「テリファー 終わらない惨劇」
原題:TERRIFIER 2
2022年 アメリカ 138分
■監督:
デイミアン・レオーネ
■出演:
ローレン・ラヴェラ
エリオット・フラム
セーラ・ヴォイト
ジェナ・カネル
デヴィッド・ハワード・ソーントン
●あらすじ
無慈悲で不気味な殺人ピエロによる大虐殺を描いたダミアン・レオーネ監督によるバイオレンスホラー第2弾。
惨劇から1年後のハロウィーン。
ピエロの格好をした連続殺人鬼、アート・ザ・クラウンは死体安置所で息を吹き返し、再び街で殺戮を始める。
(TSUTAYA DISCASより)
★感想など
久しぶりに面白いホラー映画に出会えたと感じた作品「テリファー」
「テリファー」を観た時の興奮と感動は、「ソウ/SAW」を観た時に近かったかも。
いや、あそこまではいかないかな。
「テキサス・チェーンソー」以上、「ソウ/SAW」未満くらいか。
とにかくこれは傑作だと思っていた。
そして続編とくれば、これは大いに期待していたのだが
その期待は無残にも打ち砕かれた!
一個一個検証していこう。
①上映時間
まず観る前に感じたのがこれ。スラッシャー映画で138分は正直長過ぎ。
前作の内容からも一体何をやりたいのだろうと、一抹の不安を感じた。
だがそれは実際に観始めたら、もっとヒドかった!
本作は殺人鬼アートとは全く関係ない家族たちの話からはじまる。
この家族は前に父親が自殺したらしく、その後は家族全員心に病みを抱えて性格に影響が出てしまっている。
とくにヒドイのが母親で、子供の事を全く信用しておらず何か気に入らない事があるとすぐに当たり散らす。
何でもかんでも「あれはダメ」「これはダメ」の何もさせず、反論すると怒鳴る。
終始こんな感じなのだが、この家族たちのギスギスしたイヤな日常をずっと描き続ける。
しかも1時間くらいずっと。この間話は全然進んでいない。
もうこれだけで退屈すぎて苦痛。
あと、全体的に脚本の整合性が取れていないと言うか、伏線を張ってとかの逆バージョンみたいなまとまってない感。
個人的にはこういうの嫌いなので、その辺も観ていて長く感じた。
②殺人鬼のキャラクター
これが良く分からなかったんだけど、どうも本作では悪魔とかそういった現実の生き物ではなくなっているのか?
ところどころの描写からそうなのかなと感じていたが、多分そういう事っぽい。
これはやっちまったなと感じた。
前作が鮮烈だったのは、殺人鬼は普通の人間だと言う事。
映画が始まって普通の人間がピエロのメイクをしているところから始まる。
あのビジュアルが完成すると、街に出て次々に凶行を引き起こすが、どんなに残虐な事をしても常に無表情。
怒りもせず笑いもせず、ただ淡々と残虐な事を繰り返す。
当然その動機も全く不明。
こういったところが、冒頭からこの殺人鬼は人間と示されているのに、人間らしさが全く感じられない点が逆に恐怖だった。
それが本作ではやたらに笑うし、殺し方も前作に比べて何だか感情的だ。
こういった変化点が最初は「エルム街の悪夢」のフレディを意識しているのかと思ってた。
夢の中の出来事が現実に影響する辺りとかがね。
だが実は「IT」の影響大かもと考え直した。
殺人鬼像とか上映時間の長さとを踏まえると。
だがその全てが裏目と言うか、つまらなくなったと思う。
折角前作がオンリ-ワンの輝きを持っていたのに、続編が全て凡百の要素に書き換えてしまったので、
あの独自の輝きを全て失ってしまった。
残酷描写も前作には到底及ばず、人の肌をラテックスみたいな素材の物で作っているせいか
やたらに安っぽく映るのもあマイナス材料。
でもこのゴア描写は逆に安っぽいからこそ、グロさを和らげてくれててむしろ救いかも。
とまあこういった風に、すれっからしのホラー・ファンには不評かも知れないが
近年のホラー映画としては、十分話題に上る映画だろうとは思いますよ。