KAORU♪の「気ままなダイアリー」

KAORU♪が見つけたステキな風景、出会ったおもしろいできごと、おいしい料理などを“気が向いた時”にご紹介します。

★“光”から“光”へ

2006年09月30日 | KAORUの好きなものギャラリー
【夕暮れの東京ビッグサイトと三日月】

先日、1回だけ補習でレッスンを受けた英会話の先生が
学生時代、映画の勉強をしていたと自分のプロフィールを
教えてくれた。来日したいきさつは英語の教師としてだけでなく
日本の1960年~1970年代の映画が大好きだから、だという。

なぜその頃の映画に魅力を感じるか、というと
「グレーだから」なのだそうだ。

欧米の映画はヒーローと悪役がはっきりと分かれていて、
かならず“いいモノ”が勝つようなストーリーになっているが、
日本のその時代はその境界線があいまいで、ヒーローなのか
悪役なのかわからない。“いいモノ”が結局負けてしまったりする。
そこが面白いのだとか。

たとえば、「子連れ狼」「座頭一」。
確かに子どもの頃、見ていてもちょっと怖かった。
“いいモノ”なんだろうけど、もしかしたら時々“わるモノ”?
胸のすくような、すがすがしいヒーローではなく、
顔つきも風体もすごみがあって、
“ちょいワルおやじ”よりももっと筋金入りである。

ここで年代がわかってしまうが、幼い頃に見た
白黒のテレビでやっていた「大魔神」もかなり恐ろしくて、
悪人達にしびれを切らすと、砂?のような建物から出てきて
(幼稚園の頃の再放送なのでかなり記憶があいまいだけれど)
突然、怒った形相に変わり“わるモノ”を次々となぎ倒す。

「あ~、よかった!」という安堵の気持ちと、
一瞬見せる阿修羅のような顔つきは、子ども心に
怖くて複雑な気持ちを抱いていた。

そういえば、あの頃のアニメもみんな同じような設定が多い。
ブラックジャックも、名医なのに時々、悪役の顔をのぞかせる。
デビルマンも、仮面ライダーも“悪”から“ヒーロー”になっている。

つまり“善”と“悪”が表裏一体で、憂いと悲しみを含んでいるのが
1960年~1970年代の特徴なのではないだろうか。
ちょっぴりマヌケで人間くさいヒーローや、
“イケメンのうっとりするようなヒーロー”ではなく
暗い過去を引きずった“ちょっと不幸な影のあるヒーロー”
が見るものの同情をさそう。
あこがれというよりも哀愁とドロドロなのである。

そしてアニメにもあるように、“闇”から“光”へと向かうのは、
時代背景で考えると戦争が終わり高度経済成長期へと
日本がまい進していった姿を重ね合わせてしまう。

でも“光”になりきれずに、時々“闇”が顔をのぞかせてしまうのは
まるで、もがきながらも平和を目指そうとしていた、
当時の、日本の姿そのものであったような気がする。

それが、国民の代表的な感情で
みんなの共感をよんでいたからヒットしたのである。
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では、今の日本が目指している方向や
共感をよんでいるヒーローはどんなものなのだろうか?と
ふと考えてみた。

ヒーローではないけれど、“国民的な人気者”と言えば
やっぱりSMAPだろう。

なぜ彼らが長年、人気を維持しているのか
私なりに、そして周りの人の意見も聞きながら
改めて考えてみた。

まず、多くの人が口を揃えて言うのが
「すごく仲良しだから。」

プライベートでも、時折遊びに行ったりするという話を
聞くと、なんだかほっとする。
仕事の時だけ、と割り切って仲の良いふりをしている
よりも、ずっと安心感をもって見守ることができるのだ。

そして、ある人の意見では、
「でも、ベタベタしすぎてないのがいい。
適度な距離感がすごく羨ましくて、あこがれる。」という。

お互いをすごく尊重して、これはかなわないな、という
領域をそれぞれ持っていて、それを素直にすごい!と
認めあっているところも、見ていて微笑ましい。

きっとこの人たち、裏表ないんだろうな、と思わせる
スタンスがなんだか心地いい。


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昔のヒーローや人気者の「光」と「影」の“表裏一体”は、
ちょっぴり怖くていつ豹変するのかわからない、という
不安感がいつもつきまとう。


でも今、時代は「一匹狼」ではなくて、
みんなでそれぞれに得意なジャンルを持ち寄って
一人ではだせないパワーを最大限に
発揮するのが主流なのである。

だって、その証拠に最近の仮面ライダーだって
一人じゃないのだ。
何人もいて、それぞれに個性的だ。
それって、単にたくさんキャラクターが売れるから、という
だけの理由ではなくて、時代の流れを無意識のうちに
つかんでいるからだろう。

テレビやドラマの傾向から、私たちがなにを望んでいるのか、
どんな方向に進もうとしているのか、を読み取ることが出来る。

“闇”から“光”へと進んでいった日本は、
“光”から“さらに輝く光”へと現在進行形で向かっているようだ。








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