夜ごはんは「刺し身定食」(๑>◡<๑)ノ✨
ニューヨークでこんなに新鮮で
美味しいお刺身が食べれるなんて…
しばらく感激のあまりジーン、としてしまった。
朝、日本から頼まれたものを買いに
Trader Joe’sトレダージョーズに行きたいの、と
ポロッと言うと、
お友だちはいつまでにほしいの?
じゃあ今から行こう!この後仕事だから、
1時間後に出かけよう!と言うので、
え?今?今日じゃなくていいの。
雨降ってるし仕事あるならいいよ。
学校の帰りとかでもマンハッタンに
いくつもあるどこかのトレジョに行くから。
(仕事の)準備あるけど、すぐ終わらせるから
行こう!早く支度して!と
追い立てられるように出かけることに。
ブロンクスにはトレジョがないんだ。
早く出来てほしいよね。と言いながら
マップで調べて一番近いお店を探す、と
セットしたのはアップステイトへと
北上する位置にある初めての場所。
薄ねず色の空と降り続く霧雨の静かな日曜日。
あたりはわずかに葉が残る晩秋の風景。
30分以上車を走らせただろうか、
道沿いに小川が流れ、散歩道やベンチがある
のどかな景色が広がり始めた。
その向こうは住宅街らしい。
きっと緑が生い茂る季節は気持ちいいんだろうな。
目の前とはまったく違う、
青い空と鮮やかな木々の間に
サラサラと流れる水のせせらぎ。
美しい光景をイメージしてみだけで、
心が洗われるような気持ちになって
おもわずここはどこなんだろう?と
どんどんと動いていくマップをスクショで保存し
後からゆっくり確認しよう。と記録しておいた。
Scarce dale (スカァースディル)だよ。
Metro north メトロノースの駅が見えるでしょう?
ほら、次の駅Harts dale (ハーツディル)が
見えてきた。
へぇ。
初めてのところはいつだってワクワクしちゃう。
Harts dale の駅の手前で左折して
信号機のないパークウェイから
住宅街へと入っていく。
駅前には素敵なアパートメントが
いくつも並んでいていい雰囲気。
ほどなくして、その通りに
いくつものお店があり
いきなり目に飛び込んで来たのが
大きな手書きの文字で
「日本語 話せます!」というお寿司屋さん。
あちこちにお寿司屋さんはあるけれど、
こんなに日本語アピールしているお店は
今まで見たことがない。
「日本語 話せます!」
はーい!私も話せまーす!
自信を持って手を挙げて、通り過ぎる車の中から1人で堂々と宣言した。
そして大通りに出て右折するとすぐに
今度はジャパニーズスーパーマーケット。
隣にはチャイニーズレストラン。
こんなのどかな郊外に?
アジアンコミュニティでもあるのかな?
聞いたことないけれど。
不思議に思いながら通り過ぎて
そのままTrader Joe’s へ。
お目当の品は秋限定の人気商品だったようだし
売り切れなのか、それとも
すっかりクリスマス仕様に切り替わった様子で、
発売時期が終了したのか残念ながら見つからず
結局どこのトレジョでも買えるものを
自分んちのためにカゴに詰めて帰路に着いた。
これだったらわざわざ
ここまで来ることなかったんじゃない?
というかゼッタイにマンハッタンの方が近いのに、
なんでこんな遠いところにしたのかしら?と
心の中でいろんな理由をあれこれ考えながら。
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ジャパニーズスーパーに寄ってみたい?
わぁ!行きたい!行きたい!
そういえばあったもんね、もちろん行きたい♪
店舗はマンハッタンにいくつかある
コンビ二に近いジャパニーズスーパーより
ずっと大きい。でもサンクスギビング前のトレジョはあんなに混んでいたのに、ここはまばら。
それはさておき私にとっては
見慣れた日本の商品が棚にズラリと並び
テンションが上がる。特に、ビーフやポークの
スライス肉は日系やチャイニーズ、コリアンの
アジア系スーパーに来ないと手に入らないので
気になる。肉じゃがとか、しょうが焼きとか、
寒くなってきたからスンドゥブチゲに
薄切りがほしい。買わなきゃ。
その前に魚売り場。
なんと、全部半額⁉️
古いのかしら?売れ残り?にしては
量が多すぎるし、まだお昼前。
手に取って鮮度を穴が空くほど
いろんな角度からチェックしてみる。
う〜ん、これは大丈夫!
何しろ、釣り好きでグルメだった父に
鍛え上げられた魚を見る目と、
各地で皆さまに美味しいものを
食べに連れて行ってもらい、
長年の失敗をふくめた経験値のすべてを
こういう時に駆使して気持ちを集中してみる。
東京のウチの近所のスーパーの
色の変わりかけたお刺身は食べたくない。
どうしてもお刺身が食べたくなって幾度となく
買ったけれど、手巻き寿司や太巻きで
何かと一緒ならまだなんとか。
けれど、そのものだけで
お刺身を家で食べるのは、
幼い頃に父が作ってくれた
釣りたての新鮮なモノや
あるいは魚市場で買ってきてくれた魚介類とは
かけ離れていてつい比べてしまう。
父が亡くなってから四半世紀、
もう長いことおうちメニューから
ほぼハズしていた。
食べたくなったら、レストランにもあるし。
けれど、ここではそうはいかない。
マンハッタンで新鮮なお刺身定食を
注文しようものようならいくらかかるんだろう。
やっぱり少なくともチップも含めて
予算$100 (1万円)は考えておきたい。
ウェイターへのチップだけで
2〜3千円もかかってしまうなら
それだけで札幌や青森で新鮮な
海鮮丼が食べられるしなぁ。
もちろんそれくらい渡しても惜しくない
納得のサービスならいいんだけど…
う〜ん、それくらい出すんだったら、
日本に帰るまで待てる。
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「ねぇ、コレはナニ?」
不思議そうに手に取って聞いてきた。
「Hokki kai ってナニ?」
Kai はclamクラムのことだよ。
北寄貝 ホッキ貝といって
北の方で取れる貝なのよ。
ふーん。どうやって食べるの?食べてみたい!
ホッキ貝に興味を示すなんて、シブい。
さすが食のチャレンジャー!
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刺身を切る時の包丁の角度やら、薄さや、
魚に手を添える時の力かげんなど、
古い記憶の糸をたぐり寄せて
父の手さばきを思い出ながら大皿に盛り付ける。
ん?切ったらひと切れずつ乗せてたかな?
それとも柵を全部切って
一気にお皿に盛り付けかな?
こんな時に思いもかけず遠い父の面影が蘇る。
そして、豚汁と、油揚げをトースターで
こんがり焼いたトッピングの和風サラダと。
それから青森の新米♪あぁ、これがまたごちそう。
イタダキマス!
しょう油とワサビを小皿に入れて
真っ先にホッキ貝に手が伸びる。
ん〜〜〜‼️スィートでデリシャスだね!
本当に貝なの?信じられないよ!
シェルはどんな形?もしまたどこかで
注文したい時には何て言えばいいの?
貝殻はどんな形、と言われても
すぐに出てこない。巻き貝かな?
ネットで調べてみると二枚貝。
あぁ、これ前に札幌で生のを
食べさせてもらったよ〜。
いつか北海道に行ったら食べよう!
これよりももっと美味しいよ!
調べてみると、カナダでも採れるらしい。
そうだよね、北海道より北だもん。ありそう。
英語ではsurf clam サーフ クラム
というのだそう。
サーフは、あの打ち寄せる波のこと。
波貝、という意味らしい。
相当気に入ったらしく、ほぼ1人で食べたf^_^;
私は、中トロっぽいマグロと、カンパチに夢中!
ここでカンパチという名前を見るとは(泣)
なんだろう?口の中で溶けるようだよ!全部!
マンハッタンだったら$300はすると思う、
このレベルなら!と叫んでいる。
いいお店を見つけたね!
週末にまた行かなきゃね。
お店の人に聞くと、毎週末は肉と魚の生鮮食品が半額から25%オフになるらしい。
土曜日から始まってるよ。とのこと。
なんでここに日本のお店があるの?と
店員さんに聞いたところ、
ボクもよくわからないんだけれど
30年くらい前までこのあたりに
日本人がたくさん住んでいたらしいよ。
今はもう半分くらいに減ったんじゃないかな?
アジアンだけじゃなくていろんな人種が
ミックスしているよ。と顔は日本人っぽいけれど
日本語は話せないたぶんチャイニーズか
コリアンのお兄さんが笑顔で教えてくれた。
家に帰って、夕方になりお目当ての商品が
見つからなかったことを連絡し、でもおかげで
いいお店を見つけたことを報告すると…
なんと、その近くに家族で昔住んでいた、
というのである。そこからメトロノースで
3駅ほどのところに。
大ちゃんはこっちに来る前に
英文法の個人レッスンを受けていた
私の英語の先生。
高校の時から数年間、お父さんのお仕事で
ニューヨークにいたことは知っていたけれど、
正確にはどの辺りなのかずっと聞きそびれていた。
たぶん、駐在のファミリーは
ミッドタウンあたりなんだろうと勝手に思い込んでいたし。
前に聞いたかもしれないけれど、
来たばかりでよくわかっていなくて
把握できず記憶に残っていなかったかもしれない。
あの頃は最高にニューヨークの治安が悪くて
多くの日本人のたちが
郊外に住んでいたのだという。
逆算するとお兄さんが言っていた時期と
ピッタリと合致する。
あぁ、懐かしい、という大ちゃん。
ご縁というのか。
なんでかわからないけれど、
今日はマンハッタンのTrader joe’s には
行く気分じゃなかったんだよ。
(地名は聞いたことをあったけど)
あのあたりはまったく知らなかったよ、と
連れて行ってくれた本人も言う。
そっかぁ。ずっと前から何度も聞いていた
大ちゃんのニューヨークのお家は
このあたりだったんだ、と思うとまたジーン。
なにかに導かれているような、
なんとも言えず不思議で
ほんわかとした気持ちに包まれた雨の日曜日。