リハーサルの間にReynosa(レイノサ)の
行きたいところどこにでも
連れて行ってくれるとスタッフの方が言う。
特に見るところって何にもないんだよ、
ここは。観光名所もおもしろそうな場所も
ないらしい。
けれど、
迷わずリクエストした行き先は
「ローカルな市場!」もしなければ
スーパーマーケットでも!
そこで暮らす人々の息づかいを感じる
市場やファーマーズマーケットや
日本なら“道の駅”や産直市場、
単なる日常づかいのスーパーマーケットや
コンビニでさえも旅にはかかせない。
若い2人が連れて行ってくれたのは
1882年にスタートしたという古くて
ローカル感満載の市場。
メキシコらしい刺繍の衣装や生活雑貨が
軒を連ねる。いきなりテンションが
爆上がりしてアドレナリンが出そうなほど
ドストライク✨
なにしろここは国境の町。
物騒な地域もあるしツーリストらしき
人たちをついぞ見ることもなかった。
さすがに地元の人の案内なしでは
ネットにも情報がとにかく少なくて
どこにも行けそうにない場所。
効率的に短い時間でポイントを押さえながら
歴史やさまざまな説明をしてくれる。
「どこから来たの?」と聞かれて
「Japan 」と答えると2人とも声を揃えて
「Wow!!! 今1番行きたい場所なんだよ!
欧米じゃなくて日本に行ってみたい!
(アニメの)“ワンピース”が大好きなんだ。
そして安全なんでしょう?安心して
歩けるなんて本当にいいよね」という。
これはテキーラを入れる壺、
これはワカモレを作るためのもの
(石臼)、これはトルティーヤを温める
ためのフライパン。
このベビー用の衣装は教会で洗練を
受けるためのものでボクもまだ持ってるよ。
タコスは南メキシコと北メキシコでは
ぜんぜん違うんだ、あっちはホンモノじゃない。
北メキシコが本場なんだ!ほら見て!
あのお店は週に3回は行くかなぁ。
すっごく美味しいんだよ。なんなら
毎日タコスは食べるよ、とタコスについて熱く語る2人。
市場やレイノサの中心地を歩きながら
あれこれ教えてくれる。
そして広場には「死者の日」
El Dia de los muertos
(エル ディア ディ ロス ムェルトス)のデコレーション。
「リメンバーミー」にも登場する
「靴磨き屋さん」がテントの下で
ズラっと軒を連ねているのを見て
なんだか嬉しくなってしまう。
別れ際に少しばかりのお礼にと財布から
お札を取り出すと、No,no,no,no!
ボクたちはここのイベント会社の
スタッフだから、これもみんなボクたちの
仕事なんだよ、と言って受け取ってくれない。
前日の空港からディナーからホスピタリティがものすごくて、きめ細やかな
心遣いに感激しきり。
翌朝は夜から始まるコンサート前に
みんなで集合して、再びその市場へ行き
ショッピング。今度は私が案内役。
そして昨日気になっていた
ストリートフードをあれこれチャレンジ。
揚げたてチュロスにはコンデンスミルクをかけて。
カリッカリのクリスピー。砂糖もそんなに
かかっていないので、カリっとしっとり
コンデンスミルクとのコンビネーションが絶妙✨
焼きトウモロコシにはライムを絞り、
赤いペッパーと塩にチーズを。
トッピングがいろいろあってその場で
いろんな味を注文できる。
カラフルなドリンクたち。“ハマカ”と呼ぶ
真っ赤なハイビスカスティ。
こういうストリートの水はちょっぴり
警戒してしまうが、メキシコでは
そういえば水でおなかをこわしたから
注意した方がいい、という話を聞いたことがない。
それから「死者の日」の期間、年に5日間
しか販売されないというガイコツを
モチーフにしたパンも。
オレンジ風味がして思ったよりふわふわで
日本のパンにほどなく近くて好きな味。
↑上に乗っているのがガイコツモチーフらしい。お店によってガイコツのカタチはいろいろ。砂糖なしもあり。
メキシコ料理はニューヨークに来てから
その魅力を知った。たくさんのメキシカン
がいるから美味しいメキシカンフードが
食べられる。日本に戻ったら無性に
恋しくなる味になってしまったほど。
それがやっぱり、本場はさらにどれもこれも
美味しくて、前回の2年前は体調が悪くて
心から味わうことができず
いつかリベンジに!と思っていた。
思いもかけずまた来ることができて、
メキシコのごはんを食べられるなんて
感慨深い。しかも痛い所も辛いところもなく
ちゃんと歩ける、ぜんぶ美味しく感じられる。
それだけでなんとありがたいことか。
しみじみとあの時を振り返りながら
喜びと感謝にひたる。
スターバックスの「メキシカンホットチョコレート」は
シナモンやスパイスが効いていて新鮮なテイスト。
ホテルの朝食ブュッフェも品数は
少ないものの定番の朝ごはん「チラキレ」
が想像以上にハマってしまう。
鉄のカバーを開けると、温かい
ブラックビーンズに三角形のチップス
そこにスクランブルエッグとソース
サワークリームをのせてチップスを
パリパリといただく。
アボカドのワカモレやチーズののった
トルティーヤチップスの「ナチョス」に
似ているのだが、また少し違う。
どっちも好きな料理となった。
帰路に着く前、
残ったペソ(メキシコのお金)はどうする?
両替する?使い切る?
またメキシコにごはん食べに来たいから取っておこう!
と財布に戻した。
噂によるとニューメキシコもかなり良いらしい。
すぐに戻ってくることを願いつつ
Requintetrio(ヘキンチェトリオ)の
コンサートも最後は全員
スタンディングオベーションの大喝采を
浴びて本当に素敵なショーだった。
時間が押して夜の「死者の日」には結局
行けずに残念。それでも昼間に1人で
お祭りのようににぎやかな墓地に行き
たくさん写真を撮ってきたから
この旅の目的もひとまずコンプリート✨
(危険地帯といえど、この日のお墓は
ファミリーであふれ安全地帯なのでしばし1人旅)
↑墓地の前はさながらお祭り。
花屋や屋台がズラリと並び楽しい♪
↑メキシコの陶器屋さん
↑鍋でパンケーキのようなものを焼いていた
↑モクモクと煙をあげるバーベキュー
良い匂いがあたりにたちこめる
↑死者の日のパンを売っている屋台
↑砂糖きびジュース用の砂糖きびが華麗に積まれている
会場からそのまま国境へと向かい
再び陸路で国境越えはいつにもまして
ドキドキしてしまう。なにしろここ、
ドキュメンタリーで見たことある
ヤバい場所。それでも拍子抜けするほどに
あっさりスムーズに通過。
ホッとして空港前のホテルでひと眠りして
朝4時起きでただいまフィラデルフィアに
向かう飛行機の中。
今夜はフィラデルフィアで
別の演奏の仕事があるそうで、
ダラスから乗り継ぎの飛行機に乗るためにダッシュ。予定時刻に到着したのに
機外に出るのに時間がかかったからだ。
ミュージシャンは楽器持って
あちこちこんなふうに移動して
いつも間に合うかハラハラなんだよ。と苦笑い。
いつだってアドベンチャーの旅
美しい空や自然の風景に心から感動し
訪れた場所の歴史や風習、文化を知る旅
ここ最近ではそこで暮らすさまざまな
国の人たちと出会い、絆と愛を深めていく
旅になっている。
人生という旅路の中でキラッと輝き
時にピリッとエッセンスが効いて忘れられない
思い出がひとつ、またひとつを増えていく。
いつかこの世を去る時にそれらの記憶はきっと魂のどこかに刻まれているのだろう、と思う。
#newyork#mexico#お仕事くっつき旅