大学生の就職したい仕事は「地方公務員」という絶望 POL Bookshelf:PRESIDENT Online - プレジデント
=====【引用ここから】=====
「働かない公務員」は本当か?
大学1、2年生に聞いた「就職したいと思う企業・業種ランキング」アンケート調査で、地方公務員が堂々の1位に輝いていた(マイナビニュース、2015年9月29日)。また、会社員が「転職してみたいと思う公務員TOP10」でも、地方公務員が他を大きく引き離し1位(R25、2016年2月19日)と、地方公務員人気は極めて高い。
「安定している」「転勤がない」「ラクそうだから」……。大学生や若いサラリーマンたちからすれば、そう見える部分もあるだろう。
=====【引用ここまで】=====
「安定している」
⇒ そのとおり。刑法や地方公務員法に抵触するようなことをしない限り、免職や減給になることはほとんどない。
「転勤がない」
⇒ これは、地方公務員の中でも差がある。県庁職員であれば、県内各地の出先機関への異動で転勤になるし、政令市の職員であれば、本庁から区役所への異動で転勤が発生する。しかし、この程度である。まれに人事交流で市役所職員が県へ出向になったり、国家公務員の若手キャリアが市役所の課長になったりすることもあるが、基本的には県・市の範囲内に限られていて、民間のような「4月からシンガポールへ転勤」といったものはない。
「ラクそうだから」
⇒ これは、1つの役所の中でもむらがある。忙しい部署では連日深夜0時を越えることもあるが、そうでない部署ではほぼ毎日定時で帰宅できる。(ちなみに、同じ地方公務員でも消防や警察は別ものと考えた方がいい。)
このように一概に言えない部分もあるのだが、総合的に見たとき、民間と比べて地方公務員(県や市町村の事務)は「安定していて、転勤がない(あっても小規模)で、ラクそう」というのは間違いない。
=====【引用ここから】=====
佐賀県庁職員である筆者は、「現場主義」を掲げ、寝る間も惜しんで救急医療改革を手掛けてきた人だ。その筆者が序章で、冒頭で記した「就職したい企業・業種ランキング」第1位になったことに危機感を感じているという。なぜか。
<安定志向のイメージが独り歩きして、競争しなくてもいい、成果に追われずクビにならない職業として公務員人気が高まっているとしたら、それは本末転倒だろうし、厳しい言い方をすればそんな職業は近い将来、社会から必要とされなくなってしまうだろう>
確かに、その通り。勘違いしている人がたくさんいて、そういう輩に限って、公務員試験に受かってしまい、住民にとっては迷惑千万な怠慢職員となっている。そんななか、筆者は「公のための挑戦」をする仕事だと言い切る。
=====【引用ここまで】=====
「そんな職業は近い将来、社会から必要とされなくなってしまうだろう」
それで良いのだ。税金を収奪して別の所で山分けする、こんな職業は早く社会から必要とされなくなった方が良いのだ。住民にとって迷惑千万なのは、地方公務員の存在そのものであって、個々の地方公務員が怠慢かどうかではない。むしろ、「公のための挑戦」と称して新たな税金投入先を創造してしまう、やる気のある公務員の方が危険だ。
例えば、今話題の保育行政を挙げると、行政が待機児童の解消に向けてすべきことは何もない。待機児童が生じているのは、行政が税金を原資に認可保育所に補助金を出すことによって保護者が支払う保育料を低下させ、需要を増加させる一方、認可保育所の保育料が安いために認可外の保育所が増えないという、需給のアンバランスにある。
この税金と補助金の枠組みの中で、やる気のある地方公務員が予算を確保し、市立の保育所を作ったとしよう。新たな土地を買収し、国の定める基準を全て満たした立派な園舎を建て、新規に保育士を募集して雇用する。待機児童は解消できるかもしれないが、5年後は逆に少子化の進展によって保育所が過剰になるかもしれない。建物の維持管理費と公務員保育士の人件費が、将来にわたって重い住民負担となる。
国策としての認可保育所制度をやめることで、「見かけは割安、実際は割高」な保育園は消えていき、民間による多種多様な保育サービスが提供されるようになり、需給のアンバランスは解消される。この過程の中で、地方公務員にできることは何もない。ただただ、国会に対して「認可保育所制度を廃止してくれますように」と祈るのみだ。
これは、地方公務員が関わる多くの分野で同じことが言える。法律・税金・規制・補助金の枠組みに沿って地方公務員が頑張ることで、その弊害は拡大する。地方公務員がすべきことは、法律の枠組みが無くなることを祈るとともに、法律上しなければならないこと以外の地方の独自領域を増やさず、削ることだ。
=====【引用ここから】=====
公務員の世界では、“希少種”といっていい存在なのかもしれない。だからこそ、自ら「はみだし公務員」と名乗っているのである。しかし、多くの公務員に希望の光を見せるとともに、この書は民間で働くサラリーマンの人たちにとってもうなづきや気づきを与えてくれるだろう。
失敗から学び、目的へのベクトルを繋いでいく。それは公務員でも民間企業でも同じことだからだ。チャレンジなくして、仕事の達成感、面白みは味わえない。仕事とは、そういうものだからだ。
つまりこの本は、いま多くの人たちが「守りの仕事」で自分の仕事の可能性を狭めているなかで、本当に楽しい仕事を自ら創造するためには何が必要なのか、いわば“ポジティブ・シンキングの指南書”だと言えるだろう。
=====【引用ここまで】=====
引用元のようなやる気のある「はみだし公務員」は、実のところ公務員の世界では希少種ではない。過去、成功した公務員は何度かメディアで取り上げられてきた。
反「スーパー公務員」論 - 若年寄の遺言
続・反「スーパー公務員」論 ~ 役に立ちたいなら起業せよ ~ - 若年寄の遺言
これらの他、やる気を出して新規事業を立ち上げ、不要な歳出を増やし、何の処分も受けていないという公務員であれば、どの自治体にもいる。
公務員に希望の光を見せてはいけない。自分の属する組織が無駄の塊であると認識し、これを削っていくというネガティブ・シンキングを続けていかないといけない。
そんな私こそが、本当の意味で、公務員の世界の希少種だ。
=====【引用ここから】=====
「働かない公務員」は本当か?
大学1、2年生に聞いた「就職したいと思う企業・業種ランキング」アンケート調査で、地方公務員が堂々の1位に輝いていた(マイナビニュース、2015年9月29日)。また、会社員が「転職してみたいと思う公務員TOP10」でも、地方公務員が他を大きく引き離し1位(R25、2016年2月19日)と、地方公務員人気は極めて高い。
「安定している」「転勤がない」「ラクそうだから」……。大学生や若いサラリーマンたちからすれば、そう見える部分もあるだろう。
=====【引用ここまで】=====
「安定している」
⇒ そのとおり。刑法や地方公務員法に抵触するようなことをしない限り、免職や減給になることはほとんどない。
「転勤がない」
⇒ これは、地方公務員の中でも差がある。県庁職員であれば、県内各地の出先機関への異動で転勤になるし、政令市の職員であれば、本庁から区役所への異動で転勤が発生する。しかし、この程度である。まれに人事交流で市役所職員が県へ出向になったり、国家公務員の若手キャリアが市役所の課長になったりすることもあるが、基本的には県・市の範囲内に限られていて、民間のような「4月からシンガポールへ転勤」といったものはない。
「ラクそうだから」
⇒ これは、1つの役所の中でもむらがある。忙しい部署では連日深夜0時を越えることもあるが、そうでない部署ではほぼ毎日定時で帰宅できる。(ちなみに、同じ地方公務員でも消防や警察は別ものと考えた方がいい。)
このように一概に言えない部分もあるのだが、総合的に見たとき、民間と比べて地方公務員(県や市町村の事務)は「安定していて、転勤がない(あっても小規模)で、ラクそう」というのは間違いない。
=====【引用ここから】=====
佐賀県庁職員である筆者は、「現場主義」を掲げ、寝る間も惜しんで救急医療改革を手掛けてきた人だ。その筆者が序章で、冒頭で記した「就職したい企業・業種ランキング」第1位になったことに危機感を感じているという。なぜか。
<安定志向のイメージが独り歩きして、競争しなくてもいい、成果に追われずクビにならない職業として公務員人気が高まっているとしたら、それは本末転倒だろうし、厳しい言い方をすればそんな職業は近い将来、社会から必要とされなくなってしまうだろう>
確かに、その通り。勘違いしている人がたくさんいて、そういう輩に限って、公務員試験に受かってしまい、住民にとっては迷惑千万な怠慢職員となっている。そんななか、筆者は「公のための挑戦」をする仕事だと言い切る。
=====【引用ここまで】=====
「そんな職業は近い将来、社会から必要とされなくなってしまうだろう」
それで良いのだ。税金を収奪して別の所で山分けする、こんな職業は早く社会から必要とされなくなった方が良いのだ。住民にとって迷惑千万なのは、地方公務員の存在そのものであって、個々の地方公務員が怠慢かどうかではない。むしろ、「公のための挑戦」と称して新たな税金投入先を創造してしまう、やる気のある公務員の方が危険だ。
例えば、今話題の保育行政を挙げると、行政が待機児童の解消に向けてすべきことは何もない。待機児童が生じているのは、行政が税金を原資に認可保育所に補助金を出すことによって保護者が支払う保育料を低下させ、需要を増加させる一方、認可保育所の保育料が安いために認可外の保育所が増えないという、需給のアンバランスにある。
この税金と補助金の枠組みの中で、やる気のある地方公務員が予算を確保し、市立の保育所を作ったとしよう。新たな土地を買収し、国の定める基準を全て満たした立派な園舎を建て、新規に保育士を募集して雇用する。待機児童は解消できるかもしれないが、5年後は逆に少子化の進展によって保育所が過剰になるかもしれない。建物の維持管理費と公務員保育士の人件費が、将来にわたって重い住民負担となる。
国策としての認可保育所制度をやめることで、「見かけは割安、実際は割高」な保育園は消えていき、民間による多種多様な保育サービスが提供されるようになり、需給のアンバランスは解消される。この過程の中で、地方公務員にできることは何もない。ただただ、国会に対して「認可保育所制度を廃止してくれますように」と祈るのみだ。
これは、地方公務員が関わる多くの分野で同じことが言える。法律・税金・規制・補助金の枠組みに沿って地方公務員が頑張ることで、その弊害は拡大する。地方公務員がすべきことは、法律の枠組みが無くなることを祈るとともに、法律上しなければならないこと以外の地方の独自領域を増やさず、削ることだ。
=====【引用ここから】=====
公務員の世界では、“希少種”といっていい存在なのかもしれない。だからこそ、自ら「はみだし公務員」と名乗っているのである。しかし、多くの公務員に希望の光を見せるとともに、この書は民間で働くサラリーマンの人たちにとってもうなづきや気づきを与えてくれるだろう。
失敗から学び、目的へのベクトルを繋いでいく。それは公務員でも民間企業でも同じことだからだ。チャレンジなくして、仕事の達成感、面白みは味わえない。仕事とは、そういうものだからだ。
つまりこの本は、いま多くの人たちが「守りの仕事」で自分の仕事の可能性を狭めているなかで、本当に楽しい仕事を自ら創造するためには何が必要なのか、いわば“ポジティブ・シンキングの指南書”だと言えるだろう。
=====【引用ここまで】=====
引用元のようなやる気のある「はみだし公務員」は、実のところ公務員の世界では希少種ではない。過去、成功した公務員は何度かメディアで取り上げられてきた。
反「スーパー公務員」論 - 若年寄の遺言
続・反「スーパー公務員」論 ~ 役に立ちたいなら起業せよ ~ - 若年寄の遺言
これらの他、やる気を出して新規事業を立ち上げ、不要な歳出を増やし、何の処分も受けていないという公務員であれば、どの自治体にもいる。
公務員に希望の光を見せてはいけない。自分の属する組織が無駄の塊であると認識し、これを削っていくというネガティブ・シンキングを続けていかないといけない。
そんな私こそが、本当の意味で、公務員の世界の希少種だ。