私はマンション管理の専門家ではないが、当マンションにおける苦い経験を踏まえて、マンション内の機械式駐車場(「駐車場」)の会計処理についての私見を披露したい。
「駐車場」のコストはマンション分譲代金に含まれていることはご承知の通り。そして、ほとんどのマンションの管理組合では駐車場使用料(「使用料」)を全額管理費に計上しているから、経費(保守料+電気代)を除いた残額が管理費を減らす形で組合員に還元され、これが実質的に「駐車場」コストの回収になる(ここまでを第一ステージとする)。
問題は「駐車場」の耐用期間が終了したあとの第二ステージである。「駐車場」更新(新品に入れ替えるケースと延命修繕によって存続させるケースがある)の費用は組合員の新たな負担となり、修繕積立金の値上げで対応せざるを得ない*。第一ステージの段階から「駐車場」更新費用を積み立ててあるなら話は別だが、そういう組合はないと思う。
その値上げは、「駐車場」運営が営利事業として採算が合うかぎり、その利益が管理費負担を軽減するので、組合員の合意は得られるはずだが、値上げ幅が大きいと反対者が多いこともありうる。その場合は、「駐車場」更新費用を銀行借り入れに頼ることになるが、現在の金利が非常に低水準なので、銀行借り入れは十分考慮に値する選択肢である。
では、値上げ幅を最小限に止めるためにはどうしたらいいか。その方策は、できるだけ早い時期に値上げを実施するしかない。法定耐用年数の15年目以降(それ以前は心理的に難しいと思う)、できるだけ早い時期から修繕積立金の値上げを実施して、更新資金を積み立てる。先延ばしすればするほど、値上げ幅が大きくなる。
第二ステージに入ったら、「駐車場」運営の損益状況を明確化するために、「使用料」は二つに分割し(管理費または修繕積立金に一括計上ではなく)、「駐車場」更新費用相当額(金額については「大成有楽の“目くらまし”商法」参照)を修繕積立金に、残額を管理費に計上(保守費と電気代に充当)すべきである。
ともあれ、第二ステージに移行した段階で「駐車場」運営は新たな局面に入ったことを組合員に認識させるためにも、「使用料」の分割計上は必要かつ適切な方策だと考える。
*当マンションの場合、第二ステージに入っても、修繕積立金の値上げは必要なかった。そのわけは、(1)「使用料」が最初から、修繕積立金(管理費でなく)に計上されてきたこと、(2)数年前に、高すぎた管理費を安くした際、同じ金額だけ修繕積立金を高くしたこと。その代わり、組合員はマンション分譲代金に含まれていた「駐車場」建造費を回収する機会を失った。
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