1977年
日本ハムからドラフト指名を受けていた谷村工高の山本桂選手は八日、同校で球団側と正式に契約を取り交わした。山本選手は来年六月ごろ、米大リーグ・ニューヨークヤンキースの野球留学候補の一人に挙げられ、将来、大型内野手に予定されている。
山本選手は、都留二中から本格的に野球を始め中学時代は投手で、一年生からレギュラー。谷村工高では投手とライトを守り、三、四番を打っていた。チームの球運に恵まれず全国大会などへの出場経験はないが、大物打者として早くから注目され、ことし六月ごろからプロ野球の全球団のスカウトが訪れていた。先のドラフト会議では、日本ハムが三位で指名、交渉権を得ていた。八日は午後二時から同校応接室で、契約を済ませた後、記者会見をした。嘉村春男校長、長田実野球部監督、丸尾千年次スカウト顧問、父親・貢さん(54)=建設業=に囲まれた山本選手は「ドラフト前からプロに行きたかった。中日の大島選手が好きで、入る限りは全力を尽くしてレギュラーを目指す」と緊張気味に語った。丸尾スカウト顧問は「大型内野手として、サードのコンバートを考える。六月ごろ予定しているニューヨークヤンキースへの留学候補の一人である」と将来の構想を話した。同選手は来年二月の春のキャンプに参加する予定。同選手の契約金は千五百万円、年棒百八十万円(いずれも推定)、ことしの県内高校球児のプロ入りは都留高・佐々木伸投手の広島入団に次いで二人目、日本ハムには都留高ー立大出身の矢頭高雄コーチがいる。
山本桂(やまもとかつら)選手 身長183㌢、体重78㌔、右投げ右打ち。高校時代の公式戦通算打率は約3割、本塁打は場外ホーマーを含む5本。都留市つる二丁目。
丸尾千年次・日本ハムスカウト顧問の話 すべてが未完成だが、俊足でバッティング、肩がよい。選手としてすべての面を備えている素材である。五、六位の指名が順当なのだが、三位指名にした。
長田実・谷村工監督の話 素質はある。甘い考えでなくピチッとした考えを持ち、レギュラーになって欲しい。谷村工の野球の発展につながる。
父親・山本貢さんの話 本人の希望通りにさせる考えだった。プロに入ってからは、一生懸命に練習してレギュラーになって欲しい。
嘉村春男校長の話 学校として初めてのことで喜んでいる。プロの世界は厳しいが、初心を固めて名前をあげて欲しい。