私が住むマンションの管理会社である大成有楽不動産(以下「大成」)はこれまで数々の意図的ミステーク(以下「ペテン」)を繰り返してきた(その詳細については、このすぐ下に再録した「大成有楽不動産の《目くらまし》商法」を参照)。大手企業たる「大成」が法令遵守もなんのそのと「ペテン」を重ねる理由は何なのか。その源を探ってみると、24年前のマンション分譲開始に行きつく。
【ペテンの原点】
当マンションの分譲を開始した24年前、「大成」は機械式駐車場(「駐車場」)の使用料を月7,000円に設定した。「駐車場」運営のコスト(減価償却費+保守点検費+電気代)は、都会であろうと過疎地であろうと、1台当たり月12,000円*であるにもかかわらず、当時の当マンション周辺の使用料相場が7,000円前後だったので、「大成」は「駐車場」の採算性を度外視したと推測する。言うまでもなく、マンションの早期完売を円滑に実現するためであろう。
そもそも、当地では地価が安いため「駐車場」は採算が合わないという事情があり、当マンションは「駐車場」を持つべきではなかった。当マンションに「駐車場」を建造したのは「大成」の基本的設計ミスである。
当地の駐車場事情は次の通り。
●Aマンション(築後40年、200戸)では、機械式駐車場はなく、地上駐車のみ40台で使用料は月8,000円。
●Bマンション(築後21年、35戸)では、数年前に機械式駐車場を閉鎖した。「駐車場」は耐久期間を過ぎており(「駐車場」の法定耐用年数は15年)、延命のための修繕費を支払い続けるより廃止する方がベターと判断したのだろう。
●隣に大型駐車場(舗装)があり、その使用料は月11,000円。やや離れたところには5,000円の駐車場(無舗装)があり、Bマンションの車所有者はこれを利用している。
さて、一般的には使用料収入は管理費の貸方に計上され**、管理費負担が軽減されることで区分購入者はマンション分譲価格に含まれている「駐車場」建造費を回収できる。しかし、当マンションでは使用料を管理費ではなく、修繕積立金に計上する形にして、「駐車場」建造費が区分所有者に還元されないように(つまり、貯蓄されるように)組み立てられた。換言すると、「大成」は設計ミスをマンション区分購入者に転嫁したのである。
ところで、使用料をもっと早い時期―せめて隣の大型駐車場(現行使用料月11,000円)が建設された時***―に値上げしていれば損失はかなり軽減されたはずだが、「大成」は23年間放置した。もしも、使用料を最初から現行の月12,000円(2016年4月に改訂)に設定していたら、旧料金7,000円との差は5,000円。従って、23年間の機会損失は5,000円×20台×12カ月×23年= 27,600,000円。
すなわち、「大成」の設計ミスとその後の怠慢により、区分所有者(特に「駐車場」非利用者)は総額2,700万円(単純平均で一戸60万円)という巨額の機会損失を蒙ったのである。ちなみに、「駐車場」建造コストは、推定2,000ー2,300万円。
要するに、「大成」は24年前に時限爆弾を仕掛け、それが今になって爆発しているのだ。それが当マンションの管理費等(管理費+修繕積立金)が高い一因となっている(後編参照)。
【ペテンの隠蔽】
「駐車場」修繕費問題は巨大な金額が絡む重要案件であり、2015年12月に提出された収支計画にいくつかの誤りがあることが判明したからには、その修正案は臨時総会で単独に討議されるべきだった。しかし、組合理事会(=「大成」)は臨時総会を開催せず、この案件を2016年6月の通常総会に先送りした。
通常総会の主要議題は、前期の収支報告と当期の予算案であり、個別案件は出席者の注目度が低いし、時間的制約もある。だから、「大成」は修繕費収支計画の修正を発表せず、総合収支計画の中に組み込んで、案件の矮小化を図ったのである。数字に不慣れな組合員は総合収支計画に羅列された数字に幻惑され、原案をそのまま承認した。
その後まもなく、当期に予定されていた修繕は実行された。今すでに3月後半、当期中に臨時総会が開催されることはないから、本案件はすでに完了したという形になった。「大成」には「ペテン」を恥じて、修正する品性が欠けていると判断する。
後編に続く
*(注)当マンションでは、「駐車場」の保守点検費が他のマンションより高いことと、満車ではないために、月12,000円の使用料でも赤字になる。
**(注)「駐車場」の保守点検費は管理費に計上されるので、それをカバーするためにも、使用料が管理費に計上されるのは正しい会計処理である。つまり、修繕積立金に計上する当マンションの会計処理は異常であり、「大成」が本件の重要性を十分認識していることの証左である。
***(注)古くからの住人によれば、「隣の駐車場が建設されたのは20年ほど前だ」というが未確認。