【旧東海道近くの夕焼け】
家からほんの10分弱、自転車を走らせると、
旧東海道があり近くには運河が流れている。
品川宿はたしか葛飾北斎の浮世絵にも
描かれていた海ぞいの海岸町。
子どもの頃に比べるとずいぶんと埋め立てられて
しまったが、乗り合い漁船が運河に並び、潮の香りが
漂う土手に腰を下ろすと、ここが海に近い場所なのだと
改めて思う。そういえば、大森貝塚だって
海のまぎれもない証なのだか、現在は海は近くに感じることが
できないほど、遠くに押しやられている。
私が幼少の頃に引っ越す前までは、駅の向こう側は
すぐに海だったのだと、色々な人からさまざまな
逸話を聞いている。
「大森海苔」は有名だが、本当に海苔を作っていたらしいし、
大森から羽田あたりには海水浴場があり、
海岸の近くには料亭街がひしめき華やいでいたのだという。
家のすぐ前のお花屋さんはその昔、料亭への生け込みや
芸者さん達が生花を習いに来ていて活気あふれていたと
子どもの頃に聞いたことがある。
近所の「入船」という洋食屋さんは、
建物は古くて瀟洒な作りのお店だが
その時代は芸者の置屋だったんだよ、という話も
最近になって聞いた。
そういえば小学校に上がる前に近所の料亭からは
いつも三味線の音が聞こえ、子どもたちの間で
「あのお店は猫の皮を三味線にしちゃうらしいよ~!
この前も、のら猫つかまえてるのを見た人いるんだってさ!」
という噂がまことしやかに流れ、前を通るのが怖くて、
三味線の音色が聞こえるたびにダッシュして駆け抜けた記憶がある。
うちの猫のミーちゃんも連れて行かれちゃったらどうしよう…、と
内心いつも怯えていた。
北品川に住む中学・高校時代の先輩の家業は漁師。
品川で漁師?と思いつつ、その時は気にも留めていなかった。
近頃はすっかり大きなビルが立ち並び、新幹線も
停車するようになり今、注目スポットのひとつである。
大人になったある日のこと、「美人姉妹の屋形船」のような
題名で何気なくTVを見ていたら、なんと先輩が映っていた。
そして船の中で天ぷらを揚げながら
「本当はね、江戸前の魚を捕りたいんだよね!
やっぱり江戸前は最高だからね。」と
ねじり鉢巻にハッピ姿で豪快に言い放っていたのだ。
何代も続く漁師なのだという。
あ!先輩って、だからチャキチャキの江戸っ子の
べらんめい口調だったんだ。
単にガラが悪いわけじゃなかったんだ。と妙に納得をした。
ホントに今思い出だしても、竹を割ったような性格で
その辺の男性よりもよっぽど男らしい美人さんだった。
そうえいば、長いことお会いしていないな。
運河を見ていて、ふと何十年かぶりにそんなことを思い出した。
時折聞こえる、ボ~っという船の音は
普段は忘れているが、ここが海に近い街だということを
思い出させてくれる合図なのだ。
家からほんの10分弱、自転車を走らせると、
旧東海道があり近くには運河が流れている。
品川宿はたしか葛飾北斎の浮世絵にも
描かれていた海ぞいの海岸町。
子どもの頃に比べるとずいぶんと埋め立てられて
しまったが、乗り合い漁船が運河に並び、潮の香りが
漂う土手に腰を下ろすと、ここが海に近い場所なのだと
改めて思う。そういえば、大森貝塚だって
海のまぎれもない証なのだか、現在は海は近くに感じることが
できないほど、遠くに押しやられている。
私が幼少の頃に引っ越す前までは、駅の向こう側は
すぐに海だったのだと、色々な人からさまざまな
逸話を聞いている。
「大森海苔」は有名だが、本当に海苔を作っていたらしいし、
大森から羽田あたりには海水浴場があり、
海岸の近くには料亭街がひしめき華やいでいたのだという。
家のすぐ前のお花屋さんはその昔、料亭への生け込みや
芸者さん達が生花を習いに来ていて活気あふれていたと
子どもの頃に聞いたことがある。
近所の「入船」という洋食屋さんは、
建物は古くて瀟洒な作りのお店だが
その時代は芸者の置屋だったんだよ、という話も
最近になって聞いた。
そういえば小学校に上がる前に近所の料亭からは
いつも三味線の音が聞こえ、子どもたちの間で
「あのお店は猫の皮を三味線にしちゃうらしいよ~!
この前も、のら猫つかまえてるのを見た人いるんだってさ!」
という噂がまことしやかに流れ、前を通るのが怖くて、
三味線の音色が聞こえるたびにダッシュして駆け抜けた記憶がある。
うちの猫のミーちゃんも連れて行かれちゃったらどうしよう…、と
内心いつも怯えていた。
北品川に住む中学・高校時代の先輩の家業は漁師。
品川で漁師?と思いつつ、その時は気にも留めていなかった。
近頃はすっかり大きなビルが立ち並び、新幹線も
停車するようになり今、注目スポットのひとつである。
大人になったある日のこと、「美人姉妹の屋形船」のような
題名で何気なくTVを見ていたら、なんと先輩が映っていた。
そして船の中で天ぷらを揚げながら
「本当はね、江戸前の魚を捕りたいんだよね!
やっぱり江戸前は最高だからね。」と
ねじり鉢巻にハッピ姿で豪快に言い放っていたのだ。
何代も続く漁師なのだという。
あ!先輩って、だからチャキチャキの江戸っ子の
べらんめい口調だったんだ。
単にガラが悪いわけじゃなかったんだ。と妙に納得をした。
ホントに今思い出だしても、竹を割ったような性格で
その辺の男性よりもよっぽど男らしい美人さんだった。
そうえいば、長いことお会いしていないな。
運河を見ていて、ふと何十年かぶりにそんなことを思い出した。
時折聞こえる、ボ~っという船の音は
普段は忘れているが、ここが海に近い街だということを
思い出させてくれる合図なのだ。