想風亭日記new

森暮らし25年、木々の精霊と野鳥の声に命をつないでもらう日々。黒ラブは永遠のわがアイドル。

夢を観るには…

2015-10-14 19:50:09 | Weblog
腹が減っては夢を観ることができない。
さりとて腹いっぱいでは夢など観まい。

寝てみる夢とちがって、起きてなお観る夢は
そこそこ力が要る。
アミノ酸が不足した身体は適さない。
なのでタンパク質豊富な食物をとりあえずは
いただこうと…、豆腐と納豆があるはず、
…はずの冷蔵庫にそれがない…。
食べてしまったからである、な。
あいにく納豆もない…。

豆腐好きで思い出したのは、池波正太郎の
「藤枝梅安」の彦次郎、彦さんである。
鍋に豆腐を入れてあったまるのを待っている
時の彦さんの自慢気な満足そうなうれしげな
顔を思い浮かべることができる。
梅安は殺しの話なのだが、ふたりが仕事を終えた
あとに鍋をはさんで語りあっている場面の方しか
思い浮かばない。
人に戻ったときのふたりの顔だ。



殺しを請けて生業としても、夢はある。
いや、夢があるからそれを全うする男たちだ。
悪人を手にかけることが、おのが夢を果たす
ことにはなるなどと思うほど勝手ではない。
しかし悪と対峙する側に己を置いておくことを
選んだ小さな抵抗である。
されど、そのわずかな抵抗も所詮、人の欲得に
からんだことにすぎない。けっきょくのところ
湯豆腐の真っ白なやわらかな、湯気をみながら
何も思わぬ時間が続くことが夢である。
夢のまた夢である。

思うことが多すぎて、書くには重すぎて
とりとめなく夢談義などに逸れているけれど。
東京から戻ってみると、紅葉の森庭が夢は
ここ、ここ、と言っておりました。


コメント
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