地方自治法が改正された。
政務調査費が政務活動費に名前を変えた。
そして、支出の対象が、
議員の調査研究+「その他の活動」
に広がった。
・・・何だ、「その他の活動」って?
改正後の条文を見る限り、条例で定めさえすれば、議員の政治活動や個人的な活動にも政務活動費を支出できることになる。どうも、全国都道府県議会議長会からの要請で、政務活動費に関する修正が追加されたらしい。
・・・余計なことを。
従来の政務調査費のあり方について、個人的には、調査研究というインプット作業の一環としての
・研究会や研修会の開催経費、参加経費
・先進地調査、現地調査のための旅費
・図書、資料等の購入代金
は、まぁ有りとしても、
・議会活動や行政の政策を広報するための印刷代、集会経費
・調査研究をするための事務所家賃、調査員の人件費
は、好ましくないと思っていた。
広報活動や事務所、調査員などは、選挙活動と表裏のものだからだ。
議員個人で発信する議会活動の広報は、
「私が当局に働きかけて、一般質問をして、○○が実現しました」
的な、選挙を視野に入れた支持者・支援団体向けの手柄話、宣伝に流れがちになる。
また、事務所や調査員については
「調査研究のための事務所や人員だ」
と言っても、そのまま政治活動や個人的な活動に流用できる。
インプットの活動は、議員としての政務調査とそれ以外の活動との線引きが容易だが、アウトプットの活動や事務所費、人件費を線引きするのは困難だ。
資料代、研修参加費といったインプットものであれば、領収書を見ればすぐ適正かどうかが分かる。図書でマンガを買っていれば、一目でアウトだと分かる。
しかし、
「事務所の家賃や電気代、ガソリン代の総額のうち、政務調査に3割、政治活動に5割、個人的に2割使ったから、政務調査費から3割分を支出しました」
と言われても、それが妥当ななのかどうかは分からない。
不正支出が続き、「第二の議員報酬」との批判が強く、市町村の中では廃止の流れが強かった政務調査費。それが、支出範囲を限定し明示する方向ではなく、漠然とした支出範囲の拡大を許容する形で地方自治法が改正された。おそらく、全国都道府県議会議長会に関わる者以外にとっては、寝耳に水の話だろう。
政務調査費の目安、相場は、
市議会の場合は月額数万円、
県議会の場合は月額数十万円、
となっている。
都道府県議会の連中が、月額数十万円を返還することなく消化できるようにするため、国に法改正を働きかけて実現した、というのが、今回の地方自治法改正の中身なのだろう。県条例の定め方次第では、県議会議員が所属政党の党大会に出席するための費用を政務活動費から合法的に支出することもできるようになる。
都道府県議会は、市町村議会のように、政務調査費を廃止しようとは考えもしなかったんだろう。そりゃ、欲深で無能な都道府県議会議員どもが、月額数十万円、年間1000万円を超えるような収入を自ら手放すはずがない。
地方自治法第100条(改正前)
==========
14 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務調査費を交付することができる。この場合において、当該政務調査費の交付の対象、額及び交付の方法は、条例で定めなければならない。
15 前項の政務調査費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。
==========
↓
下記法律案の修正案(平成24年8月29日可決)
議案 閣法 第180回国会 60 地方自治法の一部を改正する法律案に対する修正案
=====【引用ここから】=====
第百条第二項中「定が」を「定めが」に、「外」を「ほか」に、「前項」を「前項後段」に、「但し」を「ただし」に改め、同条第三項中「第一項」を「第一項後段」に、「禁錮(こ)」を「禁錮」に改め、同条第十四項中「調査研究」の下に「その他の活動」を加え、「政務調査費」を「政務活動費」に改め、「方法」の下に「並びに当該政務活動費を充てることができる経費の範囲」を加え、同条第十五項中「政務調査費」を「政務活動費」に改め、同項の次に次の一項を加える。
議長は、第十四項の政務活動費については、その使途の透明性の確保に努めるものとする。
=====【引用ここまで】=====
↓
地方自治法第100条(改正後)
==========
14 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務活動費を交付することができる。この場合において、当該政務調査費の交付の対象、額及び交付の方法並びに当該政務活動費を充てることができる経費の範囲は、条例で定めなければならない。
15 前項の政務活動費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務活動費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。
16 議長は、第十四項の政務活動費については、その使途の透明性の確保に努めるものとする。
==========
議会機能の充実強化を求める緊急要請 平成22年1月21日 全国都道府県議会議長会
=====【引用ここから】=====
3)議会機能の充実強化及び地方議会議員の責務の明確化に伴い、議員又は会派が住民意思を踏まえた活動を展開する上で必要な制度として、現在法文上調査研究活動に特化されている政務調査費制度を見直し、政策立案、議員活動の説明等を加え、幅広い議員活動又は会派活動に充てることができることを明確にするよう法律改正を行うこと。
=====【引用ここまで】=====
政務調査費が政務活動費に名前を変えた。
そして、支出の対象が、
議員の調査研究+「その他の活動」
に広がった。
・・・何だ、「その他の活動」って?
改正後の条文を見る限り、条例で定めさえすれば、議員の政治活動や個人的な活動にも政務活動費を支出できることになる。どうも、全国都道府県議会議長会からの要請で、政務活動費に関する修正が追加されたらしい。
・・・余計なことを。
従来の政務調査費のあり方について、個人的には、調査研究というインプット作業の一環としての
・研究会や研修会の開催経費、参加経費
・先進地調査、現地調査のための旅費
・図書、資料等の購入代金
は、まぁ有りとしても、
・議会活動や行政の政策を広報するための印刷代、集会経費
・調査研究をするための事務所家賃、調査員の人件費
は、好ましくないと思っていた。
広報活動や事務所、調査員などは、選挙活動と表裏のものだからだ。
議員個人で発信する議会活動の広報は、
「私が当局に働きかけて、一般質問をして、○○が実現しました」
的な、選挙を視野に入れた支持者・支援団体向けの手柄話、宣伝に流れがちになる。
また、事務所や調査員については
「調査研究のための事務所や人員だ」
と言っても、そのまま政治活動や個人的な活動に流用できる。
インプットの活動は、議員としての政務調査とそれ以外の活動との線引きが容易だが、アウトプットの活動や事務所費、人件費を線引きするのは困難だ。
資料代、研修参加費といったインプットものであれば、領収書を見ればすぐ適正かどうかが分かる。図書でマンガを買っていれば、一目でアウトだと分かる。
しかし、
「事務所の家賃や電気代、ガソリン代の総額のうち、政務調査に3割、政治活動に5割、個人的に2割使ったから、政務調査費から3割分を支出しました」
と言われても、それが妥当ななのかどうかは分からない。
不正支出が続き、「第二の議員報酬」との批判が強く、市町村の中では廃止の流れが強かった政務調査費。それが、支出範囲を限定し明示する方向ではなく、漠然とした支出範囲の拡大を許容する形で地方自治法が改正された。おそらく、全国都道府県議会議長会に関わる者以外にとっては、寝耳に水の話だろう。
政務調査費の目安、相場は、
市議会の場合は月額数万円、
県議会の場合は月額数十万円、
となっている。
都道府県議会の連中が、月額数十万円を返還することなく消化できるようにするため、国に法改正を働きかけて実現した、というのが、今回の地方自治法改正の中身なのだろう。県条例の定め方次第では、県議会議員が所属政党の党大会に出席するための費用を政務活動費から合法的に支出することもできるようになる。
都道府県議会は、市町村議会のように、政務調査費を廃止しようとは考えもしなかったんだろう。そりゃ、欲深で無能な都道府県議会議員どもが、月額数十万円、年間1000万円を超えるような収入を自ら手放すはずがない。
地方自治法第100条(改正前)
==========
14 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務調査費を交付することができる。この場合において、当該政務調査費の交付の対象、額及び交付の方法は、条例で定めなければならない。
15 前項の政務調査費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務調査費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。
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↓
下記法律案の修正案(平成24年8月29日可決)
議案 閣法 第180回国会 60 地方自治法の一部を改正する法律案に対する修正案
=====【引用ここから】=====
第百条第二項中「定が」を「定めが」に、「外」を「ほか」に、「前項」を「前項後段」に、「但し」を「ただし」に改め、同条第三項中「第一項」を「第一項後段」に、「禁錮(こ)」を「禁錮」に改め、同条第十四項中「調査研究」の下に「その他の活動」を加え、「政務調査費」を「政務活動費」に改め、「方法」の下に「並びに当該政務活動費を充てることができる経費の範囲」を加え、同条第十五項中「政務調査費」を「政務活動費」に改め、同項の次に次の一項を加える。
議長は、第十四項の政務活動費については、その使途の透明性の確保に努めるものとする。
=====【引用ここまで】=====
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地方自治法第100条(改正後)
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14 普通地方公共団体は、条例の定めるところにより、その議会の議員の調査研究その他の活動に資するため必要な経費の一部として、その議会における会派又は議員に対し、政務活動費を交付することができる。この場合において、当該政務調査費の交付の対象、額及び交付の方法並びに当該政務活動費を充てることができる経費の範囲は、条例で定めなければならない。
15 前項の政務活動費の交付を受けた会派又は議員は、条例の定めるところにより、当該政務活動費に係る収入及び支出の報告書を議長に提出するものとする。
16 議長は、第十四項の政務活動費については、その使途の透明性の確保に努めるものとする。
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議会機能の充実強化を求める緊急要請 平成22年1月21日 全国都道府県議会議長会
=====【引用ここから】=====
3)議会機能の充実強化及び地方議会議員の責務の明確化に伴い、議員又は会派が住民意思を踏まえた活動を展開する上で必要な制度として、現在法文上調査研究活動に特化されている政務調査費制度を見直し、政策立案、議員活動の説明等を加え、幅広い議員活動又は会派活動に充てることができることを明確にするよう法律改正を行うこと。
=====【引用ここまで】=====