若年寄の遺言

リバタリアンとしての主義主張が、税消費者という立場を直撃するブーメランなブログ。面従腹背な日々の書き物置き場。

議員って雇われの身分だったんだ知らなかったー(棒 ~れいわ新選組お手盛り騒動~

2019年08月02日 | 政治
議員は被用者ではなく、法的性質としては自営業者に近い存在です。
こうした観点から、議員年金は廃止されました。
議員は被用者でなく、従って事業主負担というのは存在し得ません。

本来存在しないはずの事業主負担を盛り込んだ議員専用の年金制度の復活は、議員がその権限を悪用して自己利益を図るお手盛りです。

参院選後に復活画策の議員年金 税金負担は300億円か|NEWSポストセブン
======【引用ここから】======
 簡単にいえば、地方議員は支給額の低い国民年金を脱会し、自治体職員と同じ地方公務員共済に加入させることで、年金保険料の半分を税金で負担して手厚い給付を受けられるようにする。対象の地方議員は3万3000人だ。ちなみに健康保険も国保から共済になるため、議員が払う毎月の健康保険料は半額に減る。こちらの税負担は年金とは別に100億円かかる。政治学者の後房雄・愛知大学教授が指摘する。

「会社勤めをしていない自営業者など一般の国民は国民年金でやっている。地方議員も被用者ではないから国民年金が当たり前。それを自分たちだけ特別扱いで共済に入れろというのは特権意識以外の何物でもない。しかも、制度を作るのは議員だから、お手盛りの法改正をしようとしている」

完全な特権復活だ。もちろん、国会議員たちが地方議員にだけ“うまい汁”を吸わせるはずがない。その先にあるのが国会議員年金の復活だ。

======【引用ここまで】======

議員は被用者ではない。
議員だけの年金を作るのは議員特権。
自分で自分のための制度を作るのはお手盛り。

これはある程度知ってる人であれば共通の認識だと思っていたのですが、世の中には色んな人がいるもので。

勝手に副業解禁の公務員(僧侶&司法書士)さんのツイート
======【引用ここから】======
松井大阪市長にはしっかり勉強してほしい。
厚労省の考えでは、重度障害者が働く際の介護費用については、その障害者が働くことで恩恵を得る雇用者(企業)が負担すべきとしている。
今回のれいわ2人の議員の雇用主は参議院(国)。参議院(国)が介護費用負担することは、厚労省の考え方にも合致しています

======【引用ここまで】======


この方は、れいわ新撰組二人の議員の雇用主が参議院(国)であることの根拠として

「議員年金が支給されていたこと、議員年金復活の議論がなされていること」
「特別職の国家公務員であること」

を挙げています。そして、れいわ新撰組の二人に対し参議院が重度訪問介護相当の費用を公費支出することを肯定しています。

勝手に副業解禁の公務員(僧侶&司法書士)さんのツイート
======【引用ここから】======
こういう反論をするバカは沢山いる。

しかし、過去の議員年金も現在復活が議論されている地方議員年金も、財源は議員本人の掛金と国や自治体が支出する公金。
会社員の保険料と同額を雇用者=企業が負担する厚生年金と同じで、議員の掛金に加えて、雇用者を国・地方自治体とみなし公金を支出する考え

======【引用ここまで】======

勝手に副業解禁の公務員(僧侶&司法書士)さんのツイート
======【引用ここから】======
特別国家公務員な。
======【引用ここまで】======

以下、この論拠について見ていきましょう。

【議員年金は廃止された議員特権】

まず、議員年金については上述のとおり。「被用者でないにも関わらず事業主負担のような公費負担を投じて議員専用の年金制度を設けているのは議員特権でありお手盛りだ」との批判を受けて廃止されたものです。

なので、議員年金が支給されていたから議員は国を雇用主とする被用者だ、という理屈は(少なくとも今は)成り立ちません。
むしろ、重度訪問介護を議員年金とを並べたことで、
「公費で重度訪問介護相当の費用を議員活動中も支給することは、議員年金と同様の議員特権であり議員のお手盛りだ」
という思いを強くしました。

【特別職の国家公務員】

次に、特別職の国家公務員についてです。

まず前提として、公務員は厳密には雇用関係ではありません。任用とか任命といった呼ばれ方をします。ただ、一般職の公務員については、国家公務員法や地方公務員法の規定によって労働条件(とほぼ同じもの)が定められ、職務上の義務や雇用主の指揮命令に関する規定が置かれています。公務員には雇用保険が無い、等の差異も若干残っていますが、公務員と民間の被用者とはほぼ同じと考えて良いと思います。

他方、特別職の国家公務員についてですが、この特別職は「一般職ではない」という位置づけを示すものでしかなく、その性質は職ごとにバラバラです。身分保障や指揮命令系統も多様であり、個別の法律等を見ていかないと内容や性質は分かりません。なので、「特別職の国家公務員だから国と雇用関係にある」というのは短絡的です。参議院議員が特別職の国家公務員というのはそうなのですが、そのことが即「議員と国の雇用関係」を証明するものではありません。

通常、雇用関係においては、雇用主と被用者との間の職務上の指揮命令関係が存在します。さて、国と参議院議員との間に、雇用関係と言えるような明確な指揮命令関係が存在するでしょうか。議員に国家公務員法の適用はありません。選挙を終えた後の任期中について議員には広範な自由裁量が認められていることから、雇用契約と言うのは無理があるように思います。強いて言えば、国民との間の委任契約と呼んだ方が多少は近いような気がします。

【議員は最後でしょ?高給取りなんだから】

障害者に対し、誰が、どのような形で支援をするか。いろいろな形があるでしょう。私は、これを公費・税金ですることが最善とは思いません。
仮に、障害者に対し公費で支援をするにしても、その対象、順序、金額は十分に議論すべきです。

何かについて公費で支出する際、その支出を正当化する理屈付けの1つとして「所得再分配、格差是正」があります。高額所得者から徴収し低所得者へ支給することで、格差を縮めようとするものです。

高額所得者から低所得者への所得配分の観点に基づき、今回のような「障害者の就労中でも重度訪問介護を適用しよう」という議論が起きたとしても、これをOKとするなら、所得制限を設けてまずは収入の少ない障害者の就労から適用し、高額所得を得る障害者に適用するのは後回しという考え方があるはずです。

こうした議論をしてからの「参議院議員への重度訪問介護相当の公費支出」を認めるのであれば(納得・了承はしませんが)筋は一応通っていると思います。しかし、今回そうした議論がなされず、他の低所得の障害者を差し置いて、世界一の議員歳費を受け取る参議院議員が最初に、(当面とは言え)重度訪問介護相当の費用を公費から受け取ることになったのです。これをどう正当化すれば良いのでしょう。低所得の納税者からも徴収した税金で、高額所得者たる国会議員への新たな公費支出メニューを作り逆進性を強めたわけです。

ねぇ、参議院議院運営委員会の与党側の筆頭理事、大家敏志さん?やっぱり自民党はお手盛り大好きなの?
ねぇ、参議院議員運営委員会の野党側の筆頭理事、白眞勲さん?立憲民主党は熟議の民主主義じゃなかったの?
コメント
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