1969年
広島が一位に指名した日鉱日立の投手、千葉剛(22)も本格派の投手だが、だれも第一位に指名されるとは予想していなかった選手の一人である。なにしろ、本人も「ビックリしましたよ。なんでボクが第一位に指名されるんですか」と首をかしげっぱなしだった。千葉は剛という名に似つかわしく186㌢、75㌔と優れた体格の持主で、投げ下ろす速球が、ズバリと決まるときは、大物!という感じを与えるが、それが長続きしない。その速球がバッターにミートされてしまうのだ。それはカーブが甘くコントロール難だからである。正直いって、果たしてプロですぐ通用するかどうかの疑問は晴れない。ある評論家が「広島は千葉の身長で相手をおどろかそうというのじゃないか」と冷やかしていたが、186㌢という巨体は、巨人の金田がやめた今日では外人選手を除いては、プロ球界一、二位を争うもので、この冷やかしも一理はある。だが、広島の実情を見たときは、千葉にかける期待は大きいものがあるはず。「外木場、安仁屋ともに力が衰えつつある。どうしても連投は無理だ。なんとか柱になる投手が欲しい」と根本監督はじめ各コーチはいっている。それだけに一軍入りは間違いなく、来シーズン早くから登板しそうだ。そのチャンスをうまくつかめば、体格のよい本格派だけに一気にスパートするかもしれない。