日曜日の銀座の歩行者天国を久々に歩いた、
…というより横切ったという方が近い。
20年来ずっと続けているお花の教室の
作品展を見終えて、
デパートから出たらチリンチリンと音がした。
ふと振り向くと台車に乗ったカラフルな風鈴が揺れていた。
売ってるの?それとも移動中?
台車を押してる人は子ども?青年?大人?
足早に通りすぎてしまい、後ろ姿を追うと
ハッピの背中には「風鈴」の文字が。
一瞬の、東京ど真ん中の、幻のような出来事。
***********************
大阪で生まれたのだが
1才の時、東京に引っ越してきたらしい。
気がついたら東京に住んでいた、と
よく人には説明している。
子どもの頃、
まだ近所の公園には紙芝居やさんが来ていた。
テレビがない時代の娯楽なのに
今の時代、まだ来てるんだ…と子ども心に思いながら
レトロな雰囲気を楽しんでいた。
それから夏は、リヤカーに乗った大きな風鈴やさん。
お米から、ポン!という音とともにできあがる
通称バクダンせんべいやさん。
冬はおでんに焼き芋やさん。
チャルメラの音とともにやってくるラーメンやさん。
夕暮れ時、哀愁を帯びたラッパの音色を
街中に響かせるお豆腐屋さん。
自転車の荷台には、水が張ってあって
真っ白い豆腐が静かに泳いでいた。
そう考えると、日々の生活の中に、
四季折々の季節に合わせて屋台が息づいていた。
***********************
築地で大学芋屋さんの屋台を見たことがある。
熱した油で、しっかりとサツマイモを揚げた後、
飴に絡めた本格大学芋。
後にも先にも一回きりである。
N.Y.のマンハッタンの街角では
プレッツェルというベーグルのような、
固いパンのような食感のものが売られていた。
白い紙に、温かいプレッツェルを包んでくれて
四角い粒の塩と、マスタードをつけて食べる
素朴な、ニューヨーカーのおやつ。
***********************
そして、おもしろかったのは
タイで見かけた
ステッカー専門の屋台。
リヤカーいっぱいにシールが
色鮮やかにデコレーションしてある。
実はここ数年、海外旅行に行ったとき
地名の書いてあるステッカーを買って、
スーツケースにベタベタと貼るのが
ひそかな楽しみ。
そういえば、小学生の頃
シールを集めては
自分のタンスに貼るのが楽しみだった。
同時に時間が経ってから
なんでこんなシールがカワイイと思ったのだろう…。
ココに貼らなければ良かった、と
後悔したりしていた。
すっかり大人になって久しい今は、
仲良しの分と2枚買って、
それぞれのケースの好きな場所に貼る。
子どもの頃の“シール交換”みたいな気分で
すごく嬉しいし、
スーツケースにならゼッタイ後悔しない。
思い切りよく、堂々と貼れるのが
なによりも醍醐味なのである。
もちろん「JAPAN」バージョンもあるが、
現在「TOKYO」を探している。
時々お土産やさんをチェックするのだが
まだ見つかっていない。
そんな、たわいもない趣味(?)から
どこの国にいっても必ず
チェックするのだが意外と少ないのだ。
アメリカは、ステッカー文化が根づいていて、
ハワイでも、西海岸でも東海岸でも
ほとんどお土産やさんや雑貨屋さんで
見かけるのだが、特にアジア圏内では
地名ステッカーは見つけることができない。
去年行ったタイでも諦めていたところ、
ごっそりとステッカーを屋台に貼り付けた姿を
見つけたときは一瞬、夢かと思った。
文字やら絵など、タイらしい雰囲気が満載なのである。
思わず、店に駆け寄ったのだが
一緒に行ったメンバーから声がかかった。
「早くしないと、はぐれちゃうよ!急いで!」
せっかく見つけたのに、残念。
後ろ髪をひかれる思いでみんなのあとを追いかけた。
帰り道、今度はわざわざもう一度
その場所に戻ってもらったのだが
もう屋台の姿はどこにもなかった。
やっぱりあれは幻だったのかな…?
だいたい、
ステッカー専門の屋台なんてあるのかな?
そんなことを思っていたが、
いつだったか東京ビッグサイトのギフトショーに
行ったとき、各国のステッカーを集めたお店が出展していたので
思わずふらっと立ち寄ってみた。
あれこれとお店の人と話をしていたら、
タイは屋台でステッカーを売っていますよ、と
言うので、やっぱりそうですよね!私見ました!と
感激して叫んだことがある。
夢や幻じゃなかったんだ。
なんだか嬉しかった。
***********************
ひとつのところにとどまることなく
たえず動き続けるアクティブさ。
一瞬の出会いと、次の瞬間には
跡形もなくなるはかなげな存在は
蜃気楼にも似ている。
そして
小さなスペースから飛び出す多種多様な
職種の奇想天外さ。
おもちゃ箱をひっくり返したような楽しさ。
ノスタルジーでレトロなのに、
今も世界の各地で生活にしっかりと根づいている
屋台に、どうしようもなく心ひかれてしまうのである。
…というより横切ったという方が近い。
20年来ずっと続けているお花の教室の
作品展を見終えて、
デパートから出たらチリンチリンと音がした。
ふと振り向くと台車に乗ったカラフルな風鈴が揺れていた。
売ってるの?それとも移動中?
台車を押してる人は子ども?青年?大人?
足早に通りすぎてしまい、後ろ姿を追うと
ハッピの背中には「風鈴」の文字が。
一瞬の、東京ど真ん中の、幻のような出来事。
***********************
大阪で生まれたのだが
1才の時、東京に引っ越してきたらしい。
気がついたら東京に住んでいた、と
よく人には説明している。
子どもの頃、
まだ近所の公園には紙芝居やさんが来ていた。
テレビがない時代の娯楽なのに
今の時代、まだ来てるんだ…と子ども心に思いながら
レトロな雰囲気を楽しんでいた。
それから夏は、リヤカーに乗った大きな風鈴やさん。
お米から、ポン!という音とともにできあがる
通称バクダンせんべいやさん。
冬はおでんに焼き芋やさん。
チャルメラの音とともにやってくるラーメンやさん。
夕暮れ時、哀愁を帯びたラッパの音色を
街中に響かせるお豆腐屋さん。
自転車の荷台には、水が張ってあって
真っ白い豆腐が静かに泳いでいた。
そう考えると、日々の生活の中に、
四季折々の季節に合わせて屋台が息づいていた。
***********************
築地で大学芋屋さんの屋台を見たことがある。
熱した油で、しっかりとサツマイモを揚げた後、
飴に絡めた本格大学芋。
後にも先にも一回きりである。
N.Y.のマンハッタンの街角では
プレッツェルというベーグルのような、
固いパンのような食感のものが売られていた。
白い紙に、温かいプレッツェルを包んでくれて
四角い粒の塩と、マスタードをつけて食べる
素朴な、ニューヨーカーのおやつ。
***********************
そして、おもしろかったのは
タイで見かけた
ステッカー専門の屋台。
リヤカーいっぱいにシールが
色鮮やかにデコレーションしてある。
実はここ数年、海外旅行に行ったとき
地名の書いてあるステッカーを買って、
スーツケースにベタベタと貼るのが
ひそかな楽しみ。
そういえば、小学生の頃
シールを集めては
自分のタンスに貼るのが楽しみだった。
同時に時間が経ってから
なんでこんなシールがカワイイと思ったのだろう…。
ココに貼らなければ良かった、と
後悔したりしていた。
すっかり大人になって久しい今は、
仲良しの分と2枚買って、
それぞれのケースの好きな場所に貼る。
子どもの頃の“シール交換”みたいな気分で
すごく嬉しいし、
スーツケースにならゼッタイ後悔しない。
思い切りよく、堂々と貼れるのが
なによりも醍醐味なのである。
もちろん「JAPAN」バージョンもあるが、
現在「TOKYO」を探している。
時々お土産やさんをチェックするのだが
まだ見つかっていない。
そんな、たわいもない趣味(?)から
どこの国にいっても必ず
チェックするのだが意外と少ないのだ。
アメリカは、ステッカー文化が根づいていて、
ハワイでも、西海岸でも東海岸でも
ほとんどお土産やさんや雑貨屋さんで
見かけるのだが、特にアジア圏内では
地名ステッカーは見つけることができない。
去年行ったタイでも諦めていたところ、
ごっそりとステッカーを屋台に貼り付けた姿を
見つけたときは一瞬、夢かと思った。
文字やら絵など、タイらしい雰囲気が満載なのである。
思わず、店に駆け寄ったのだが
一緒に行ったメンバーから声がかかった。
「早くしないと、はぐれちゃうよ!急いで!」
せっかく見つけたのに、残念。
後ろ髪をひかれる思いでみんなのあとを追いかけた。
帰り道、今度はわざわざもう一度
その場所に戻ってもらったのだが
もう屋台の姿はどこにもなかった。
やっぱりあれは幻だったのかな…?
だいたい、
ステッカー専門の屋台なんてあるのかな?
そんなことを思っていたが、
いつだったか東京ビッグサイトのギフトショーに
行ったとき、各国のステッカーを集めたお店が出展していたので
思わずふらっと立ち寄ってみた。
あれこれとお店の人と話をしていたら、
タイは屋台でステッカーを売っていますよ、と
言うので、やっぱりそうですよね!私見ました!と
感激して叫んだことがある。
夢や幻じゃなかったんだ。
なんだか嬉しかった。
***********************
ひとつのところにとどまることなく
たえず動き続けるアクティブさ。
一瞬の出会いと、次の瞬間には
跡形もなくなるはかなげな存在は
蜃気楼にも似ている。
そして
小さなスペースから飛び出す多種多様な
職種の奇想天外さ。
おもちゃ箱をひっくり返したような楽しさ。
ノスタルジーでレトロなのに、
今も世界の各地で生活にしっかりと根づいている
屋台に、どうしようもなく心ひかれてしまうのである。