雨のつぶつぶ
夏の名残りを洗い流して
雨上がりで水量が増えたせせらぎに赤い実がこぼれる
門扉脇に植えてあった秋明菊を夏草と一緒に刈り取ったひとが
申し訳ないからと花苗を買ってきて植えた2年目の秋明菊がやさしく揺れる
とりわけ目をかけたわけでもない白いペネロープは律儀に咲きつづけ、未練を慰める
夏のあいだ繁りすぎた木を伐採した。
枝下ろし、片付けに二ヶ月。
森庭の空が広くなった。歩きながら積み上げた丸太の使い道を考える。
ベンチを所望、散歩の途中、寝転んでいたベンチ、
かつてあったそれは2011春以来、深く深く土の下。
新しいベンチであと十数年、ここであそぶ
風邪が長引いたせいか体力が戻らず鬱々としていた。
三ヶ月ぶり、ようやく母を訪ねた。
うつらうつら、ゆらゆらと眠っていた。
ねむりながらわたしの手を握り、撫でてくれた。
すべらかな白い手で。
目が覚めて、お母さんの手はきれいね、わたしよりずっと。
力仕事をしなくなったからねえ、と言う。
ちからしごと、たしかにお母さんはずっとはたらいてきたね。
小さな身体から力を出し切って、いつも、惜しみなく。
どんな言葉より、幸運より、尊い。
その存在が、生きた時間に触れることが
わたしを明るくする。
深い悲しみごと、ぜんぶ淡く溶け
透明な光に抱かれているようだ。
夏の名残りを洗い流して
雨上がりで水量が増えたせせらぎに赤い実がこぼれる
門扉脇に植えてあった秋明菊を夏草と一緒に刈り取ったひとが
申し訳ないからと花苗を買ってきて植えた2年目の秋明菊がやさしく揺れる
とりわけ目をかけたわけでもない白いペネロープは律儀に咲きつづけ、未練を慰める
夏のあいだ繁りすぎた木を伐採した。
枝下ろし、片付けに二ヶ月。
森庭の空が広くなった。歩きながら積み上げた丸太の使い道を考える。
ベンチを所望、散歩の途中、寝転んでいたベンチ、
かつてあったそれは2011春以来、深く深く土の下。
新しいベンチであと十数年、ここであそぶ
風邪が長引いたせいか体力が戻らず鬱々としていた。
三ヶ月ぶり、ようやく母を訪ねた。
うつらうつら、ゆらゆらと眠っていた。
ねむりながらわたしの手を握り、撫でてくれた。
すべらかな白い手で。
目が覚めて、お母さんの手はきれいね、わたしよりずっと。
力仕事をしなくなったからねえ、と言う。
ちからしごと、たしかにお母さんはずっとはたらいてきたね。
小さな身体から力を出し切って、いつも、惜しみなく。
どんな言葉より、幸運より、尊い。
その存在が、生きた時間に触れることが
わたしを明るくする。
深い悲しみごと、ぜんぶ淡く溶け
透明な光に抱かれているようだ。