みなさんの給与明細に書いてある
「所得税」「住民税」
「年金保険料」「健康保険料」「介護分」
という毎月の天引きの項目。
この多くは、高齢者のために使われている。
じゃあ、具体的に高齢者1人につき幾らくらいかかっているのか。
ざっくりと計算してみた。
サンプルとして、厚生年金を受け取っている高齢者が要介護3になった場合で考えてみよう。
======
年金 :税金3.6万円 + 若年者の保険料10.2万円
=13.8万円。
医療保険:税金3.5万円 + 若年者の保険料2.7万円
= 6.2万円。
介護保険:税金13.7万円 + 40歳~64歳の保険料8.2万円
= 21.9万円。
======
(これはあくまでも一例です)
介護を使っている高齢者1人に対し、毎月、保険料と税金合わせて41.9万円を投じている。
高齢者が介護を使っていない場合でも、毎月、保険料と税金合わせて20万円を投じている。
(高齢者自身が払っている保険料は除いている)
高齢者が増えれば、その分だけ給与明細の
「所得税」「市・県民税」
「年金保険料」「健康保険料」「介護分」
が増える。
その分手取り額は減る。
高齢者が1人居ることで、
月20万円~40万円、年240万円~480万円
だけ現役世代の負担が生じている。
現役世代と高齢者が3:1の騎馬戦型で考えると、現役世代一人当たり年間で80万円~160万円を高齢者のために負担している計算。これが将来的には1:1の肩車型になり、現役世代の一人当たり負担はおよそ3倍になる。現役世代にここまで重い負担を課すことが果たして妥当なのか、考えるべき時だ。
街角で
「年金減額に反対!高齢者の生活を守れ!消費税増税反対!」
とデモをしている高齢者は、
「お前達の給与明細の年金保険料を吊り上げてやる!所得税も上げてやる!」
と言っていることに気付いていない。気付いていてデモをしているとしたら、これほど厚かましいことはない。
社会保障給付は、現役世代が汗水垂らしてやっと手にした稼ぎから捻出されているもの。このことがもっと高齢者の間で浸透していってほしい。
少子高齢化がどうして問題なのかといえば、年金・医療・介護といった社会保障制度が維持できなくなるからだ。社会保障制度が無ければ、あるいはもっと小規模でシンプルなものであれば、そこまで少子高齢化を問題視する必要がない。
また、社会保障制度と移民・難民受け入れとは相性が悪い。
入国してくる外国人が自分で稼げる人でなければ、自国民向けの社会保障給付を圧迫するからだ。
外国人排斥の論調は、社会保障制度が無ければ、あるいはもっと小規模でシンプルなものであればここまで大きくならないはずだ。
ドイツは難民問題で連立政権が揺れている。
日本では外国人の国保タダ乗りが問題になっている。
「外国人受け入れに制限をかけろ」という論調の背景には、外国人の流入によって「権力による奪い合い」という構図を持つ社会保障給付の熾烈さに拍車がかかることへの危惧がある。
社会保障推進論者には、
「巨大で複雑な社会保障制度が強権的な略奪によって維持されている」
「社会保障制度の重さに若年層が耐えかねている」
「社会保障給付の取り合いが外国人排斥の火種になっている」
といったことを一度省みてほしい。
社会保障制度は罪深いものだ。
以下、計算の内訳。
(ほんとにざっくりだし、年度によっても異なる)
○社会保障に関する基礎資料 - 厚生労働省
======【引用ここから】======
○ 年金額
老齢基礎年金 月66,008円(平成22年度)
※ 平均額:月5.4万円(平成20年度)
老齢厚生年金 月232,592円(平成22年度、夫婦2人分の標準的な額)
※ 平均額:月16.4万円(単身、基礎年金を含む)(平成20年度)
○ 保険料収入(公的年金制度全体)
32.1兆円(平成22年度予算ベース)
○ 国庫負担額(公的年金制度全体)
11.2兆円(平成22年度予算ベース)
○ 給付費 (公的年金制度全体)
51.4兆円(平成22年度予算ベース)
○ 積立金(国民年金・厚生年金)
128兆円(平成21年度末、時価ベース)
======【引用ここまで】======
1年間で配る年金の額が、51.4兆円。
これに対し、現役世代から集める保険料が32.1兆円。
国庫負担金、つまり税金からの支出が11.2兆円。合わせて43.3兆円。
不足分の8.1兆円は積立金を崩して穴埋めしている。
大雑把に計算すると、
保険料:税金:積立金 = 62:22:16
という構成割合。
老齢厚生年金の平均額が月16.4万円。
これを上記の構成割合で計算すると、
保険料 10.2万円
税金 3.6万円
積立金 2.6万円
となる。
○社会保障に関する基礎資料 - 厚生労働省
======【引用ここから】======
後期高齢者医療制度の運営の仕組み(平成20年度)
<対象者数> 75歳以上の後期高齢者 約1,300万人
<後期高齢者医療費> 11.9兆円(平成20年度概算要求ベース:満年度)
給付費 10.8兆円 患者負担1.1兆円
公費 約5割
高齢者の保険料 1割
後期高齢者支援金(若年者の保険料) 約4割
======【引用ここまで】======
後期高齢者が1300万人、医療費総額が11.9兆円。
単純計算で、1人あたり年間91.5万円の医療費がかかっている。
1月あたり7.6万円。
うち、患者自己負担は0.7万円、給付費が6.9万円。
この給付費を上記の構成割合で計算すると、
公費(税金) 3.5万円
高齢者の保険料 0.7万円
若年者の保険料 2.7万円
となる。
○社会保障に関する基礎資料 - 厚生労働省
======【引用ここから】======
税金 50%
保険料 50%(1号被保険者20%、2号被保険者30%、人口比に基づき設定)
======【引用ここまで】======
○要介護3の場合の月額費用比較例 |ベネッセスタイルケア
======【引用ここから】======
住宅型有料老人ホームでのケアプランと費用例
利用サービスと月額費用
支払い額
訪問介護 29,045円
福祉用具貸与 1,400円
合計 30,445円
======【引用ここまで】======
介護保険の構成割合は
税金:高齢者の保険料:40歳~64歳の保険料
=5 : 2 : 3
1割自己負担で30,445円負担している。
残り9割の274,005円は、介護保険から支払われる。
上記構成割合で計算すると、
税金 13.7万円
高齢者の保険料 5.5万円
40歳~64歳の保険料 8.2万円
となる。
「所得税」「住民税」
「年金保険料」「健康保険料」「介護分」
という毎月の天引きの項目。
この多くは、高齢者のために使われている。
じゃあ、具体的に高齢者1人につき幾らくらいかかっているのか。
ざっくりと計算してみた。
サンプルとして、厚生年金を受け取っている高齢者が要介護3になった場合で考えてみよう。
======
年金 :税金3.6万円 + 若年者の保険料10.2万円
=13.8万円。
医療保険:税金3.5万円 + 若年者の保険料2.7万円
= 6.2万円。
介護保険:税金13.7万円 + 40歳~64歳の保険料8.2万円
= 21.9万円。
======
(これはあくまでも一例です)
介護を使っている高齢者1人に対し、毎月、保険料と税金合わせて41.9万円を投じている。
高齢者が介護を使っていない場合でも、毎月、保険料と税金合わせて20万円を投じている。
(高齢者自身が払っている保険料は除いている)
高齢者が増えれば、その分だけ給与明細の
「所得税」「市・県民税」
「年金保険料」「健康保険料」「介護分」
が増える。
その分手取り額は減る。
高齢者が1人居ることで、
月20万円~40万円、年240万円~480万円
だけ現役世代の負担が生じている。
現役世代と高齢者が3:1の騎馬戦型で考えると、現役世代一人当たり年間で80万円~160万円を高齢者のために負担している計算。これが将来的には1:1の肩車型になり、現役世代の一人当たり負担はおよそ3倍になる。現役世代にここまで重い負担を課すことが果たして妥当なのか、考えるべき時だ。
街角で
「年金減額に反対!高齢者の生活を守れ!消費税増税反対!」
とデモをしている高齢者は、
「お前達の給与明細の年金保険料を吊り上げてやる!所得税も上げてやる!」
と言っていることに気付いていない。気付いていてデモをしているとしたら、これほど厚かましいことはない。
社会保障給付は、現役世代が汗水垂らしてやっと手にした稼ぎから捻出されているもの。このことがもっと高齢者の間で浸透していってほしい。
少子高齢化がどうして問題なのかといえば、年金・医療・介護といった社会保障制度が維持できなくなるからだ。社会保障制度が無ければ、あるいはもっと小規模でシンプルなものであれば、そこまで少子高齢化を問題視する必要がない。
また、社会保障制度と移民・難民受け入れとは相性が悪い。
入国してくる外国人が自分で稼げる人でなければ、自国民向けの社会保障給付を圧迫するからだ。
外国人排斥の論調は、社会保障制度が無ければ、あるいはもっと小規模でシンプルなものであればここまで大きくならないはずだ。
ドイツは難民問題で連立政権が揺れている。
日本では外国人の国保タダ乗りが問題になっている。
「外国人受け入れに制限をかけろ」という論調の背景には、外国人の流入によって「権力による奪い合い」という構図を持つ社会保障給付の熾烈さに拍車がかかることへの危惧がある。
社会保障推進論者には、
「巨大で複雑な社会保障制度が強権的な略奪によって維持されている」
「社会保障制度の重さに若年層が耐えかねている」
「社会保障給付の取り合いが外国人排斥の火種になっている」
といったことを一度省みてほしい。
社会保障制度は罪深いものだ。
以下、計算の内訳。
(ほんとにざっくりだし、年度によっても異なる)
【年金の場合】
○社会保障に関する基礎資料 - 厚生労働省
======【引用ここから】======
○ 年金額
老齢基礎年金 月66,008円(平成22年度)
※ 平均額:月5.4万円(平成20年度)
老齢厚生年金 月232,592円(平成22年度、夫婦2人分の標準的な額)
※ 平均額:月16.4万円(単身、基礎年金を含む)(平成20年度)
○ 保険料収入(公的年金制度全体)
32.1兆円(平成22年度予算ベース)
○ 国庫負担額(公的年金制度全体)
11.2兆円(平成22年度予算ベース)
○ 給付費 (公的年金制度全体)
51.4兆円(平成22年度予算ベース)
○ 積立金(国民年金・厚生年金)
128兆円(平成21年度末、時価ベース)
======【引用ここまで】======
1年間で配る年金の額が、51.4兆円。
これに対し、現役世代から集める保険料が32.1兆円。
国庫負担金、つまり税金からの支出が11.2兆円。合わせて43.3兆円。
不足分の8.1兆円は積立金を崩して穴埋めしている。
大雑把に計算すると、
保険料:税金:積立金 = 62:22:16
という構成割合。
老齢厚生年金の平均額が月16.4万円。
これを上記の構成割合で計算すると、
保険料 10.2万円
税金 3.6万円
積立金 2.6万円
となる。
【医療保険の場合】
○社会保障に関する基礎資料 - 厚生労働省
======【引用ここから】======
後期高齢者医療制度の運営の仕組み(平成20年度)
<対象者数> 75歳以上の後期高齢者 約1,300万人
<後期高齢者医療費> 11.9兆円(平成20年度概算要求ベース:満年度)
給付費 10.8兆円 患者負担1.1兆円
公費 約5割
高齢者の保険料 1割
後期高齢者支援金(若年者の保険料) 約4割
======【引用ここまで】======
後期高齢者が1300万人、医療費総額が11.9兆円。
単純計算で、1人あたり年間91.5万円の医療費がかかっている。
1月あたり7.6万円。
うち、患者自己負担は0.7万円、給付費が6.9万円。
この給付費を上記の構成割合で計算すると、
公費(税金) 3.5万円
高齢者の保険料 0.7万円
若年者の保険料 2.7万円
となる。
【介護保険の場合】
○社会保障に関する基礎資料 - 厚生労働省
======【引用ここから】======
税金 50%
保険料 50%(1号被保険者20%、2号被保険者30%、人口比に基づき設定)
======【引用ここまで】======
○要介護3の場合の月額費用比較例 |ベネッセスタイルケア
======【引用ここから】======
住宅型有料老人ホームでのケアプランと費用例
利用サービスと月額費用
支払い額
訪問介護 29,045円
福祉用具貸与 1,400円
合計 30,445円
======【引用ここまで】======
介護保険の構成割合は
税金:高齢者の保険料:40歳~64歳の保険料
=5 : 2 : 3
1割自己負担で30,445円負担している。
残り9割の274,005円は、介護保険から支払われる。
上記構成割合で計算すると、
税金 13.7万円
高齢者の保険料 5.5万円
40歳~64歳の保険料 8.2万円
となる。