韓国の大手紙である中央日報(日本語版)に<【8・15特別寄稿】日韓の指導者は大局観に立って歴史問題を乗り越えよ>と題した鳩山由紀夫元首相の寄稿文が掲載された。
そのキモの部分を下に貼り付ける(赤字)。なお、下線は爺が施したもの。全文は下のURLを開けて頂く。
https://japanese.joins.com/JArticle/269127
徴用工問題について、日本側の立場は「1965年の日韓請求権協定によって解決済み」というものである。だから徴用工裁判自体に驚いたし、大法院判決が出た時には「裏切られた」と思った日本人が多かった。一方、韓国では個人の請求権は国家間条約によって消滅しないと考えられ、裁判が進んだ。
この件に関しては、日本政府もかつて「個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたものではない」と答弁しており、現在の国際人権法の考え方は、「個人の損害賠償権を国家間の協定や条約によって消滅させることはできない」という主張が主流である。事ここに至った以上、安倍晋三首相は大局観を持ち、従来の立場に固執しないことを表明すべきだ。
要するに、鳩山氏は徴用工問題に関し、“日本が譲歩すべだ”と主張しているのだ。韓国人は鳩山氏が日本の例外的存在であることを百も承知であるにしても、この発言が韓国人を元気づけることは間違いない。
さらに、この鳩山発言は文大統領の「(徴用工問題に関し)日本が望むなら、いつでも協議に応ずる」という8月15日の演説の趣旨に一致する。つまり、鳩山氏は文大統領に援護射撃をしたことになる(もちろん、鳩山発言の方が先である)。日本としては、まことに困った御仁である。
鳩山氏の主張の根拠である<現在の国際人権法の考え方は、「個人の損害賠償権を国家間の協定や条約によって消滅させることはできない」という主張が主流である>も納得できない。誰がそう主張したのかが明確ではないし、それが主流であるということも疑問である。
百歩譲って、「個人の損害賠償権を国家間の協定や条約によって消滅させることはできない」が主流であるとしても、過去の出来事を新しい概念で、遡って律することはできない。
この問題の争点は、国際協定を遵守するか、国内法で律するか、であり、足して2で割ることでは解決出来ない。国際協定が国内法に優先することは、国際常識であり、日本が譲歩する余地はまったくない。
そうは言っても、鳩山氏の“日韓関係をなんとかしたい”という熱意は高く評価する。また、鳩山氏のみならず、一部のビジネス界も友好的な早期解決を望んでいるはずだ。ついては、鳩山氏が個人的に「日韓友好基金」を創設し、親韓派の日本人や両国のビジネス界から寄付を募ってはどうか。もちろん、原告たちに補償する原資を作るためである。
ただし、現在の原告たちがその基金から補償を受けた場合、状況を見守っているほかの元徴用工(“成りすまし”含む)及びその遺族が次々に名乗りを上げ、収拾つかなくなることは覚悟しておかなくてはならない(笑)。
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