この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

鴨川ホルモー。

2007-02-16 23:59:56 | 読書
 万城目学著、『鴨川ホルモー』、読了。

 何はともかくタイトルが上手い。
 「鴨川」と来て、「ホルモー」と続く。
 このタイトルで、何じゃそりゃ、と思わぬ人はいまい。
 しかも読後、確かにこのタイトル以外ありえぬよなぁと思わせるものがある。
 まことにタイトルが上手い。
 だが絶賛できるのはその一点のみ。
 あとはまぁ及第点といったところか。
 まず文章そのものだが、これは自分がこの作品の一つ前に読んだのが伊坂幸太郎の『フィッシュ・ストーリー』だったので、どうしても拙く思えてしまった。稀代のストーリーテラーとデビューしたての新人作家ではどうにも分が悪い。
 また人物描写にもどうも不自然さを感じてしまった。例えば一見大木凡人似の女性キャラが出てくるのだが、彼女がメガネを取ると結構可愛かったという設定なのである。経験上言わせてもらうと大木凡人に似た女性がメガネを取ってもメガネを取った大木凡人にしか見えないと思う。
 物語の展開も正直とろい。見たことも聞いたこともない「ホルモー」なるものの説明にページを割かなければいけないので致し方ないことなのかもしれないが、やはり序盤はだれている印象が否めない。
 タイトル以外ケチョンケチョンに貶しているかのように思われるかもしれないが、自分はこの小説をそれなりに面白く読むことが出来た。
 文章力は及第点、人物描写もいまいち、さらに展開もとろいとなれば本来読み物として失格であるはずだが、本作の面白さは何といっても「ホルモー」という競技そのものにあり、歴史ものでいえば合戦シーンに当たるところがなかなか読ませるのだ。
 あとはまぁ恋物語にせよ、青春ものにせよ、その添え物のようなものか。
 カレーライスに例えるなら、サラダと福神漬けはパッとしないがカレーはまぁまぁイケルじゃん、みたいな?
 いや、我ながらパッとしない例えだな。笑。
 まぁともかく、傑作!!というほどではないにせよ、『鴨川ホルモー』というタイトルが気になる人は本作を手に取って最初の四ページだけでも読んでみたらいいと思う。
 そういう意味ではやはりタイトルが上手いといえる。笑。
コメント
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