星座や血液型などのDNAや個人的な情報から
カテゴライズするのは、あまりに大雑把すぎる。
という意見もある。
県民性や国民性というくくりで分類しても
いろんな性格があるから
これまた答えはひとつ、というわけには
いかないのだろう、と思う。
ただ、人間は生まれ持った性格という
魂の履歴などのほかに
家庭環境、生まれ育った時代背景、
気候風土や周囲の環境によっても
大きく影響される存在だと私は思っている。
南の島で、何もしなくてもたわわに実る気候だったら
食べることに必死にならなくてもいいから
全体的にの~んびりとした雰囲気になることが多いし、
戦争時代の環境下に置かれると、
生きるということに対して
厳しく、凛とした考え方が要求される。
その中で、もちろんパーソナルな視点で
細かく見ていくと、さまざまな要素で
さらに分かれていってひとりひとりが
いろいろな思考や、行動をして、
それぞれの人生ストーリーが展開されるわけである。
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今までに、たくさんの国の人たちと
出会って交流してきた中で
一概にこの国の人はこう、と
単純に分類することはできないが
やっぱり、噂というか通念上で聞いていたように
ドイツ人はマジメで堅いカンジが多かったし、
イギリス人は控えめながらも芯の通ったイメージが
多かったように思うし、
オーストラリア人はなんだかオープンだ。
もちろん例外だっていっぱいある。
タイ人は、とっても人懐っこくて
気さくだけれど、すっごくアバウトのような印象。
でも近所の息子の友だちのお母さんは
タイで生まれ育ったはずなのに、
日本人よりもきっちりとしていて、細やかさに
いつも感心してしまう。
国民性というよりも、銀行一家、という環境で
受けた教育も大いに関係があるような気がする。
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授業では、
テープを聴いて、テキストに単語を書き込んだり
先生が文法の意味を説明してくれたり、
英作文を作ってみたり、
学生の時のような懐かしい風景が展開される。
日本では、最初からずっとプライベートレッスンのために
1対1で話をしてきたので、
グループレッスンという形式は初めての経験だった。
学生の時とも、いつもの英会話教室とも
また違う雰囲気で、
それは、よくNHKの教育テレビで放送されている
「テレビで留学!」みたいなシリーズの場面に
そっくりだった。いつか私も行ってみたいな、
と思っていたシーンが今ここにあることが
とても不思議で、そして嬉しかった。
イスに小さいテーブルがついていて、
テキストも辞書も、ノートも乗りきらない。
何度も紙がバラバラっと下に落ちてしまう不便さもあるが、
そうそう、テレビで見たのも
こんなスタイルだった!と思うと
それもまたよし、だったし
こぢんまりとして密着感や教室全体の一体感が
あって、アットホームな雰囲気である。
2人から最大8名の少人数制だったが、
いろんな国の人たちと一緒の
グループディスカッションは初めての経験。
お国柄ならではのトークが展開されたり、
それぞれの考え方に触れるいい機会なのである。
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ある日のディスカッションの内容は
「ティーンエイジャーの抱える問題について」
日本では、お酒、タバコ、薬かな・・・。
スイスでは?
「同じよ。」
日本は20才からお酒もタバコもOKなの。
スイスは?
「ビールとワインが16才。そのほかのお酒は18才からよ。」
え~?お酒の種類で違うの???
スペインは?
「18才から両方とも大丈夫。」
「マルタでも、未成年者のアルコールやタバコの問題は
深刻よ。更生施設って日本にはいくつぐらいあるの?」
日本にはあることはあるけど、
いくつって聞かれてもわからないな・・・
ちなみにマルタは何才から認められているの?
と聞いたら
「決まってないわ。」という。
いつからじゃないと認めない、というような
そんな法律はないらしい。
深刻、という言うわりになんという大らかさ。
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ひとつの国の中で
いくつかの言語を話すというスイス。
ドイツ語圏、イタリア語圏、フランス語圏・・・
スイス語というものはなく、それぞれの地域で
しゃべる言葉が違うし、英語教育も
どうやら充実していなかったようで、
今回もたくさんのスイス人が来ていた。
同じ国の人同士なのに、
会話が出来ないって、どう思うの?
「う~ん、別に・・・。」
国レベルでの話がある時
どうやって伝えるの?同時通訳で?
「それぞれの地域のリーダーが伝えるの。」
じゃあ、国のトップというか代表はどんなスタイル?
天皇家と、王室とか、大統領とか、首相とか。
「う~ん、ないわ。」
じゃあ、国際会議は誰が出るの?
「え~? 知らない・・・。」
決して若者に聞いている内容ではなく
私と同年代2人に質問した答えである。
たまたま関心や興味がないの?とも思ったのだが
どうやらそんなことではないらしい。
そういう次元で生きてはいないようなのである。
日本は政治に無関心、という言葉で
いろんなことが危惧されていたり、
何かひとたび事件が起こると
政治家たちの責任問題を追及され
その政治家を選んだ国民にも責任がある、という
話にまで発展していくのが常だが、
その「責任の所在」というもの自体が
存在しないことが、欧米やアジアはじめ
多くの国々の意識らしい。
それがあるからこそ、守られてもいるし
安全で安心である一方、
誰かのせいにして、自分自身を省みないで
いつの間にか問題がすり替わってしまっている
結果につながる危険性も含んでいることは
意外と見過ごされてしまっているのかもしれない。
そして、束縛感や閉塞感がつきまとい
自由な伸びやかさが制限され、
結局、利益のためにも何かをごまかしていく。
そんな構図につながっていないだろうか。
普段は、そんなことを考えもつかないが
外に出てみると、今までとは別の角度から
状況や現状を眺めることができるのが
旅の魅力のひとつ。
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今回の旅で、圧倒的に多かったスペイン人たちは
ナイトクルーズでも経験したように
イメージ通り、陽気な民族。
でも同時に、とても情に厚く
細やかな気配りができる気質を
持ち合わせていることを知った。
私が、授業でわからずに戸惑っていると
それを察知して、小声で教えてくれた
アネゴ肌のハスキーボイスのかっこいい女性。
最後の日だからといって
「トルティーヤ(日本でいうスパニッシュオムレツ)」
を焼いて来てくれたMiguel(ミゲール)。
嵐のナイトクルーズの後、12時過ぎに
ビショぬれで家に着いてから、作り始めたのだという。
そして、金曜日の夜にはみんなに
パエリアをご馳走するから、
自分と彼女の泊まっているアパートメントに来て!と
誘ってくれた。
いつの間にか、
ペルー人のLeyla(レイラ)、ドイツ人のKatja(カティヤ)、
スペイン人カップルのMiguel(ミゲール)と
その彼女Isabel(イザベル)と、YOSHIKOさんと
私の6人仲良しグループが出来上がっていた。
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待ち合わせを兼ねて、パエリアの材料を買うために
Miguel(ミゲール)とスーパーで待ち合わせたが、
行き違ってしまい、結局1時間以上
会うことができず疲れきって途方にくれた頃、
ミゲールが現れた。
きっと迷っているんだろうと思い、
港のほうをあちこち歩いて探し回った、というのである。
携帯のメールアドレス聞いておけばよかったよ。
という。レイラとも、待ち合わせ場所で会えないし。
携帯が手に入った今、
待ち合わせで四苦八苦しなくなったが
そういえば、昔はよくこんなこと
あったよな~。すっかり忘れてた。
ドキドキしたり、クタクタになったりしながら
パエリアの材料を一緒に見てまわった。
スパイスのコーナーで、
ミゲールがなにやらずっと探している。
もしかしたらサフラン?これじゃないの?
と小さなビンを指差すと、
サフランは普通使わないんだ。という。
高いし、口に入ったら出さなきゃいけないでしょ。
スペインではもっと安くて飲み込める
(液体、とか砕いたものとか)
別のものを使うんだ、たぶんあると思う。と
目をさらのようにして棚を丁寧に見ている。
どんな、名前のスパイスか何度か聞いたが
結局全然覚えられなかった。
しばらくして、ミゲールは
スペイン語を話していたカップルに声をかけた。
どこにあるか知っている?というような
ことを話しているのだと思う。
向こう側の棚だよ。
そう、でも見つからないんだ。
そんな会話が展開されたのだと思う。
その、見ず知らずのカップルは
気がついたら一緒になってスパイスを
探し始めたのだった。
日本人は、いくらならんでも
そこまでしないよな~。
本当に優しいんだ、この人たち。と驚いた。
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そして一方、授業では、
とにかく気ままなのがスペイン人たち。
水道の調子が悪いから。と途中で帰ったり、
もう休み時間が終わるね、と一緒に休憩室を
出たはずなのに、どこに行ってしまったのか
ぜんぜん戻ってこなかったり、
しょっちゅう休んだり、遅刻しても
まったく普通の表情で教室に入ってくる彼ら。
たしかに、自分が困るだけで、
授業は時間通りに始まるわけだから
迷惑をかけていないといえば、いない。
小さいことは気にしない。
困っている人は、とことん助ける。
自分のことになると、あくまでも自由。
そして、たくさんの人々が集まれば
楽しく明るく盛り上がる。
「スペイン人はクレイジーだから。」
と自分たちのことを何度も、そう表現していた。
本当のクレイジーなんかじゃない。と私は思う。
周囲に振り回されずに、マイペース。
でも、周囲に心を配り惜しみなく力を注ぐ。
見返りなんて求めたら、きっとそんなこと
できないよ、っていうぐらいに。
自分がしたいからする。
ただそれだけなのだと思う。
こんなことしたら、どう思われるか
なんて難しい計算なんていっさいせずに
素直に心の赴くままに行動するシンプルさ。
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体裁や、結果を重視してきた
日本が忘れてしまってきたものが
しっかりと、そして
生き生きと根づいているスペイン。
その自由さと優しさに私はあこがれる。
日本も確実に、
従来の20世紀型といわれる
古い価値観や慣習にとらわれることなく
生きていけるような流れになっていると思う。
「恥の文化」は時として好奇心や、
経験するチャンスを阻害する。
謙虚さを促し、己の立ち位置を確認する
いい視点なのかもしれないが、
これからは、謙虚さにプラスして
一歩前に出る勇気や行動力を兼ね備えてこそ
世界も、視野も広がっていく。
本当の強さは、
相手の立場に立って思いやることのできる
「優しさ」と
マイペースと自分の意志を貫き通せる
「動じない心」の
絶妙なバランスがあってこそ。
太陽も、月も、地球もたったひとつだが、
その周囲にはたくさんの輝く星たちが
きらめいている。
どの星もかけがえのない存在であり、
そして、それぞれの光を発して
美しい宇宙に息づいている。
たくさんの人々との出会いは、
まるで、その未知なる世界を知って、
その広大な規模に驚き、感動し、
自分に取り込んでいく作業なのだと思う。
もっともっと、輝いていく自分になるために
きっと私は、人生という出会いの旅を
続けていくのだろう。
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クラスメートたちと一緒に。
一番左がアネゴ。隣がミゲール。
そして、マルタ人の先生、ターニャ。
それから、YOSHIKOさん。
毎日一言ずつ新しい日本語で挨拶してくれたスイス人のサイモン。
スペイン人のリビア。
22才の最年少、シャイなスイス人。
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