【カレーを中に入れて食べる“ホッパー”(ココナッツミルクで作るクレープ)】
森の息吹に包まれた古都KANDY(キャンディ)を
散策する時間もなく、
最後の目的地、BERUWELA(ベルワラ)へと
出発したのは午後2時すぎ。
5時間ぐらいで着くよ、とクルネーガラからわざわざ
迎えに来てくれたKさんは言う。
スリランカ南西部に位置するビーチリゾート、
バーベリンリーフリゾートホテルへと
Kさんほか、2名のスタッフとともにドライブ。
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さながらカーチェイスのような
見事なドライビングテクニックと、
にぎやかなクラクション。
3人のスリランカ人に囲まれて、
車内は、陽気なシンハラ語でさらに
にぎわいをみせていた。
意味はよくわからないけれど、
シロダーラでボーっとした頭には
ちょうどいい。
時折、英語でKさんが話しかけてくる。
「KAORUサン! ←ココだけ日本語
あなたの名前の意味は?」
「KAORU=Good smell(よいにおい)
SHIMIZU=Clear Water(澄んだ水)」と答えた。
「Oh!Good! キレイな名前だね!」というので
「あなたの名前の意味は?」と
みんなそれぞれに聞き返すと
「有名な人」とか「金持ちの人」「誇り」という。
立派ですばらしい意味が込められているね~!
と感心していると、
すかさずKさん、
「Only name!(名前だけね!)」と言うので
思わず大爆笑。
車窓から、道行く人を指差し
「ねぇ?あのスカートみたいなの
男の人がよく着ているけど民族衣装なの?」と聞いたら
「あ~、“サロン”ね。
あれはVillage Style(ビレッジ スタイル=村人の格好)なんだよ。
気持ちいいんだよな~。(下着も)なんにもつけてないから。」
とジーンズ姿の彼らはうらやましそうに言う。
また私ひとりケラケラと笑った。
「アーユルヴェーダってスリランカでは
どこで受けるの?お店に行くの?」
「どこにも受けに行かないよ。
だって家でお母さんが家族全員の
マッサージをするんだよ。」
「そうなの?じゃあ、お店とかホテルの
アーユルヴェーダは観光客用なの?」と聞いたら
そうだよ。スリランカ人はお店にはいかない。という。
5000年の歴史を持つというアーユルヴェーダ。
本当に生活や暮らしに密着した
筋金入りの民間療法のようである。
途中、道を間違えたり
4人でお茶しながらのロングドライブ。
ホテルに到着したのは午後10時過ぎ。
なんと8時間が経過していた。
クルネーガラに戻ると夜中になっちゃうね。
ごめんなさいね。大丈夫?
というと、
心配しなくても平気。
運転交代しながら帰るから。
ありがとう!
気をつけてね!
また、いつの日か会いましょう♪
そういってホテルのロビーでお別れをした。
チェックインを済ませ、レストランに直行。
遅いディナーを食べてから
部屋へと案内された。
すっかりと慣れたスリランカスタイルの
「蚊帳」をベッドに広げ
シャワーをさっと浴びて、そのまま早々に眠りについた。
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【10日間お世話になった私の部屋】
翌朝目覚めたのは、午前6時過ぎ。
ザザ~ッという穏やかな波の音が鳴り、
表に出るとあたりは朝陽が登る直前。
薄明るくなっていた。
ホテルの前にはビーチが広がり
海がすぐ目の前。
前日は暗くて、どこにあるのかよくわからなかったが
塀の外、数メートル先はインド洋へとつながっていた。
薄暗い夜明けの海から
じょじょに太陽が降り注ぎはじめたので
ビーチサイドへ出る木のドアを
ギギーっと開けて砂浜へ降り立ってみた。
深呼吸をして、空を見上げていると
「Good morning!」と愛想のよい男性が話しかけてきた。
右側を指差して、
「向こうにいくとウニが捕れるよ!
日本人はウニが好きなんでしょ?
スリランカでは食べないけど。
引き潮のときに行くと、手で簡単に捕れるから
行くといいよ。おいしい、ってこの間の日本人がいってたよ。
正面を指差しながら、
ここにはイルカも来るんだ。
ほらすぐそこまで泳ぎに来るよ。
それから左側を指差し、
津波の時には、向こうから波が来たんだ。
みんな「津波」がどういうものか知らなかったから
一斉に魚を採りに行ってしまったんだよ。」
そんなあれこれを長い時間
ひとしきり聞いたあと、
「トゥクトゥクの運転手をしているから
もし町に行きたいときには声をかけてほしい」と言われ
初めて、もしかしたら客引き?と気がついた。
ずいぶんフレンドリーだから
つい話を聞いていた。
ここではゆっくり深呼吸もできないと思い
ホテルの敷地のベンチに腰をかけると
「Hey!」とまた別の人が声をかけてくる。
場所をかえて、さあここでゆっくりしよう、と思ったら
またほかの人が「Good morning, マダム!」と
塀越しに笑顔を振りまいてくる。
あ~、もぅ!海を見ながら一人で
のんびりしたいのに!
ぜんぜん落ち着かない~!とガックリしながら
仕方がないからプールサイドへと移動した。
プールの脇の茶色い地面には
真っ白い花びらと純白の絹糸のような雌しべが
ポトポトと落ちて、まるで生地の模様のようで美しい。
空は白から、青へと移り始めている。
今回の旅のメインイベント、
アーユルベーダ治療、10日間がいよいよ幕を明けたのである。
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朝食はビュッフェスタイル。
【海が見える開放的なダイニングルーム】
たくさんの種類のアーユルベーダ料理が並んでいる。
どれも超おいしい~♪
しょっぱなから大満足。
おなかいっぱい食べたあと、
ドクターの問診が始まった。
常駐している通訳のディビットさんは日本語堪能で
特に医療的な話には心強いサポーター。
ディビットさんは、
「あとね、ビーチで話しかけて来る人とは
話さないように。いろんな問題がでています。」と
念を押されて、やっぱそうか~・・・。
せっかく海に来たのに
ビーチに出るのがなんだかイヤだな・・・・。
なんて思ったりした。
そして、私のメニューが決まった。
●オイルトリートメント(約40分)
→2人のセラピストがヘッドから始まって全身トリートメント。ハーバルティ付き。
かならずアイドロップス(目薬)も投入される。
●薬草湿布で患部を温湿布(約30分)
→ハーブのほかフルーツや野菜の香りもする自家製湿布薬。
目にはきゅうりパック。
●ハーバルバス(約30分)
→バスの近くの大きな鍋でハーブを煮ている。それをお湯の中に入れて横たわる。
セラピストが足、腕、胸、お腹・・・全身に何度も何度もお湯を流してくれる。
ひたすら30分も!
そのあと、
●鍼治療→30分。波の音を聞きながら、そよ風を感じて横になる。
●薬の処方→毎日午後3時に自分の薬箱入っている。
午後4:00、6:00、8:00、9:00、
午前6:00、8:00に飲む薬。
朝食後、
午前9時15分からトリートメント開始。
10時40分頃終わると、
ダイニングに行って本日のジュースを飲んでひと休み。
【マンゴー・紅茶・ライムのフレッシュジュース】
ロングチェアーにごろんと横になって
そよ風の音を聞く。そして少しのあいだ目を閉じる。
午前11:30から鍼をして午後12:00に終了。
おいしいランチタイム♪
特にランチはデザートが一番充実していて
楽しみだった。
【ストロベリームース・バナナカスタードクリーム・ココナッツシロップ】
デイリースケジュールはそんなカンジ。
それを10日間毎日繰り返す。
5日目ぐらいに途中、ドクターの再診があり
脈診や血圧を測ったり、カウンセリングがある。
「じゃあ明後日、アイトリートメントを
しましょう。受付で予約を入れてください。」という
指示をもらった。
先生の見解と、ある程度は本人の希望や意向も
考慮しながら治療内容が決まっていく。
今回、私はバーベリンではシロダーラは受けずに
ひたすらボディのケアに重点を置いてもらった。
その他のデトックスメニューには、
●ナスヤ→鼻の穴から液体?粉末?を注入
●浣腸→腸からスッキリ毒だし
という方法もあって、
私の周囲は結構、すべてのデトックスを体験していた。
ちなみにアイトリートメントは、
白い粘土のようなやわらかいもので
目の周囲に土手を作る。
そこに生温かい液体が注ぎ込まれて
「Open your eyes.」と言われると
両目を開ける。
液体の中で目をシャバシャバと洗うカンジである。
それを何度か繰り返し、
土手が崩され、液体も抜き取られ終了。
生温かい液体はなに?と聞いてみたら
「ギー」だと答えが返ってきた。
よくインド料理のナンの上にとろ~っと
かけている澄ましバターの一種である。
そういえば、匂いもなんとなく
バターっぽい。
刺激もなにもないのだが、
私は目の充血が取れたし、
他の人たちは視力が良くなったみたい!
なんか良く見えるのよ~!
もう一度やってほしい♪と大好評だった。
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マッサージやお湯の力でリンパを流し、
あらゆる穴から毒素を排出し、
体にいい食生活で内部から変化させる。
そしてヨガや太極拳、瞑想など、
体にいいことを徹底したスペシャルなプログラム。
レストランでは、
自分の体調やダイエットレベルまでが記された
カードが自分のテーブルに置いてあり、
毎食席に座ると、ウェイターさんが必ずチェックする。
そして、ドクターの指示にある
スープやフレッシュジュースを
各個人の状態に合わせて運んできてくれる。
【私は貧血気味ということで
毎朝、真っ赤なハイビスカスウォーター。】
3食、毎日違う豊富なメニューが揃い、
料理の下には効能と、その他に日本語でも
「シロダーラ中は禁止!」
「ダイエットコントロール中は禁止!」と書いた紙があり、
専門の栄養士さんが
さりげなく何をチョイスしているかをチェック。
今、これはあまり食べないほうがいいわ!
ときどき、イエローカードやレッドカードが
出されたりして指導が入る。
そして
体調に合わせて、オススメメニューを
アドバイスしてくれる徹底ぶり。
とにかく、ドクターの指示が
全体に行き渡りチームとなって
メンテナンスしてくれるのが本当にすごい。
毎日アクティビティーが用意されて、
好きなプログラムに参加できるが、
それもすべて無料。
満月の日にお寺で行われる
「Full Moon フェスティバル」にいくツアーや、
川のボートツアー、地元の朝市、
世界遺産の「Galle ゴール」にいくバスツアー、
ウミガメの保護センターへの見学。
ホテル内では、
薬草園見学とハーブについてのレクチャー
野菜を使ったカービングレッスン、
アーユルヴェーダクッキングデモンストレーション
【マジメにメモっているのは
だいたいドイツ人か、日本人の私】
アーユルヴェーダ占星術、
アーユルヴェーダトリートメントのレッスンなどなど
多彩なメニューが用意されていて、
毎日掲示板に貼り出されるスケジュールを見えて
参加したいプログラムをチェックする。
もし行きたいところもなければ、
まったくのフリータイム。
ビーチで本を読んだりお散歩したり
自分で町に買い物に出かけたり
夕食まで、それぞれ思い思いの時を過ごす。
そのほか、
ホテル内にはビューティサロンがあり
フット、フェイス、ヘッドスパ、
ヘアカット、ナチュラルマニキュア、ペディキュアも
毎日予約できる。
それもまたすべて無料♪
夕方にはサンセットラウンジでは
アフタヌーンティの用意がしてあって
自由に紅茶やクッキーなどを楽しめる。
すべてがインクルードされていて、
ホントに至れり尽くせり、とはこのコトである。
【ディナーのビュッフェテーブル用
ヤシのテーブルセンターを編んでいるところ】
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食事が大切な私にとって
まずは料理がいうことなし!
一度だけ、頭痛とお腹の調子が悪くなって
ディナーを食べることができなかったが
その時、日本人仲間で
「あのKAORUちゃんが夕飯にこないなんて
よっぽど具合悪いんじゃないかしら?」って
心配していたそうだ。
ごはんが体調の目安になっているぐらい
毎食毎食が楽しみだった。
味の良さにプラスして、安心食材を使い、
すべてが手作りでヘルシー。
とはいえ、あまりのおいしさに
あっという間に2キロ太り、
3キロ越えもすぐ目前である。
日本人のAIちゃんはみるみるおなかが膨らんで
「まるでBABYみたいよ!」とセラピストに
笑われたそうだ。
(だってAIちゃん、細いのに毎回お皿に
てんこもりでしかも、
何度もおかわりにいってたから
他の外国人も驚いていた。)
ダイエットでアーユルヴェーダ治療を
受けに来る人は、大丈夫かな?
食事おいしすぎるから、痩せられるのかな?と思っちゃう。
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そんな幸せな10日間のカリキュラムが進むにつれ
私は疲れきって、弱りきった細胞を
メキメキと体の芯から
よみがえらせ始めた。
どれだけ限界に来ていたのか、
自分で気がつくことが出来なかったが、
去年の震災後あたりから確実に
疲労がMAXを超えていて、
どうにもならない状況になっていた。
周囲の多くの人たちは、私の疲れた顔を見て
ヤバイんじゃない?と思っていたそうだ。
このところ
久々に会った方々から、その変容ぶりに誰もが驚くほど
今、健康な肉体を取り戻し始めている。
スリランカから戻って約2ヶ月。
先日の北九州でいつもマッサージしてもらっている方に
「少し変わったね、どころじゃないよ!
ぜんぜん違う!ぜんぜん!!!です♪
本当に体柔らかくなって、良くなってるよ~!」と
大絶賛だったほどの変化。
“体は正直”という言葉があるが
本当にちゃんとメンテナンスすれば
しっかりと応えてくれる。
自然の治療体系した世界最古といわれる
アーユルヴェーダをきっかけに
今、私は私を取り戻しつつある。
せかせかと歩いていたんだな・・・。
スリランカ人の歩くゆったりとした歩調を後ろから見ていると
私、何をそんなに急いでいるんだろう。と気がついた。
同じ速度で私も歩いてみた。
ただそれだけなのに、気持ちまでリラックスする。
波の音を、小鳥たちの声を、風の匂いを
感じることができるような気がした。
出勤している早朝でも、仕事中でも、
どこかに移動するときだって、
みんな波のリズムに合わせて
ゆっくりゆ~ったりと悠然として歩く。
走ったりなんかしない。
厳しく息の詰まるような緊張感や
ピリピリとした空気感なんて無縁だ。
地球のリズムに合わせて動いている。
のんびり、だら~んと、とはまた違うのだ。
私は何をそんなに急いで
突っ走っていたんだろう。
がんばったところで、
その先に何があるというんだろう。
すっかりと忘れていた
そんなリズムで私も生きてみたい。
心の底から、今そう思っている。
バーベリンでの旅は
体のことだけじゃない。
さらにたくさんに人々との出会いがさらに
私の心を動かしていく。
それはまた、次回に♪