舛添前知事を叩く都議会側が、舛添前知事と同じことをやって叩かれるという構図が勃発した。
○舛添知事をぶっ叩いた都議会議員たちが、大挙してリオ五輪に視察に行くのは許されない | 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト
=====【引用ここから】=====
・オリンピック開会式
・オリンピック閉会式
・パラリンピック開会式
・パラリンピック閉会式
の4期間に分けて、7人ずつの都議会議員(+随行員)を4部隊派遣するというものでした。
~~~ (中略) ~~~
その精査過程で議会局が出してきた予算案が予算段階で約6200万(うち議員の旅費のみで4000万!)というあまりに高額なものであり、さらに膨れ上がる見込みであること(議員数20名で算出された金額であり、さらにホテル代も高騰)。
=====【引用ここまで】=====
私は元々、地方議会議員の行政視察には批判的な立場をとってきた。
なぜかって?地方議員の視察は目的があいまいで、ただの観光地旅行になりがちだから。
○何のための委員会視察? ~ 地方議会の行政視察廃止論 ~ - 若年寄の遺言
=====【引用ここから】=====
もし身近な所に、都道府県議会、市区町村議会の議員がいたら、尋ねてみてほしい。
「去年、一昨年と、委員会視察で何を学び、何をうちの自治体に持ち帰りましたか?」
と。具体的な答えが返って来なかったら、あなたの払った税金は、その議員が観光地に行くために費やされたと評価してほぼ間違いない。
=====【引用ここまで】=====
そして、どうしても視察をするのであれば、議員が1人ずつ視察報告書を作成し、委員会に提出し、その後これを公開すべきであると述べてきた。
○行政をチェックする議員をチェックする ~ 観光旅行ですか、行政視察ですか ~ - 若年寄の遺言
=====【引用ここから】=====
もし、行政視察を続けるのであれば、
・視察の行程、宿泊先、領収書添付の上での費用の詳細な公開
・(委員会単位、会派単位でなく)議員個人ごとの視察報告書の公開
位のことをしないとダメだろう。全て見られている、住民の監視対象になっている、と意識させることで、初めて、ちゃんとした視察をしようという動機付けが生じることになる。
=====【引用ここまで】=====
○地方議員が出張するための法的根拠 ~議員派遣と委員派遣~ - 若年寄の遺言
=====【引用ここから】=====
「委員会単位で視察に赴いたのだから、委員会として一つの報告書を作成する(だから随行者が作成して良い)」
というのが建前なのだろう。この運用例は多く見受けられるものであるが、違和感が残る。
なぜなら、法律上、派遣を決定するのは「委員会」だが、派遣されて実際に視察に行くのは「委員」だからだ。「委員会」が調査・審査を行うため、「委員会」が「委員」を視察に派遣するのだから、各「委員」が視察内容や所感をまとめて視察報告書を「委員会」へ提出すべきではなかろうか。視察の段取りや交通・宿泊の手配、現地での連絡調整、サポートは随行者がするとしても、派遣された「委員」が報告書を作成しないでどうするのか。
=====【引用ここまで】=====
この点から東京都議会の運用状況を見てみると・・・うーん、残念。委員長1人の報告書となっている。例えば、
○都市整備委員会 管外視察報告 | 東京都議会
=====【引用ここから】=====
平成27年5月28日(木曜日)から5月29日(金曜日)
委員長 島田幸成(民主党)
平成27年度末に予定されている、北海道新幹線の新青森駅から新函館北斗駅までの一部開業まで、残すところ1年を切りました。
現在、沿線となる自治体では、官民一体となり、北海道新幹線の開業に向けた取組が行われています。
そこで、今回、都市整備委員会では、所管事業のうち、北海道新幹線の開業に関連したまちづくりや、交通ネットワークの整備などを中心に調査を行うため、北海道木古内町及び函館市への視察を実施いたしました。
~~~(中略)~~~
こうして得た成果を、今後の委員会活動を通して都政へと役立ててまいります。
=====【引用ここまで】=====
この視察報告は委員長名で作成されている。一緒に行ったであろう各委員が実際に何を見て、何を感じ、何を学び取ったかを読み取ることはできない。この程度の報告書の内容を知るために、委員14人と担当書記の旅費を税金から支出する必要性があるだろうか。ファーストクラスがどうとかの議論の前に、14人+αがぞろぞろと行くことそれ自体が無駄である。
この報告書の内容程度なら、委員の中から1人派遣するとか、担当書記や知事部局の職員を1人派遣するとかして、その1人にレポートをまとめさせて、後日これを基に委員会内で勉強会をして、情報共有を図ればそれで十分だ。
東京都議会HPで委員会速記録を見てみたが、視察の前に委員会で
「今、東京都の何が問題か?視察のテーマとして何がふさわしいか?テーマに沿った事例や事業をやっている自治体はどこか?」
といった視察先を検討した形跡はない。
また、視察後に
「視察先のこうした点は失敗だろうから、東京都としては実施を避けた方が良さそうだ」
「こうした点は参考にして都政に取り入れよう」
といった、視察を振り返る議論をした形跡もない。ただただ、上記の委員長名の報告書がHPにアップされているだけである。
今のご時勢、ホームページである程度のことは調べられるし、パンフレットや資料を請求すればある程度のことは分かる。また、事前に委員会内で議論をして、質問項目をまとめた質問書を相手先に送り、それで得られた回答で事足りれば、視察側と受入れ側双方の旅費、人件費、時間を省くことができる。それでも現地を直接見なければ分からないことがあれば、その時初めて「1人を視察に派遣すること」を正当化できる。
冒頭で引用した都議のおときた氏は、リオ五輪への視察の中止、縮小を訴えるなど、かなりの良識派だ。
しかし、
○これも自粛?!都議会の国内視察が全部中止になったのは、さすがに意味がわからない件 | 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト
=====【引用ここから】=====
ここで国内視察を早々に自粛するくらいなら、
夏に大勢(28名!)で予定されているリオ五輪への都議会視察も、当然に中止・縮小が検討されるべきだと思います。そうしないと、筋が通らないですから。
多額の出張経費疑惑などでイメージの悪い「議員視察」ですが、しっかりと行えば都政に反映できることも多い重要な議員活動の一つです。
=====【引用ここまで】=====
と、国内視察を重要視している。この点、身内に甘いというか、生ぬるい感は否めない。
都議会議員を個別に見れば、事前に自分で現地の概要を調べ、都の現状と視察先の現状をある程度比較し、質問事項を考えてから視察先へ行き、東京へ戻ってから都政に反映させるための方策を考える人もいるかもしれない。しかし、毎年やっている委員会視察で、参加した委員全員がこれをやっているとはとても思えない。
毎年、視察のための予算が計上される。
そこで委員達が、
「今年もそろそろ視察の行き先を決めようか」
「予算を流したらもったいないからね」
「担当書記の方で、良さそうな所を適当にピックアップしといて」
なんてゆるーいやりとりの中で、視察先を決めていないだろうか。
上で引用した都市整備委員会を例に考えると、最初に新幹線が整備され、JRや地下鉄、バスなど交通網が日本で最も充実している首都・東京の都議会議員が、これから新幹線が開通し交通ネットワークを整備し始める北海道の木古内町を見て、何を勉強しようというのだろうか。公共交通というキーワードだけで無理やり関連付けて視察先に挙げ、予算消化しようとしているようにしか思えない。
仮に、である。
仮に、委員会が視察テーマを十分に吟味し、テーマに沿って視察先を選定し、視察先の概要を調べ、現地で何を質問すべきか挙げ、事前準備をしていた、としよう。その上で、個々の議員が視察を「しっかりと行えば」、重要な議員活動と言えるだろう。
しかし、個々の議員が「しっかりと」行っているかどうかを住民側が評価するためには、
・視察の行程、宿泊先、領収書添付の上での費用の詳細な公開
・(委員会単位、会派単位でなく)議員個人ごとの視察報告書の公開
が不可欠。残念ながら、今の都議会HPで公開されている情報内容では、おときた氏が言うような「しっかりとした視察」をしているかどうかを評価することができない。そして、リオ五輪の都議会視察の一連の流れを見ている限り、「しっかりとした視察」をしているとは思えない。
東京都議会では、熊本の震災に配慮して4月、5月の委員会視察を中止したそうな。これを機に、都議会の情報公開のあり方が向上するまで、中止し続けてはどうだろうか。
毎年、慣例として行っている委員会視察は廃止すべき。
その上で、どうしても視察したいテーマがあるなら、その年度だけ、補正予算として予算要求してはどうか。
○舛添知事をぶっ叩いた都議会議員たちが、大挙してリオ五輪に視察に行くのは許されない | 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト
=====【引用ここから】=====
・オリンピック開会式
・オリンピック閉会式
・パラリンピック開会式
・パラリンピック閉会式
の4期間に分けて、7人ずつの都議会議員(+随行員)を4部隊派遣するというものでした。
~~~ (中略) ~~~
その精査過程で議会局が出してきた予算案が予算段階で約6200万(うち議員の旅費のみで4000万!)というあまりに高額なものであり、さらに膨れ上がる見込みであること(議員数20名で算出された金額であり、さらにホテル代も高騰)。
=====【引用ここまで】=====
私は元々、地方議会議員の行政視察には批判的な立場をとってきた。
なぜかって?地方議員の視察は目的があいまいで、ただの観光地旅行になりがちだから。
○何のための委員会視察? ~ 地方議会の行政視察廃止論 ~ - 若年寄の遺言
=====【引用ここから】=====
もし身近な所に、都道府県議会、市区町村議会の議員がいたら、尋ねてみてほしい。
「去年、一昨年と、委員会視察で何を学び、何をうちの自治体に持ち帰りましたか?」
と。具体的な答えが返って来なかったら、あなたの払った税金は、その議員が観光地に行くために費やされたと評価してほぼ間違いない。
=====【引用ここまで】=====
そして、どうしても視察をするのであれば、議員が1人ずつ視察報告書を作成し、委員会に提出し、その後これを公開すべきであると述べてきた。
○行政をチェックする議員をチェックする ~ 観光旅行ですか、行政視察ですか ~ - 若年寄の遺言
=====【引用ここから】=====
もし、行政視察を続けるのであれば、
・視察の行程、宿泊先、領収書添付の上での費用の詳細な公開
・(委員会単位、会派単位でなく)議員個人ごとの視察報告書の公開
位のことをしないとダメだろう。全て見られている、住民の監視対象になっている、と意識させることで、初めて、ちゃんとした視察をしようという動機付けが生じることになる。
=====【引用ここまで】=====
○地方議員が出張するための法的根拠 ~議員派遣と委員派遣~ - 若年寄の遺言
=====【引用ここから】=====
「委員会単位で視察に赴いたのだから、委員会として一つの報告書を作成する(だから随行者が作成して良い)」
というのが建前なのだろう。この運用例は多く見受けられるものであるが、違和感が残る。
なぜなら、法律上、派遣を決定するのは「委員会」だが、派遣されて実際に視察に行くのは「委員」だからだ。「委員会」が調査・審査を行うため、「委員会」が「委員」を視察に派遣するのだから、各「委員」が視察内容や所感をまとめて視察報告書を「委員会」へ提出すべきではなかろうか。視察の段取りや交通・宿泊の手配、現地での連絡調整、サポートは随行者がするとしても、派遣された「委員」が報告書を作成しないでどうするのか。
=====【引用ここまで】=====
この点から東京都議会の運用状況を見てみると・・・うーん、残念。委員長1人の報告書となっている。例えば、
○都市整備委員会 管外視察報告 | 東京都議会
=====【引用ここから】=====
平成27年5月28日(木曜日)から5月29日(金曜日)
委員長 島田幸成(民主党)
平成27年度末に予定されている、北海道新幹線の新青森駅から新函館北斗駅までの一部開業まで、残すところ1年を切りました。
現在、沿線となる自治体では、官民一体となり、北海道新幹線の開業に向けた取組が行われています。
そこで、今回、都市整備委員会では、所管事業のうち、北海道新幹線の開業に関連したまちづくりや、交通ネットワークの整備などを中心に調査を行うため、北海道木古内町及び函館市への視察を実施いたしました。
~~~(中略)~~~
こうして得た成果を、今後の委員会活動を通して都政へと役立ててまいります。
=====【引用ここまで】=====
この視察報告は委員長名で作成されている。一緒に行ったであろう各委員が実際に何を見て、何を感じ、何を学び取ったかを読み取ることはできない。この程度の報告書の内容を知るために、委員14人と担当書記の旅費を税金から支出する必要性があるだろうか。ファーストクラスがどうとかの議論の前に、14人+αがぞろぞろと行くことそれ自体が無駄である。
この報告書の内容程度なら、委員の中から1人派遣するとか、担当書記や知事部局の職員を1人派遣するとかして、その1人にレポートをまとめさせて、後日これを基に委員会内で勉強会をして、情報共有を図ればそれで十分だ。
東京都議会HPで委員会速記録を見てみたが、視察の前に委員会で
「今、東京都の何が問題か?視察のテーマとして何がふさわしいか?テーマに沿った事例や事業をやっている自治体はどこか?」
といった視察先を検討した形跡はない。
また、視察後に
「視察先のこうした点は失敗だろうから、東京都としては実施を避けた方が良さそうだ」
「こうした点は参考にして都政に取り入れよう」
といった、視察を振り返る議論をした形跡もない。ただただ、上記の委員長名の報告書がHPにアップされているだけである。
今のご時勢、ホームページである程度のことは調べられるし、パンフレットや資料を請求すればある程度のことは分かる。また、事前に委員会内で議論をして、質問項目をまとめた質問書を相手先に送り、それで得られた回答で事足りれば、視察側と受入れ側双方の旅費、人件費、時間を省くことができる。それでも現地を直接見なければ分からないことがあれば、その時初めて「1人を視察に派遣すること」を正当化できる。
冒頭で引用した都議のおときた氏は、リオ五輪への視察の中止、縮小を訴えるなど、かなりの良識派だ。
しかし、
○これも自粛?!都議会の国内視察が全部中止になったのは、さすがに意味がわからない件 | 東京都議会議員 おときた駿 公式サイト
=====【引用ここから】=====
ここで国内視察を早々に自粛するくらいなら、
夏に大勢(28名!)で予定されているリオ五輪への都議会視察も、当然に中止・縮小が検討されるべきだと思います。そうしないと、筋が通らないですから。
多額の出張経費疑惑などでイメージの悪い「議員視察」ですが、しっかりと行えば都政に反映できることも多い重要な議員活動の一つです。
=====【引用ここまで】=====
と、国内視察を重要視している。この点、身内に甘いというか、生ぬるい感は否めない。
都議会議員を個別に見れば、事前に自分で現地の概要を調べ、都の現状と視察先の現状をある程度比較し、質問事項を考えてから視察先へ行き、東京へ戻ってから都政に反映させるための方策を考える人もいるかもしれない。しかし、毎年やっている委員会視察で、参加した委員全員がこれをやっているとはとても思えない。
毎年、視察のための予算が計上される。
そこで委員達が、
「今年もそろそろ視察の行き先を決めようか」
「予算を流したらもったいないからね」
「担当書記の方で、良さそうな所を適当にピックアップしといて」
なんてゆるーいやりとりの中で、視察先を決めていないだろうか。
上で引用した都市整備委員会を例に考えると、最初に新幹線が整備され、JRや地下鉄、バスなど交通網が日本で最も充実している首都・東京の都議会議員が、これから新幹線が開通し交通ネットワークを整備し始める北海道の木古内町を見て、何を勉強しようというのだろうか。公共交通というキーワードだけで無理やり関連付けて視察先に挙げ、予算消化しようとしているようにしか思えない。
仮に、である。
仮に、委員会が視察テーマを十分に吟味し、テーマに沿って視察先を選定し、視察先の概要を調べ、現地で何を質問すべきか挙げ、事前準備をしていた、としよう。その上で、個々の議員が視察を「しっかりと行えば」、重要な議員活動と言えるだろう。
しかし、個々の議員が「しっかりと」行っているかどうかを住民側が評価するためには、
・視察の行程、宿泊先、領収書添付の上での費用の詳細な公開
・(委員会単位、会派単位でなく)議員個人ごとの視察報告書の公開
が不可欠。残念ながら、今の都議会HPで公開されている情報内容では、おときた氏が言うような「しっかりとした視察」をしているかどうかを評価することができない。そして、リオ五輪の都議会視察の一連の流れを見ている限り、「しっかりとした視察」をしているとは思えない。
東京都議会では、熊本の震災に配慮して4月、5月の委員会視察を中止したそうな。これを機に、都議会の情報公開のあり方が向上するまで、中止し続けてはどうだろうか。
毎年、慣例として行っている委員会視察は廃止すべき。
その上で、どうしても視察したいテーマがあるなら、その年度だけ、補正予算として予算要求してはどうか。