げを苦手にしている。昨年夏の甲子園大会に駒を進めた札幌商のエース佐藤をみてロッテ・スカウト陣の気持ちははずんだ。巨人も食指と聞き込んだので同球団はドラフト一位指名、すんなり入団させることができたのである。舞台はかわる。一月三十一日ロッテの宿舎鹿児島・サンロイヤル・ホテルで歓迎レセプションがひらかれていた。いの一番北国民謡のノドを聞かせたのがルーキーの佐藤だ。「ええツラがまえしとるのう」相好をくずしたのは金田監督だった。昨年のキャンプでがむしゃらにスキヤキをばくつく弘田をみて「ええ食欲しとる」とカネやんは感心した。その弘田は押しも押されもせぬスター。佐藤が成功すれば、金田監督を感心させた選手はロッテのスターになれる新ジンクスが誕生するかもしれない。三日は暖かい日だったので佐藤がはじめてブルペンに立った。大投手カネやんが横にいるので心臓男もさすがに緊張した。「ええリストしとるやないか」といわれてペコリと頭を下げた。「自主トレには両親が東京までついてきてくれたんですが、、神宮外苑を走らされてアゴを出した。プロはきついなあと思いましたよ。でもいまは平気です。なにしろ南国は暖かい」白い歯をみせた佐藤は178㌢、80㌔、上背はたいしたことはないが、北国で鍛えた体ががっちりしている。高木ピッチングコーチは「プロ四、五年生のものおじしない態度、重いタマでコントロールがいい。うちはよそと違って新人だからといって一年間は調整なんてことはしない。よかったら本番にどしどし投げさせる」という。下手投げのルーキーが売り出すかどうか。