日本で一番面積の小さな県といえば、香川県。
カツオにつられて訪れた高知のついでに、うどん目当てで香川に向かう。
残念ながら、徳島は特急の車窓から、大歩危・小歩危を見ただけだ。とても美しい渓谷だった。
うどんは最終日の楽しみにとっておこう。琴平の宿に荷物を置き、まずは金刀比羅宮にお参りせねば。
さて、金刀比羅宮といえば、785段もの階段を上らないと、御本宮にたどり着けないことで有名だ。365段の大門までは、シャトルバスを利用することもできるが、食べ物や土産物で賑わっているのはふもとの表参道である。美味しいものにありつくためにも、ズルしちゃいかん。
「あはは、かまたまソフトだって! ネギまでついてる。ウケる~」
娘は、かまたまうどんをデザインしたソフトクリームを買った。
「お母さんは金箔ソフトにしようっと」
私はキンキラキンのリッチなものを選ぶ。
夫は、はちみつソフトなるものを平らげたあと、「階段ヤダヤダ」と駄々をこね、大きな腹を揺すりながらホテルに戻ってしまった。途中で倒れられても困るから、別にいいけど。
土産物を見ながら、娘が言った。
「友達から『おいり』を買ってきてと頼まれたんだよね。売ってるかな」
おいりとは、香川県で結婚式の引き出物に用いられる、ひなあられに似た菓子をいう。淡いパステルカラーと、ビー玉のような丸い形が特徴で、とても可愛らしい。
「あ、あれはどう?」
「いいね」
たまたま、通りかかった店先に、ポップなおいりが並んでいた。
「いらっしゃい」
貫禄のあるおかみさんが声をかけてくる。
最初、娘は荷物になることを嫌がり、帰りに買おうとした。でも、おかみさんから「こんぴらさんに持っていくと縁起がいいよ」と教わり、「それもそうだ」と納得していた。もらった人も、絶対その方がうれしいだろう。
「お姉さんたち、杖ある?」
「杖?」
「よかったら、うちのを貸すよ。レンタル料はいらないから」
「じゃあ、借りまーす」
ここでは若い人も年配の人も、杖をついて歩くことが多い。そういえば『るるぶ』にも、あったほうがよいと書いてあったのに、すっかり忘れていた。右手にはバッグと日傘を、左手には杖を持って、長い階段を上り始める。
「おっ、これはなかなか」
杖に体重をかけると、ひょいと足が上がるようになる。体も軽く感じられ、たしかに楽だ。素直に借りておいてよかった。
この日、香川県の気温は36度。もちろん暑かったし、たっぷり汗もかいたが、高知城蒸し焼き地獄に比べたらどうってこたあない。杖の力を借りながら、気合いを入れずに上ることができた。
628段目の旭社。
帰路に参拝するとは知らず、先にお参りしてしまった。
この辺りも、まだまだ長い階段が続いている。
785段でようやく御本宮に到着だ。
何をお祈りしたかは、ヒ・ミ・ツ!
幸せの黄色いお守りが、金刀比羅宮の一番人気なのだとか。来られなかった夫の分も買い求めた。
歩き足りない人は、奥社に進むとよい。1368段目の厳魂神社がゴール地点だ。私たちは、夕食の時間が迫っていたので、御本宮で引き返した。
「杖をありがとうございました。すごく役に立ちました」
おかみさんの店に寄り、礼を言ってお返しする。
「ああ、おかえり。ほな、お茶持ってくるわ」
おかみさんが、にっこり笑って冷たい麦茶を出してくれた。ほてった顔が引き締まる冷たさなのに、心の中は温かい。麦茶は、風呂上がりのビールのような美味しさだった。
おみやげに、名物の灸まんと船々せんべいを買ったら、値引きしてくれたのもまた嬉しい。
金刀比羅宮には、出会いや縁結びの御利益があるという。
間違いなく、いい出会いはあったな。
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
カツオにつられて訪れた高知のついでに、うどん目当てで香川に向かう。
残念ながら、徳島は特急の車窓から、大歩危・小歩危を見ただけだ。とても美しい渓谷だった。
うどんは最終日の楽しみにとっておこう。琴平の宿に荷物を置き、まずは金刀比羅宮にお参りせねば。
さて、金刀比羅宮といえば、785段もの階段を上らないと、御本宮にたどり着けないことで有名だ。365段の大門までは、シャトルバスを利用することもできるが、食べ物や土産物で賑わっているのはふもとの表参道である。美味しいものにありつくためにも、ズルしちゃいかん。
「あはは、かまたまソフトだって! ネギまでついてる。ウケる~」
娘は、かまたまうどんをデザインしたソフトクリームを買った。
「お母さんは金箔ソフトにしようっと」
私はキンキラキンのリッチなものを選ぶ。
夫は、はちみつソフトなるものを平らげたあと、「階段ヤダヤダ」と駄々をこね、大きな腹を揺すりながらホテルに戻ってしまった。途中で倒れられても困るから、別にいいけど。
土産物を見ながら、娘が言った。
「友達から『おいり』を買ってきてと頼まれたんだよね。売ってるかな」
おいりとは、香川県で結婚式の引き出物に用いられる、ひなあられに似た菓子をいう。淡いパステルカラーと、ビー玉のような丸い形が特徴で、とても可愛らしい。
「あ、あれはどう?」
「いいね」
たまたま、通りかかった店先に、ポップなおいりが並んでいた。
「いらっしゃい」
貫禄のあるおかみさんが声をかけてくる。
最初、娘は荷物になることを嫌がり、帰りに買おうとした。でも、おかみさんから「こんぴらさんに持っていくと縁起がいいよ」と教わり、「それもそうだ」と納得していた。もらった人も、絶対その方がうれしいだろう。
「お姉さんたち、杖ある?」
「杖?」
「よかったら、うちのを貸すよ。レンタル料はいらないから」
「じゃあ、借りまーす」
ここでは若い人も年配の人も、杖をついて歩くことが多い。そういえば『るるぶ』にも、あったほうがよいと書いてあったのに、すっかり忘れていた。右手にはバッグと日傘を、左手には杖を持って、長い階段を上り始める。
「おっ、これはなかなか」
杖に体重をかけると、ひょいと足が上がるようになる。体も軽く感じられ、たしかに楽だ。素直に借りておいてよかった。
この日、香川県の気温は36度。もちろん暑かったし、たっぷり汗もかいたが、高知城蒸し焼き地獄に比べたらどうってこたあない。杖の力を借りながら、気合いを入れずに上ることができた。
628段目の旭社。
帰路に参拝するとは知らず、先にお参りしてしまった。
この辺りも、まだまだ長い階段が続いている。
785段でようやく御本宮に到着だ。
何をお祈りしたかは、ヒ・ミ・ツ!
幸せの黄色いお守りが、金刀比羅宮の一番人気なのだとか。来られなかった夫の分も買い求めた。
歩き足りない人は、奥社に進むとよい。1368段目の厳魂神社がゴール地点だ。私たちは、夕食の時間が迫っていたので、御本宮で引き返した。
「杖をありがとうございました。すごく役に立ちました」
おかみさんの店に寄り、礼を言ってお返しする。
「ああ、おかえり。ほな、お茶持ってくるわ」
おかみさんが、にっこり笑って冷たい麦茶を出してくれた。ほてった顔が引き締まる冷たさなのに、心の中は温かい。麦茶は、風呂上がりのビールのような美味しさだった。
おみやげに、名物の灸まんと船々せんべいを買ったら、値引きしてくれたのもまた嬉しい。
金刀比羅宮には、出会いや縁結びの御利益があるという。
間違いなく、いい出会いはあったな。
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
旅エッセイは完成までに時間がかかります。
写真を集めて、並べて、それに合う方向に進みますね。
写真がブレていたときなど悲惨です。
そして、いつも長くなりがち。
だから、余計に時間がかかるんでしょうね。
読んだ方が、「ここに行きたい」と思っていただける文が書けたらな~と思っています。
でもさすがに、金刀比羅宮はお詣りしてません↓
職場の旅行等が多いから、そんな時間は取れなかったせいでしょう。
(私も登りきる自信ないですが)
お年寄りが休み休み上っていた姿が印象的でした。
そこまで苦労すれば、御本宮での御利益が期待できそうです。
でも、弱者がお参りできない神社というのも困りますね。
エレベーターを設置するなどの配慮はないのかしら。
こちらのメリットは、駅から近いというところです。
JR琴平駅からホテルまで5分でした。
さらに、ホテルから金刀比羅宮の表参道まで3分。
とてもコンパクトで回りやすかったです。
帰路を下っていたとき、これからお参りに行くオバ様方に「あとどのくらいかしら」と尋ねられました。
「もうちょっとですよ」と励ましたものの、ふうふう言ってる様子は痛々しかったです。
コミュニケーションをとるきっかけにはなりましたが。
えー、香川に本籍があったんですか!
驚きましたよ。
私が金刀比羅宮に行った時間は16時過ぎでした。
参拝客の少ない時間帯でしたから、かごは見当たりませんでした。
午前中のピーク時だったらいたかもしれませんね。
次は映画(ガンダム)になる予定ですから、うどんは次の次かな(笑)
高松には行きませんでした。
栗林公園から坂出に向かう途中で通過はしましたが。
同僚が小豆島でこの夏2泊したそうです。
島に行くのもいいですね。
お客さんに麦茶を出してくれる優しい女将さんと出会えて良かったですね。
店内には3人腰かけられるベンチがありました。
お尻に優しい座布団も(笑)
年中、ここにお客さんをもてなしているんだな~と察しました。
おみやげはどこででも買えます。
でも、どうせだったら親切にしてくれたお店がいいですよね。
他の観光地では、こういう出会いがなかったと思います。