若年寄の遺言

リバタリアンとしての主義主張が、税消費者という立場を直撃するブーメランなブログ。面従腹背な日々の書き物置き場。

総合計画の基本構想のみを議決対象としたい自治体へ

2011年11月11日 | 地方議会・地方政治
地方自治法が改正されて総合計画の策定義務が無くなり、基本構想は議決事件から外された。以前、当ブログにて、議決事件として「総合計画の策定」を挙げている議会基本条例、自治基本条例を紹介したが、自治基本条例もない、議会基本条例もない、議決事件に関する条例も持っていない自治体はきっと多いことだろう。

そういう自治体が、従来どおり議決を経て総合計画の基本構想を策定しようとするのであれば、次のような条例を新規に制定しないといけない。


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   地方自治法第96条第2項の規定による議会の議決すべき事件を定める条例(案)
(趣旨)
第1条 この条例は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第96条第2項の規定により、議会の議決すべき事件を定めるものとする。
(議決事件の指定)
第2条 議会の議決すべき事件は、次のとおりとする。
 (1) 総合的かつ計画的な市行政の運営を図るための基本構想の策定、変更又は廃止をすること。
   附 則
 この条例は、公布の日から施行する。

============


仮に、こうした条例を制定しないまま、基本構想を議案として議会に提出した場合、どうなるのか。この議案は提出の根拠を持たないものであるから、これに対する議決は無効というか、無意味である。この議決は基本構想に対する機関意思を示すだけであり、基本構想の成立・不成立には何ら影響しない。


(・・・案を作ってみて、
「条建てにする必要はないかな」
「号が一つしかないから、号にする必要ないかな」
とも思ったので、もし実際に使う場合は各自治体のスタイルに合わせてほしい。)


ちなみに、改正自治法の成立は平成23年5月。これ以前に制定された条例では、基本構想が法律上の議決事件となっていたことを前提として、
「地方自治法第2条第4項に定める基本構想に基づく基本計画」
と、基本計画を追加した形で議決事件を定めている。

これから条例を制定して、基本構想のみを議決事件にしようと考えている自治体が、平成23年5月より前に制定された他団体の条例をコピーするとおかしなことになるので、注意が必要だ。

また、基本計画を議決事件として追加している自治体の議会会議録を見てみると、その多くが議員提案となっている。「法律で定められた基本構想だけでなく、基本計画についても関与したい」という議員の思いが表れたものと推察する。

自治法が改正された、でも従来どおり基本構想のみ議決を経て策定したいと考えているのであれば、首長提案とすることをお勧めする。議員提案条例となったら、きっと基本計画も議決事件に加えた形になってしまうだろう。




そもそも、地方自治法が改正されて、総合計画の策定義務が無くなったのだから、総合計画の必要性そのものをしっかりと議論してほしい。作るだけ作ったけど、実際には職員も議員も首長も誰も見ないような計画なら、自治法改正を機会に策定を止めてしまった方が良い。無駄な計画策定は、コンサルを喜ばせるだけだ。
コメント (2)
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