「農業共済」というものをご存知だろうか?
○農業共済制度の基礎
=====【引用ここから】=====
*農業共済制度の基本
- 恒久的な農業災害対策 -
- 国の政策保険 -
このように、農作物が災害に遭った場合の保険制度が用意されており、共済掛金と事務費の多くを、政府が肩代わりしている。その額は、毎年900億円以上。政府が肩代わり=納税者から収奪した金で穴埋め、ということだ。
○12年度予算概算要求 NOSAI関係予算は909億円(2面・総合)【2011年10月2週号】
=====【引用ここから】=====
農林水産省が9月30日に財務省に提出した2012年度予算概算要求のうち、NOSAI関係予算は、前年度比1億5900万円(0.2%)減の909億4500万円となった。このうち、農家の共済掛金の一部を負担する共済掛金国庫負担金に、前年度同額の501億1千万円を計上。NOSAI団体の事務費の一部となる農業共済事業事務費負担金も、前年度同額の402億8500万円とした。
=====【引用ここまで】=====
そして政府は、一定規模以上の農家に農業共済への加入を義務付けるとともに、農業共済への加入を政府からの補助金交付の要件に組み込むなど、農業共済を財政面・制度面の両方から支えている。
多くの企業は、事故や商品価格の変動のリスクを、保険や商品先物取引でカバーしている。農家も、災害や豊凶による価格変動のリスクを同様の方法でカバーするのが筋だ。
ところが、
「農業は食料を生産するだけではなく、国土・環境保全や水資源の涵養、文化・伝統の継承など多面的な機能を有しています」
という大義名分を付けて、農業共済への公金支出、特別扱いを押し通している。
農業共済はほんの序の口。農業の世界には、無数の補助金、交付金、負担金が存在する。ちょっと思いついただけでも、農業関係で政府が出している金は、青年就農給付金、農の雇用事業、経営転換協力金、規模拡大加算、米の直接支払交付金、農地・水保全管理支払交付金、中山間地等直接支払制度、土地改良施設維持管理適正化事業・・・・・・などなど、項目も金額も山のようにある。
人は、金をくれる人の所に視線が向く。サービス提供に対する顧客からの対価で経営している企業では、視線は顧客へ向く。顧客の要望、不満を意識する。その結果、サービスの質は向上する。というか、向上させなければ生き残れない。
一方、政府の補助で運営している団体では、視線は政府に向く。政府の動向、施策を意識する。例えば、戸別所得補償制度では、給付を受けるためのQ&Aだけで、こーーーーーんなに項目があるのだ。また、その年度の補助条件の公開は、申し込み期日の1週間前とかザラ。内々に農水省・都道府県庁・市町村役場から情報を得ていなければ、事実上、補助申請は不可能。そのため農家は、行政から情報を得て、補助条件を満たすことで頭は一杯。補助を受ける農家にとって、最優先は行政からの情報収集であり、品質改良や消費者の嗜好把握は二の次、三の次。サービスの質は低下、良くて横ばいだろう。
営農組合などの補助金団体が、春祭りや収穫祭と称して地域物産のPRイベントをすることがある。宣伝や消費拡大を図るなら、地域のスーパーの店長や駅・空港・SAの関係者を呼べば良いと思うのだが、実際に呼ばれているのは国会議員や県議、市議、市長や県農林事務所長など、補助金を渡す側の人ばかり。補助金団体の視線は、ブレることなく、行政を向いている。
「政治家のみなさん、県庁や役場のみなさん、今年も補助金をくれてありがとう。来年も補助申請の時にはお手伝いよろしく。選挙の時には応援するからね」
ということだ。
政治や行政との距離が鍵である。政治家や官僚、自治体職員と親密であれば、公開前に情報を得ることができ、滞りなく補助を申請することができ、補助金を受けられる。一方、日頃からの付き合いがないと、補助に関する事前の情報提供はない。申請締め切り直前に情報を得て慌てて申請して、職員から重箱の隅を突かれて却下されるか、締め切り後に情報を得て文句を言って、職員から「締め切りは締め切りですから(フフン」と冷笑されるか、のどちらかだ。
政府から支援を受ける団体や業種が増えると、様々な物やサービスの質が低下し、人々の暮らしのレベルは落ちる。政府からの特別扱いは無いに越したことはない。だが、特別扱いが一つあると、「うちの業界も、政府から特別扱いしてもらいたい」という声が上がる。徒党を組んで大義名分を掲げ、政治家に圧力をかける。その結果、そちらには交付金、こちらに補助金、あちらには新規参入を制限してあげましょう・・・こうしたことを様々な分野でし続けた結果が、今の有様だ。
○農業共済制度の基礎
=====【引用ここから】=====
*農業共済制度の基本
- 恒久的な農業災害対策 -
農業はその生産過程で自然の影響を直接的に受け易い。近年、栽培、防災技術の進歩により、生産の不安定さは克服されてきたが、それでも回避できない被害に対し、農家の経営を安定させ、農業生産力の発展に資するため、恒久的な農業災害対策として、農業災害補償制度が設けられています。
*農業共済制度の特徴- 国の政策保険 -
この制度は、農家が共済掛金を出し合って共同準備財産をつくっておき、災害があったときは、被災農家に共済金を支払うというもので、農家の自主的な相互扶助を基本にした制度であるとともに、国の災害対策としての公的救済制度でもあります。
また、次のような措置がとられています。
また、次のような措置がとられています。
1 組合は農作物共済、家畜共済について、共済事業を行わなければならないことになっています。
2 農作物共済においては、一定規模以上の農家の加入が強制されています。
3 農家が支払う共済掛金のうち多くの部分を国が負担しています。
4 事務費のうち多くの部分を国が負担しています。
5 政府は、農作物共済、家畜共済、果樹共済、畑作物共済及び園芸施設共済について、再保険を行っています。
=====【引用ここまで】=====2 農作物共済においては、一定規模以上の農家の加入が強制されています。
3 農家が支払う共済掛金のうち多くの部分を国が負担しています。
4 事務費のうち多くの部分を国が負担しています。
5 政府は、農作物共済、家畜共済、果樹共済、畑作物共済及び園芸施設共済について、再保険を行っています。
このように、農作物が災害に遭った場合の保険制度が用意されており、共済掛金と事務費の多くを、政府が肩代わりしている。その額は、毎年900億円以上。政府が肩代わり=納税者から収奪した金で穴埋め、ということだ。
○12年度予算概算要求 NOSAI関係予算は909億円(2面・総合)【2011年10月2週号】
=====【引用ここから】=====
農林水産省が9月30日に財務省に提出した2012年度予算概算要求のうち、NOSAI関係予算は、前年度比1億5900万円(0.2%)減の909億4500万円となった。このうち、農家の共済掛金の一部を負担する共済掛金国庫負担金に、前年度同額の501億1千万円を計上。NOSAI団体の事務費の一部となる農業共済事業事務費負担金も、前年度同額の402億8500万円とした。
=====【引用ここまで】=====
そして政府は、一定規模以上の農家に農業共済への加入を義務付けるとともに、農業共済への加入を政府からの補助金交付の要件に組み込むなど、農業共済を財政面・制度面の両方から支えている。
多くの企業は、事故や商品価格の変動のリスクを、保険や商品先物取引でカバーしている。農家も、災害や豊凶による価格変動のリスクを同様の方法でカバーするのが筋だ。
ところが、
「農業は食料を生産するだけではなく、国土・環境保全や水資源の涵養、文化・伝統の継承など多面的な機能を有しています」
という大義名分を付けて、農業共済への公金支出、特別扱いを押し通している。
農業共済はほんの序の口。農業の世界には、無数の補助金、交付金、負担金が存在する。ちょっと思いついただけでも、農業関係で政府が出している金は、青年就農給付金、農の雇用事業、経営転換協力金、規模拡大加算、米の直接支払交付金、農地・水保全管理支払交付金、中山間地等直接支払制度、土地改良施設維持管理適正化事業・・・・・・などなど、項目も金額も山のようにある。
人は、金をくれる人の所に視線が向く。サービス提供に対する顧客からの対価で経営している企業では、視線は顧客へ向く。顧客の要望、不満を意識する。その結果、サービスの質は向上する。というか、向上させなければ生き残れない。
一方、政府の補助で運営している団体では、視線は政府に向く。政府の動向、施策を意識する。例えば、戸別所得補償制度では、給付を受けるためのQ&Aだけで、こーーーーーんなに項目があるのだ。また、その年度の補助条件の公開は、申し込み期日の1週間前とかザラ。内々に農水省・都道府県庁・市町村役場から情報を得ていなければ、事実上、補助申請は不可能。そのため農家は、行政から情報を得て、補助条件を満たすことで頭は一杯。補助を受ける農家にとって、最優先は行政からの情報収集であり、品質改良や消費者の嗜好把握は二の次、三の次。サービスの質は低下、良くて横ばいだろう。
営農組合などの補助金団体が、春祭りや収穫祭と称して地域物産のPRイベントをすることがある。宣伝や消費拡大を図るなら、地域のスーパーの店長や駅・空港・SAの関係者を呼べば良いと思うのだが、実際に呼ばれているのは国会議員や県議、市議、市長や県農林事務所長など、補助金を渡す側の人ばかり。補助金団体の視線は、ブレることなく、行政を向いている。
「政治家のみなさん、県庁や役場のみなさん、今年も補助金をくれてありがとう。来年も補助申請の時にはお手伝いよろしく。選挙の時には応援するからね」
ということだ。
政治や行政との距離が鍵である。政治家や官僚、自治体職員と親密であれば、公開前に情報を得ることができ、滞りなく補助を申請することができ、補助金を受けられる。一方、日頃からの付き合いがないと、補助に関する事前の情報提供はない。申請締め切り直前に情報を得て慌てて申請して、職員から重箱の隅を突かれて却下されるか、締め切り後に情報を得て文句を言って、職員から「締め切りは締め切りですから(フフン」と冷笑されるか、のどちらかだ。
政府から支援を受ける団体や業種が増えると、様々な物やサービスの質が低下し、人々の暮らしのレベルは落ちる。政府からの特別扱いは無いに越したことはない。だが、特別扱いが一つあると、「うちの業界も、政府から特別扱いしてもらいたい」という声が上がる。徒党を組んで大義名分を掲げ、政治家に圧力をかける。その結果、そちらには交付金、こちらに補助金、あちらには新規参入を制限してあげましょう・・・こうしたことを様々な分野でし続けた結果が、今の有様だ。