黒柴ひめちゃんの葛塚村だよりⅢ

葛塚城堀之内に住んでます。毎日歩いているひめちゃんとおかあさんの見て歩きです。時には遠くにも出かけます。

膳の家人赤堀喜太郎というもの(膳の桐生取り合いの事、付けたり、両家縁談の事・その 6)

2024-10-16 19:40:24 | 桐生老談記の世界

雨雲レーダーの雨の振り出しが、どんどん遅くなりました。

雨が降らないで、一日が暮れました。

ひめちゃんの夕方のお散歩コースは、基本的に南に下って中学校の信号付近を廻ってきます。

今日は久しぶりに、ケンくんちのおばあちゃんに逢いました

 

ひめちゃんとタバサねーちゃんは、朝散歩の帰りにケンくんちに寄るのを楽しみにしている時期がありました

弾む足取りで、ケンくんちに向かいます

ケンくんが大好きなひめちゃんに付き合って寄ていたタバサねーちゃんも、いつのまにかケンくんが好きになっていました

 

 

 

膳の桐生取り合いの事、付けたり、両家縁談の事・その 6(膳の家人赤堀喜太郎というもの)

 

また、膳の家人赤堀喜太郎と云うものは、杉野の姪婿なれば、膳の陣に目配せすれば猶、杉野大小を渡し降参す。

桐生方森下これを見付けて追いかけ、杉野に切りつければ、喜太郎、森下を後ろより組倒す。

森下下より喜太郎を一刀に刺し通し、首を取らんとせし所に、森下がしゅうと金子浄盛は和田兄弟に討ち取られける。

森下すかさず追いかけ、兄弟を左右に請け弟を切り捨て、兄をも首を討ち取り、しゆとの敵たちまち討ちて、比類なき働きなり。

この度の高名に山城に受領して、これ森下の大祖なり。

ここにまた大吉は必死を逃れ、手負いの馬を担ぎ、五町ばかり退くを見て敵も目を驚かす。

あれほどの強力者にとって返す事ならば人馬とてもたるまじと、我先にと逃げ去る。

勘解由は生年十六歳、身丈六尺に超えたり。

十余人力の者という、されば其の日の合戦に桐生方にて、小川随見、安藤五兵衛、小曽根筑後、岩崎大六、畠山庄兵衛、金子太左衛門入道浄盛、中崎喜太郎、桑原源次郎を初めとして、名ある人々八十人、上下三十人ばかり討たれけり。

寄せ手の方にも赤堀喜太郎、和田兄弟、村上静六、金子縫殿、五貫主水、小畑市之助を始め上下四十人余り討たれけり。

両軍の手負い数知れず。

 


あらすじです。

膳の家中の赤堀喜太郎というものは、杉野の姪婿であったので、杉野は大小の刀を渡して投降した。
桐生方の森下は、これを見付けて、杉野を追いかけ切りつけた。
赤堀喜太郎は森下を後ろから組倒した。
森下は下から喜太郎を刺し、首を取ろうとした。
ちょうどその時に、森下の舅(しゅうと)金子浄盛は和田兄弟に討ち取られた。
森下はすぐに追いかけ、兄弟を討ち、舅の敵を討った。
この時の功績によって、山城に領地をいただいた。
これがの森下のご先祖である。


また、大吉(大谷)は、死ぬべき運命をのがれ、けがをした馬を担ぎ、5町(500~600m)退却するのをみて、敵もビックリする。
「あれほどの力持ちがとって返してきたら、とてもたちうちできない」と、我先に逃げ出す。
(大谷)勘解由は16歳で、身長は180cm越えで、20人力の力持ちだという。


その日の合戦には、桐生側で小川随見、安藤五兵衛、小曽根筑後、岩崎大六、畠山庄兵衛、金子太左衛門入道浄盛、中崎喜太郎、桑原源次郎を初めとして、名ある人々八十人のうち、三十人ばかりが討たれた。


寄せ手の膳方でも、赤堀喜太郎、和田兄弟、村上静六、金子縫殿、五貫主水、小畑市之助を始めとして四十人余りが討たれた。


 


真夏の合戦です。
7月15日は、合戦をする日としては、どうも不自然です


姪の夫を見付けた杉野さんは、さっさと降参します。
かつて主人の細川さんを裏切ったのに、細川さんの復讐戦にきた膳方にさっさと降参するのです
肉親愛にあふれた人なのでしょう

森下さんは大活躍です。
杉野さんを見付けて成敗しようとしますけど、赤堀喜太郎に邪魔をされます。
組み伏せられても、下から刺し殺すのです
また、舅の金子浄盛の敵(かたき)もすぐに討ちます。

「これ森下の大祖なり」、作者の近くに森下家があるかな



赤堀さんというと、すぐ南の旧赤堀町(伊勢崎市赤堀町)、赤堀城主の赤堀さんが思い浮かびます

本文中の大吉は、大谷の誤記と思われます。
大谷勘解由は、まだ16歳だったのですか
身の丈180cm越えとは、当時としてはかなりの大男です


「所領を獲得するために命を懸ける」という時代の話だと思いますけれど、肉親愛につられての行動が見られます
作者は、むしろ肉親愛にこだわっているようです

仇討ちのために、たくさんの命が失われました
そして、膳城にも危機が迫ります


初稿  2019.10.19  FC2ブログ「黒柴ひめちゃんの葛塚村だより」

改稿  2024.10.16

 

 

(つづく)

コメント
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