以前から、古代エジプトの神秘的に憧れを持っていた。先月、新聞に掲載されていた新着映画情報を読み、惹かれる作品を見つけた。
「わっ、トム・クルーズ主演の『ザ・マミー』だって。エジプトのミイラの映画みたいだよ」
高校時代は世界史を専攻し、同じくエジプト好きの娘に声をかけてみた。
「おもしろそう。行こう行こう」
「行こう行こう」
ネットでのレビューはイマイチだったが、他のキャストにラッセル・クロウの名を見つけ、ピピッと来た。これは私のストライクゾーンである。直感は大事だ。チャチャッと映画館の上映スケジュールを検索し、都合のつく時間帯を調べてみる。
「IMAX 3Dと4DXもある。どれにしようか」
スマホを手放さない娘に話しかけ、相談した。
「4DXだよ、絶対。3Dメガネかけるのダルい」
「そうねえ、耳も痛くなるし」
見たかった映画でも、疲れていると上映中に寝てしまうことがある。しかし、座席が揺れる4Dなら大丈夫だろう。だが、娘に大事なことを言い忘れたまま、チケット予約をしてしまった。
当日、ポップコーンを買って座席に着いた。揺れてもこぼれないように、トレイではなくビニール袋に入れてくれる。いざ、4DXにGO!
映画が始まると、中東風のターバンを巻いたトム・クルーズが登場した。ビックリするくらい似合わず、苦笑しながら見る。会話が始まると、何かがおかしいことに気づく。
「お母さん、トムが日本語しゃべってるよ」
「あ、思い出した。4DXは日本語吹き替え版だったんだ……」
「ええー!」
私たちが行く映画館は、IMAX 3Dだと字幕、4DXだと吹き替えだよ……その確認をするつもりだったのに、ヤバッ! 「トムは日本語を話せるようになったらしい」ととぼけたところで、すぐバレる嘘には意味がない。完全に手遅れだ。焦ったところで銃撃戦が始まり、座席がガタガタ揺れ出した。
「トム・クルーズの声が聞けない……」
ガッタンガッタン。
娘は残念そうだ。
「ラッセル・クロウも、レミゼで歌が上手かったのに」
「たまにはいいんじゃない? 漢字が読めなくて困るってこともないから」
「……」
グラグラグラッ。
私だって字幕の方がよかったが、もはや開き直るしかない。「字を読まなくてすむわ~」と考え方を変え、吹き替え版を満喫するのだ。娘は不満そうに鼻にシワを寄せていたが、「この人には何を言っても無駄だ」と諦めたようだった。
レビューに「ホラー」と書いてあった通り、私にとっては怖いストーリーだった。追いかけられるのは苦手だ。しかも、ミイラが多数になったり、蜘蛛やネズミが大量にわき出てきたりして、かなり気味悪い。
ラッセル・クロウのキチガイじみた演技もすさまじかった。本当に、頭おかしいのかもと納得するくらいである。ジキルとハイドの役だから、遠慮していてはいかんのだ。トム・クルーズ演じるニックは、ミイラだけでなく二重人格の狂人とも戦わなければならない。
展開にケチをつけるのは簡単である。ちょっと無理があるんじゃない? という場面もないわけではなかったが、アトラクション並みに動くシートに揺られ、劇場に煙が上がり、ときおり水しぶきが飛んでくれば、細かいことはどうでもよくなる。あとは、ポップコーンが濡れないように水滴からガード。あっという間の110分であった。
エンドロールの最後に、吹き替え版の声優が紹介された。ミイラである悪役・アマネットは、ベッキーが吹き替えたらしい。他の声優さんたちも、みんな上手だった。最初は字幕でないことを後悔したが、吹き替え版も悪くない。好演に感謝する。
「……疲れたね」
「疲れた」
「だいぶ揺れたけど、ポップコーン、鼻に入らなかった?」
「入るわけないでしょ」
俳優たちと一緒に走り、泳ぎ、戦ったかのような疲労感が楽しい。
4DXは、映画の世界に入り込めた気がしていいわぁ~。
↑
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
「わっ、トム・クルーズ主演の『ザ・マミー』だって。エジプトのミイラの映画みたいだよ」
高校時代は世界史を専攻し、同じくエジプト好きの娘に声をかけてみた。
「おもしろそう。行こう行こう」
「行こう行こう」
ネットでのレビューはイマイチだったが、他のキャストにラッセル・クロウの名を見つけ、ピピッと来た。これは私のストライクゾーンである。直感は大事だ。チャチャッと映画館の上映スケジュールを検索し、都合のつく時間帯を調べてみる。
「IMAX 3Dと4DXもある。どれにしようか」
スマホを手放さない娘に話しかけ、相談した。
「4DXだよ、絶対。3Dメガネかけるのダルい」
「そうねえ、耳も痛くなるし」
見たかった映画でも、疲れていると上映中に寝てしまうことがある。しかし、座席が揺れる4Dなら大丈夫だろう。だが、娘に大事なことを言い忘れたまま、チケット予約をしてしまった。
当日、ポップコーンを買って座席に着いた。揺れてもこぼれないように、トレイではなくビニール袋に入れてくれる。いざ、4DXにGO!
映画が始まると、中東風のターバンを巻いたトム・クルーズが登場した。ビックリするくらい似合わず、苦笑しながら見る。会話が始まると、何かがおかしいことに気づく。
「お母さん、トムが日本語しゃべってるよ」
「あ、思い出した。4DXは日本語吹き替え版だったんだ……」
「ええー!」
私たちが行く映画館は、IMAX 3Dだと字幕、4DXだと吹き替えだよ……その確認をするつもりだったのに、ヤバッ! 「トムは日本語を話せるようになったらしい」ととぼけたところで、すぐバレる嘘には意味がない。完全に手遅れだ。焦ったところで銃撃戦が始まり、座席がガタガタ揺れ出した。
「トム・クルーズの声が聞けない……」
ガッタンガッタン。
娘は残念そうだ。
「ラッセル・クロウも、レミゼで歌が上手かったのに」
「たまにはいいんじゃない? 漢字が読めなくて困るってこともないから」
「……」
グラグラグラッ。
私だって字幕の方がよかったが、もはや開き直るしかない。「字を読まなくてすむわ~」と考え方を変え、吹き替え版を満喫するのだ。娘は不満そうに鼻にシワを寄せていたが、「この人には何を言っても無駄だ」と諦めたようだった。
レビューに「ホラー」と書いてあった通り、私にとっては怖いストーリーだった。追いかけられるのは苦手だ。しかも、ミイラが多数になったり、蜘蛛やネズミが大量にわき出てきたりして、かなり気味悪い。
ラッセル・クロウのキチガイじみた演技もすさまじかった。本当に、頭おかしいのかもと納得するくらいである。ジキルとハイドの役だから、遠慮していてはいかんのだ。トム・クルーズ演じるニックは、ミイラだけでなく二重人格の狂人とも戦わなければならない。
展開にケチをつけるのは簡単である。ちょっと無理があるんじゃない? という場面もないわけではなかったが、アトラクション並みに動くシートに揺られ、劇場に煙が上がり、ときおり水しぶきが飛んでくれば、細かいことはどうでもよくなる。あとは、ポップコーンが濡れないように水滴からガード。あっという間の110分であった。
エンドロールの最後に、吹き替え版の声優が紹介された。ミイラである悪役・アマネットは、ベッキーが吹き替えたらしい。他の声優さんたちも、みんな上手だった。最初は字幕でないことを後悔したが、吹き替え版も悪くない。好演に感謝する。
「……疲れたね」
「疲れた」
「だいぶ揺れたけど、ポップコーン、鼻に入らなかった?」
「入るわけないでしょ」
俳優たちと一緒に走り、泳ぎ、戦ったかのような疲労感が楽しい。
4DXは、映画の世界に入り込めた気がしていいわぁ~。
↑
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
映画は心静かに作品世界を味わうものと思ってました。
次の指導要領のキーワードはアクティブラーニングとか。
教室も4D化して「体験世界史」とか「リアル戦争体験」とか学ぶ日が来たりして。
自ら学びたくなる子が増えることでしょう。
私も4DXを体験してみたいです。
静かな映画鑑賞もできますよ。
しかし、刺激があったほうが面白いのも事実。
お値段は1000円ほど高かったけれど、その価値ありますね。
授業のICT化も進んでいます。
新しい道具を子どもに与えると、取り組みの意欲が向上するのだとか。
問題は、現代人の飽きっぽいところ。
そのうち、4DXはもう古いとなるでしょう。
ものは大事にせんかい!
どうも、4DXの上を行くMX4Dというものがあるようです。
新宿か六本木に出ないと劇場がありませんが。
練馬区では4DXどまりなんですね。
気になるので、一度は体験してみた~い☆
秋に公開される映画の予告も見ました。
「新感染」という映画が怖かったです……。
僕は断然日本語吹き替え版ですね。元々、外国俳優さんの声を知らないし、字幕追っかけてると画面全体が見えない。昔は日テレ日曜夜10時半って、洋楽ドラマだったじゃないですか。あの声に慣れてるから、インタビューかなんかでホントの話し声を聞いた時は違和感MAXでしたよ。先日テレビ放映したジュラシックも日本語で話してくれないとさっぱりだったと思う。ホントは字幕見なくても理解出来る語学力があればもっと良いんですけどね。
おお、吹き替え版がお好きでしたか!
たとえば、昔、「白バイ野郎ジョン&パンチ」というテレビドラマがありました。
カリフォルニアハイウェイパトロールの話です。
アメリカでは「Chips」で親しまれていたようです。
ここに登場するパンチは、日本語吹き替え版の古川登志夫さんが断然いいんです。
本人の声を聞いたとき「アレ?」と驚きましたから。
ジャッキー・チェンの石丸博也さんも素晴らしいですよね。
そういう吹き替えだったら何も心配することはありません。
今回も楽しめてよかったです♪
今ではピッコロさんの声で有名な古川登志夫さん。僕の好きな声優さんの一人で、彼の歌のアルバム(もちろんLPレコード)買って、イベントでサインいただきました。もう遠いむかし…。
そうそう、エリック・エストラーダです(笑)
本人はまったりと話すタイプなんですが、アップテンポの古川さんのほうが断然パンチのイメージにピッタリ。
あのドラマはどうなったかな……。
ジョンが製作側に回ってしまい、パンチ&ボビーになりましたが、すぐ終わっていたような……。
好きなドラマだったので残念です。
登場人物になったようですね。
私も、字幕の生声が好きです。
吹替えもいいけれど、やっぱりスクリーンでは字幕で見たいもの。
後日オンエアされたら、吹替えで二度楽しめたらいいな。
2校目になる高校では、字幕はご法度でした。
芸術鑑賞教室で洋画を見せたら、漢字の読めない生徒だらけで、騒がしくなったのだとか。
私は聞き間違いが激しいので、吹き替えは心配でしたよ。
しかし、声優さんの発音は素晴らしい!
滑舌のよい会話の応酬で、聞き間違いはゼロでした。
てことは、普段のとんちんかんなやりとりは、相手の人の話し方が悪いってことですませたいと思います。