イエローフローライトを探して

何度も言うけど、
本当にブログなんかはじめるつもりじゃなかった。

入れじゅみ見たにょ

2009-07-10 15:58:39 | 夜ドラマ

世間の趨勢にすがすがしいくらいきれいに流されるウチの高齢家族、NHK大河『天地人』のチビ与六こと人気子役の加藤清史郎くんにもちろんベタ惚れで、放っといたら「免許ないけど飾っとくだけでもいいからトヨタのクルマ補助金で買う」ぐらい言いだしかねない勢いなので、昨日の夜830頃「時代劇の格好でも、こども店長でもない清史郎くんが見られるかもしれませんよ」「ただし、昆布しょうゆの着衣復帰作で、極道の若い衆がわけあって介護ヘルパーに転職するみたいな漫画チックなドラマだと思うんで、騙されたと思って見てみて、清史郎くんの出番があんまりなかったら打ち切って寝たらいいんじゃないすか」と知恵つけてみたところ、揃って食い入るように見る見る『仁侠ヘルパー』

1話拡大枠。2300過ぎまで寝ないでドラマ観てるなんて彼らにとっては年に何回あるかという話です。草彅さん扮する彦一に頬っぺたギューされて「れし(弟子)にしれくらしゃい」と言う場面なんか「かわいーー!!」「頬っぺた赤くなってるぅーー!!」とか萌え痙攣起こしそうになってやんの。そりゃギューされたら赤くぐらいなるだろうよ。ガキだって生身の人間なんだからよ。

おまけにいつの間にか、帰宅した非高齢家族まで一緒んなって「かわいー、ふぎゃー」っつってるし。何で人間って、「かわいい」という感想を“バカのようになる”という行動で表すんだ。

ったくね、自民党も民主党も解散総選挙だの何だのガタガタ言ってないで、総理も大臣もみんな8歳か9歳の子供にしちまえばいいんだよ。「しょうひれーりつじゅうごぱーせんとにひきあげましゅ」とか言ったら高齢組全員「かわいーー!!」っつってホイホイ喜んで身上潰すまで税金払い倒すから。

…………ちょっと疲れてるかな月河。

まぁ与六人気あやかり含みのキャスティングではあったかもしれませんが、月河も2230過ぎぐらいから背中音声視聴で合流したところ、どうしてなかなか、引き込まれるじゃありませんか『仁侠ヘルパー』

2時間サスペンスでよくある“芸者で弁護士”とか“板前で探偵”とか“ラーメン屋で刑事”みたいな、対照的な職業属性をくっつけた意外性っきりの他愛無いドラマかと思いきや、介護現場の現実、事業者側の本音を、耐え難くならない程度に織り交ぜて、人間の善い面と悪な面、言葉やお為ごかしの優しさと根性入った誠実さの対比、ガチ勝負!という骨太なテーマ性もある。

草彅さんのドラマ主演復帰作というところがいちばん注目されたかもしれませんが、そんな視点から取り扱うのは失礼もはなはだしい。萌え狙いやジャニーズファンに媚びただけではない、十分大人の鑑賞に耐える作品ですよ。

認知症の徘徊おばあちゃん(池内淳子さん)がクルマに傷をつけたとチンピラグループに因縁をつけられて、おばあちゃんを庇って彦一が袋叩きされるに至る一連のシークエンスなんか素晴らしいテンションでした。こんなに演出も洗練されたドラマなら万障繰り合わせて冒頭から観るんだった。再放送ないかな。

彦一が砂浜に引きずられて行く場面で流れていた音楽の、ハイテンポな中にも蹴っつまずいたような、泥沼で足取られたような、じれったくたぎたぎしいリズムの曲も最高。主題歌がSMAPなのはEDクレジットでわかりましたが、劇中曲はCD化されるかしら。

しかもチンピラ軍団の気障なリーダーは昨年夏の『白と黒』の小林且弥さんでしたよ。うわー紫のシャツ。『白と黒』の章吾は清廉すぎておもしろみのない“ミスター良識”でしたが、ぬめーっとふにゃーっと、生ぬるく人をコケにした感じが、持ち前の長身と相俟っていい感じ。基本、コワモテではなく優しい顔立ちだから、いっそう嵌まる。むしろこういう不気味な役のほうが合っているのかも。彦一の所属する組と対立する団体の若手構成員という設定ならば、今後も出番があるかもしれません。

彦一の僚友設定らしき若い衆を演じるヤングイケメンくんたちは、『仮面ライダーカブト』のぼっちゃま山本裕典さんぐらいしか顔と名前が一致しませんが、スケバン刑事か『愛と誠』の高原由紀かという目ヂカラの黒木メイサさん、渋い声と顔でちゃかちゃかあたふた走り回る施設長大杉漣さん(←『コールセンターの恋人』での松重豊さんを思い出しました)、ビジネス現実主義者のものすごいオーラで圧する“女性版和製ハゲタカ”みたいな夏川結衣さんと、終盤20分ぐらいほわぁと視聴しただけでも脇ががっつり締まっています。

気がつけば、清史郎くんマジックで一時的にバカになっていたウチの高齢組も、「暗い情熱をグッとハラにしまい込んだ感じで、“草ナントカ”って子が思っていたよりはるかに演技がうまくて驚いた」「目が細いから、“きむたく”みたいに目ヂカラで演技するタイプではないけどツラダマシイがいい」と、観るべきところは見ていた模様。

木曜日夜2200~の、このフジテレビ系の枠は、03年『Dr.コトー』『白い巨塔』あたりから、かなり濃くて大人志向なドラマを充てるようになってきていますね。倉本聰さんの『風のガーデン』や山田太一さんの『ありふれた奇跡』となると、かついでる名前が重すぎて月河なんかは1話も見ないで敬遠してしまったクチなんですが、今作は当たりの予感。

少子高齢化社会における介護問題と言えばいま、日本一洒落にならない深刻なテーマですが、重くシリアスなテーマであればあるほど笑いを帯びて表現しなければいけないし、社会のダニ=ヤクザが介護で働くという噴飯ドふざけなモチーフだからこそ、逆に鼻血が出るほどとことんくそまじめに取り扱わなければならない。

まぁそうは言っても所詮はフジ系ゴールデンで、かつSMAP主演ですからどこまでもゴリゴリ硬派というわけにはいかないでしょうけれど、ちょっと期待してウォッチしてみましょうか。

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ハト麦玄米月見草

2009-07-09 20:05:38 | パワーストーン

先々週見つけた、ペットボトル爽健美茶のおまけ“パワーストーンアクセサリー”、あれはローソン限定のキャンペーンだったのかな?セブンイレブンやJRキオスクで売っている同茶にはついていませんでした。

そうなると妙に執着心が芽生えてきまして、先日はわざわざ遠回りしてローソンに攻め込み、未入手だったホワイトジャスパーと、グリーンアベンチュリンの携帯ストラップ、あとイエロージェイドの紐ブレスレットを入手。

余計なことひとつ付け加えると、都心のローソンでは350mlボトルにも一個ずつ付いていたのに、地元近辺では500mlボトルにしか付いていませんでした。店の売り上げ本数によって、おまけの割り当て個数に差をつけてるのかしら。

 携帯ストラップは、バッグチャームと同じスエード系の革紐に、直径89ミリぐらいの玉石を通して二つ折りにし、ストラップ糸金具を付けたものですね。ホワイトジャスパーの革紐はサンドベージュ、グリーンアベンチュリンのはモスグリーンとカラーコーディネイトしてあります。

紐ブレスのイエロージェイドは紐がブラック。ちなみにオレンジアベンチュリンのそれは麻色ベージュでした。どちらも書類綴じ紐か、古雑誌くくって出すときの荷造り紐かってぐらいであまりお洒落じゃない気もしますが、この装飾性のなさがパワーストーンらしくてまたいいね、と思うことにしましょう。

イエロー“ジェイド”と広告などで出ている不透明淡黄色、乳黄色、蜜黄色の石は、本物のジェイド=翡翠ではなく、たいていはアラゴナイトという、方解石系の石です。純粋なジェイドできれいなイエローのものは非常に希少なので、通販の広告で不特定多数に売れるような値段にはおさまらないはず。

「なんだ、じゃあバッタもんか」とがっかりめさるな。スペインのアラゴン地方(首都はサラゴサですが、サッカーのスペインリーグでは…強いのかしら)に特産することから名づけられたこの石、イエローが“黄金”を連想させるので、通販カタログなどでは金運アップのパワーストーンとして売られていることも多いのですが、意外や、わりと知的精神性に働きかけるタイプの石でして、たとえば会社の企画プレゼンや、学生さんなら面接・口答試問などに臨む前の、無駄な緊張感や「失敗したら、噛んだらどうしよう」といった不安、怖れを解消してくれるパワーがあります。蜂蜜をころんと固めたような、やさしいトーンの石ですが、就活中の彼氏やビジネスマン諸君に向くかも。

もうひとつ、これは月河自ら効果を体感する場面がまだないのですが、カルシウムの吸収と代謝を助け(←イライラや焦りを鎮めるという点で、やはり試験プレゼン対策向きですね)、その結果として、皮膚や粘膜のトラブルを癒し再生を促す効果もあるそうなんです。ニキビや肌荒れ、口内炎、あるいは抜け毛などに悩んだら、ちゃんとした皮膚科の治療と並行して、着けてみるといいかもしれません。

ホワイトジャスパーは、ジャスパー(=碧玉)の名で、パワーストーン好きの人ならすぐわかるように、水晶、瑪瑙(めのう)と同じ石英の仲間です。不透明純白色のジャスパーですから、水晶のマット版、瑪瑙の縞紋様なし白無地版と思えばいいかな。

ジャスパーの石言葉が“自然からの創造性”というきわめて広大無辺な、て言うかアバウトな、何とでもとれるようなもので、たとえば今回の爽健美茶アクセには「前向きな精神力を補い、勇気と希望をもたらすといわれています。」とありますが、本によっては災難から身を守ってくれる、健康と長寿の石などといった表現をしている場合も。

月河は思いっきりアバウトに、“自然”に反する労働やストレスで消耗したときのレスキュー石、と思うことにしています。たとえばクルマや飛行機での長時間の移動を伴う出張、正装しての冠婚葬祭出席と挨拶回りなどの営業活動。PCを使っての長時間労働後もそうですね。

出張営業や冠婚葬祭の行事も、順調で快適、楽しくトークして終了ならばあまり疲れませんが、本当に神経磨り減る相手と延々向き合って、なんなら説得とかしなければならないときもありますからね。PCも思うようにサクサク動いてくれないこともあるし。カラダより気疲れ的なしんどさにはジャスパー、かなり効きますよ。

今回のホワイトジャスパーは、ケータイにつけるストラップになってますから、ケータイで営業してる、人脈作りしてる人、うまく回してるつもりだけどときどきドッと疲れる向きにはぴったりかも。

前にも…と言うかパワーストーン関連の記事ではいつも書いていますが、とにかく石は、本や情報の宣伝文句に惑わされずに、まず見て、触れてみることがいちばん大事です。

いろんな媒体が溢れている現代、画像・動画・音楽ソフトの視覚聴覚、あとグルメの味覚に関してはみんな繊細鋭敏かつアタマでっかち、情報でっかちになっているのに、“触覚”はわりとなおざりになっているのではないでしょうか。石という“地球の一片”に、自分の手、指、自分の肌を接してみて、「この石に触れたらこんな感覚をおぼえた」「こんな気持ちになった」という所感を掴むのが第一。巷間パワーストーンと呼ばれているものに本当に“パワー”があるのかないのか、すべてはそこから始まります。

まだキャンペーンやっているかな。別に爽健美茶の営業のマワシモノではないけれど、日中冷たい飲み物がほしいな、でもまだアルコールは時間的に早いなと思ったら、まぁだまされた気でローソンに行ってソフトドリンク冷蔵ケースをバーン開けてみてはいかがでしょう。

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ありがとう、君と

2009-07-08 22:11:12 | CM

たぶん日本全国で一千万人ぐらいの人が同じことを考えていると思いますが、オンエア始まったのは先週からかな?復帰した草彅剛さんがスーツ姿でカート引いてビジホの部屋に入ってホッと溜め息をつくP&G“アリエール”CM

「どこにいても、君が洗った真っ白なシャツが、ボクを包んでくれる。」

……よろしいですか?さぁ、皆さんご一緒に、

「 だ っ た ら 脱 ぐ な よ ! ! ! 」

………まぁ、まじめに、ポジティヴに考えれば、P&Gはイメキャラとしてよほど草彅さんを気に入っているんでしょうね。“衣類の汚れをきれいに落とします”“ウチので洗った衣類は気持ちよく着られますよ”というアピールをTVでするのに、こともあろうに“衣類何もかもぜんぶ脱いじゃった”人、「かねてから、お酒が回ると脱ぎたがる傾向はあった」、つまり、“着てるより脱いでるほうを快に感じているらしい”と世間に知れ渡ってしまった人を起用し続けるんですからね。

この洗剤CMシリーズ、一貫して「妻が~」「妻の~」と、草彅さんヴォイスのナレーションが入るので、耳にとまり始めた頃は、主婦層に人気の既婚男性タレントさんはいくらでもいるだろうに、なぜ未婚の草彅さんに「妻云々」言わせるのかなと不思議に思ったものです。それほど草彅さん個人、もしくはSMAP、ジャニーズブランドの市場的訴求力が高く買われているのかなと。

でも最近気がつきました。未婚のタレントを“幸せな既婚者”キャラで使ってる限り、「離婚・不仲・不倫スキャンダルで降板させるゴタゴタが無くて済む」

結婚絡みのトラブルから自由なことにおいて、“結婚していない”は最強無敵です。

実生活でのご夫婦芸能人による夫婦役CMが、いつの間にか流れなくなったなと思ったら、案の定間もなく別居、離婚が報じられた、なんてよくある話。ご夫婦出演じゃなく単独出演でも、既婚タレントさんは既婚じゃなくなるとかなり商品価値が下がるらしい。洗剤や柔軟剤や入浴剤を店頭で選ぶほうは、「CMしているタレントさんが実生活でもちゃんとしてるかどうか」なんて全然考えちゃいませんけどね。

それに比べると先般の草彅さんの“全裸事件”なんかは全然軽微なほうだと、スポンサーサイドは考えているのかもしれない。草彅さんが本当に誰かと結婚して「妻が~」のナレがリアル必然になったら、逆に「リスクが高まった」と考えて、イメキャラ交代となるのかも。

さて、P&GのこのCMがレギュラーで耳にとまる番組と言えば『夏の秘密』

こんなんでかりにも逮捕、裁判立件、本当に成立したのか?ってぐらいあっさり、みのり殺害事件が自殺認定にひるがえり、龍一(内浦純一さん)は無罪放免となったにもかかわらず、いまだ夕顔荘に借りた部屋を撤収できず立ち寄り続ける紀保(山田麻衣子さん)。彼女の中では、みのりが自殺に追い込まれた理由がわかるまで、事件が終わった気がしないのでしょう。

と言うより、“幸せにしてやりたかったみのりの、死の真相がわからないと、肩の荷が下りない”伊織(瀬川亮さん)の苦悩を、自分も共有したいという気持ちが紀保にすでに芽生えている。

単純に、「優しくて賢くて完璧だったフィアンセが、嵌められたとは言え他の女性と肉体関係を持って子をなし、要求されてカネまで渡しながら自分には隠していたとわかり、事件前に比べて薄汚れて見えてきた」「そこへ、自分のいままで知らなかった(貧乏で影があり無愛想な)タイプのイケメンが視野に入ってきて、時間や行動をともにするうちに心が傾いてきた」というだけの話ではない。紀保にとって、1819話で遭遇した、家賃滞納失業男の自殺の件と、それに関連しての伊織の言葉が重要だったと思う。「命に別状なくてよかった」と何げなく口にした紀保に、「“よかった”じゃ済まされない、あの人が本当に苦しいのはこれからだ、あんたは本当の貧しさってものがどういうことかわかっていない」「貧しいってことは食べるものや住む場所がなくなるだけじゃない、希望や夢を見る力も奪われる、そういうことなんだ」と硬い表情で断じる伊織。

紀保はこの後アトリエに帰りますが、自分の本業で得意分野である高価なオーダーメイドのドレス、海外出張帰りの父からの土産のスイーツ、王族から馬を購わないかとプレゼンされた話、興じる若い女性スタッフたち。いままで何の疑いも懸念も持たなかったホームグラウンドの世界が、不意に絵空事に思えて、会話に入って行けません。

紀保が伊織に心惹かれる動機は、斜陽町工場の長女フキ(小橋めぐみさん)が伊織に夢中になる動機と、対極なようで相似していると思う。

衰退する村と老親の家業に縛りつけられたカントリーガールが、どこからともなく馬に乗って現れた放浪の凄腕ガンマンに恋をするように、フキは伊織に“土着でないがゆえに、自分の人生を上り坂に転じさせてくれる可能性”を見て必死に「ずっとここにいて、私と生きて」と縋っていますが、紀保は伊織に暗に「あんたの住んでる世界は、(必死に生きてきた)俺から見ると甘っちょろくて薄っぺらだね」と指摘されたような気がしている。どちらも伊織が“自分の知らない、外の世界から来た(どこに去って行くかわからない)エトランゼ”だからこそ惹かれているのです。

紀保にとって、みのりが死に至った経緯と真相を究明したいと思うことは、伊織という男の内面、人となりを知りたいと願うことにほかならない。誇らかに輝いていた自分の世界を、一瞬のうちに安っぽい書き割りに変えた魔法使い=伊織の心が、紀保にはワンダーランドになった。

潔白が法的に立証された龍一が、再び“ふさわしい理想の婚約者”に返り咲いても、客観的に潔白で瑕疵がなければないほど、彼との結婚のレールに戻ることはすでに“色あせて見えはじめた日常”に過ぎなくなった。

カッコいいから好きになる、秘密ありそげだから興味を持つ、ふとしたとき優しくしてくれたからほだされる、そういうレベルの話ではない。紀保にとって、あるいはシャドウ・キャビネットならぬシャドウヒロインのフキにとって、伊織と、あるいは伊織への自分の思いと、向き合い対処することは、20代後半にして遅れて訪れた“世界との出会い”そのものなのです。

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季節ネタ

2009-07-07 23:32:13 | お笑い

今日(7日)は出先で『つばさ』昼の再放送視聴。「メジャー宣言」した竹雄さん(中村梅雀さん)の“創作和菓子コンクール”優勝妄想ひとり芝居に、さすがに爆笑はあたりを憚り、一人ニヤニヤ。

クチ三味線ならぬ、クチドラムロールまで入れちゃった。先週の『婦系図』酒井先生役といい、梅雀さんは“演技とかしたことないおとなしい人が、突発テンション上がって演っちゃった”という芝居が本当に憎たらしいくらいうまいですね。うまい役者さんが“ヘタな芝居”演技するのって難しいと思うんですが。

『つばさ』で月河が好きなところのひとつは、ホーローの母・加乃子さん(高畑淳子さん)筆頭に、人物たちが軒並み“フットライト浴びてパァーッと派手なことやって、あるいは感情剥き出しにガーッと行動して、スカッとしたい、有頂天になりたい”という願望をひとつも押し隠さないところです。何かっつったら“日の当たらない地味な仕事をコツコツ努力、寡黙に辛抱”みたいなことを称揚しがちなNHKドラマにあって、これはとても気持ちがいい。昔流の表現で言えば、“ひと旗揚げたい”“故郷に錦”願望とでもいいましょうか。従来のNHK的世界観なら「さもしい」「刹那的」「浮ついている」と否定的視線で取り扱われたはずのこういう願望、欲求をとことんプラスに描写している。

当地にも複数のコミュニティFM局がありますが、こう言っちゃなんだけど、コミュニティ放送って、地域を這いずって日常にまみれているシロウトの“注目されたい、目立ちたい精神”が無かったら、初めから成立しないはずです。

「ジューとジューでニジュー」って、ベッカム一郎(川島明さん)のギャグも、袖にした相方・ロナウ二郎(脇知弘さん)のそれに“劣るとも優らない”極寒ぶりじゃないですか。「日本一くだらないラジオ局」との謂いは、ベッカムとしては「気合いの入った無意味」「アホなことを真剣にやっている」という意味の褒め言葉だったのかもしれないけれど、“全国ネット”をかさに着て、好き勝手サカナにして曝すということの人をコケにしっぷり、無礼千万さを、つばさ(多部未華子さん)の手で、いやクチでバリバリ叱ってやってほしいですね。ラジオぽてとの面々、あんまりナイーヴに喜ぶなよ。

あとね、ベッカム登場週のうちに、つばさからでもロナウからでもいいけど、ヤツに「夜が明けたら東から昇るものは?」と振って、ヤツのいつものヴォイスで「…アサヒです。」って言わせてほしいな(………瞬間凍結)。

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今週は麒麟仮面

2009-07-06 23:01:48 | 再放送ドラマ

最近、午前中1000台に、80年代の『必殺仕事人』シリーズ再放送を不定期でやっていて、どういう時系列なのか、見かけるたびに中村主水の藤田まことさんが微妙に若返ったりちょい老けたりしているのですが、ここのところは『必殺仕事人V 風雲竜虎篇』。村上弘明さん扮する鍛冶屋の政が、“裏の仕事”に赴く前、ウォームアップよろしく必ず鉄棒に両脚かけて逆上がりしたりベンチプレスしたりしてるんですよ。もちろん半裸。

このシリーズのメンバーが主水以下、なんでも屋お玉(かとうかず子さん)に南京玉簾使いのかげろうの影太郎(三浦友和さん)に絵馬坊主の蝶丸(桂朝丸‘現・桂ざこば’さん)という面子なので、村上さんの政はただひとりのワイルド&肉体担当。

『つばさ』の翔太(小柳友さん)を思い出さずにはいられませんな。ひょっとしたら翔太のほうが、“ヒロインの初恋担当”プラス“ドラマ世界自体の肉体担当”ってことなのかもしれない。台詞がなくてひとり映りのシーンでも半裸でウェイトレですもんね。80年代当時は花の金曜日夜2200台の放送だった『必殺』シリーズならともかく、朝に半裸汗ダラのワイルドは要らないと思うけどな。

長身で南方系濃厚フェイスなだけで、どこかJリーガーにあるまじくヒョロい翔太に比べると、本放送当時30歳、身長185センチ、元・仮面ライダー筑波洋の村上さんのウェイトレシーンは、毎話数秒のカットだけど結構見応えありますよ。設定がオモテの本業鍛冶屋なのに、何で仕事場に鉄棒やバーベルがあるんだ?なんて野暮なツッコみは自重の方向で。

ただ、『風雲竜虎篇』というすごいサブタイのこのシリーズ、共演の男性陣が藤田まことさんと三浦友和さんと桂ざこば師匠ですから、“純粋頭脳担当”が不在で、村上さん扮する政の肉体ワイルドがちょっと空回りな印象は否めません。熱血でフィジカルな政の対極となるべきクール&精神性、言わば戦隊におけるブルー担当は影太郎の三浦さんのはずですが、当時35歳の三浦さん、すでに結構肉づきが良くて、総髪ロン毛に派手な陣羽織の大道芸人ルックでも、カスミを食って生きてる様な傾(かぶ)き者感、非日常感があまり無いんだな。体温高そう、米のメシしっかり食べてそうで、人として生気があり過ぎなんですよ。

その点、この前に放送していた『旋風篇』には、長崎留学帰りでアタマでっかち新し物好きのイマドキ青年で、“仕事”よりドクター中松みたいな殺しの小道具考え出すほうが得意だったっぽい歯科医(←この前のシリーズまでは医学校受験生だったはずですが、医者二世の出来のよくないのの例にもれず、結局歯医者止まりだったらしい)の西順之助(ひかる一平さん)がいましたから、一応ギリでバランスが取れた。

こうしてみると『仕事人Ⅲ』『同Ⅳ』までの、三味線屋勇次(中条きよしさん)と錺職人秀(三田村邦彦さん)とのバランスは唯一無二でしたね。軟と硬、と言うより彩色とモノクローム。勇次はレッドのタイプとはお世辞にも言えないけれど、さりとて秀もブルータイプではない。

陽と陰でも、光と影でもない、強いて言えば、昼の日影と夜の月影。そもそも仕事人自体、正義の存在ではないのですから。言わば、“追加戦士が2人いる”ような贅沢感がありました。

『Ⅳ』時点で中条さん37歳、三田村さん30歳、対極のキャラながらいずれ劣らぬ二枚目の2人、ワンセットの仕事を請け負っても決してわかりやすいチームワークは無く、水と油みたいなのもよかったですね。大人の戦隊は仲良しこよしじゃいけない。要所要所で、世間知的なこと(特にオンナ関係)ならより長けていると思われる勇次が、不器用で融通が利かない秀をリスペクトして、助言を与える場面もあったり。さりとて秀がスペック的に劣っているわけではなく、『Ⅳ』では“幼い子供に慕われる”というお茶の間最強の属性を全開、同24話での加納竜さんとの空中戦など、“男対男”の局面では他を寄せ付けませんでした。

やはりチームもの、バディものは初めにキャラありきですね。俳優さんの持ち味や表現力、表現させてみてどう出るかの結果に俟つ部分も大きいですが、役者に本を渡し、現場に入れる前に、作り手にどういう風景が見えているか、どういうやりとりが頭の中で聞こえているかがいちばん重要だと思います。

『つばさ』も、公式サイトの“キャスト”ページのデザインから連想される通り、基本“大きな戦隊で、“毎週替わりで敵怪人来襲(“来襲”と言うより“来訪”)”みたいな構造のドラマですが、最近は、翔太よりつばさ弟・知秋(冨浦智嗣さん)のほうが、ユニセックスヴォイスはそのまま、いいカラダになってきつつありますね。或る日突然、意味無く2人並んでウェイトレしてたらうけるんじゃないかな。翔太が宮崎に帰る前にぜひ。

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