久々の積雪
10年は瞬く間
あのとき生まれた子が10才
健やかに育つことだけを
切に祈られた子ら
故郷の雨、雪、風から逃れた
母親の命を糧に
遠い故郷の雪を知らずに
真白き野を見ずに 10年
いつかその足で、母の大地を踏みしめよ
利休梅の枯れ枝の先に牡丹のような雪。木股にも。
陽射しの温みで少し融け
またすぐに吹き始めた寒風で氷粒になる。
夕暮れてさらに冷え
夜に再び粉雪が
夜半に庭先が明るいので見上げると皓皓と月の光
朝焼けのなか 昨日より膨らんだ木俣や枝先の雪牡丹
朝焼けのなか 昨日より膨らんだ木俣や枝先の雪牡丹
触れると ハラっと崩れた真っ白
真冬、一段と美しさを増す森
人は去り野生のみ 生まれながらを
生きている
10年は瞬く間
あのとき生まれた子が10才
健やかに育つことだけを
切に祈られた子ら
故郷の雨、雪、風から逃れた
母親の命を糧に
遠い故郷の雪を知らずに
真白き野を見ずに 10年
いつかその足で、母の大地を踏みしめよ