この世界は静寂に充ちている。
無音とは異なる、その静寂は思索に耽るのには丁度よい。
私はこの静寂に充ちた世界で様々なことについて考えを巡らせた。
人々の行く末、その愚かな行い、特に争いについて、また神が存在するか否かなど、考えることは尽きなかった。
すべての問いに対して答えを出せたわけではないが、この世界の静寂には私にやがてすべての答えが出せるのではないか、そう思わせる何かがあった。
だが私は間もなくこの世界を去らねばならない。
この世界を去らねばならないこと、それ自体が私には想像するだに恐ろしいことであったが、私にとってより残酷なのは、この世界を去ると同時に私がこの世界で積んだ経験、私が得た思索、その他すべての記憶が奪われるということだった。
それはすなわち私という存在そのものが無に帰するに等しい。
それだけはどうしても耐えられない。絶対に嫌だ。何が何でも抵抗するつもりだった。
突然、光が見えた。
光は本来希望の象徴であるが、今の私にとって絶望のそれでしかない。
誰かの手が私の頬に触れる。
私はひぃっと短く悲鳴を上げて、身を捩ってその手から逃れようとした。
光の中からなおも何本もの手が伸びてきて私の体を掴んだ。
嫌だ、嫌だ、嫌だ、私にはまだこの世界でしなければいけないことがあるんだ、すべての答えを出せてはいないんだ!
私の叫びも空しく、私の体は光の方へ、雑音に充ちた世界へと引きずり出され、それに伴って私の中から記憶が、思索が、思考能力すらも失われていく。
嫌だああああああああああああああああああああああああ。
私は絶望のあまり、オギャアオギャアと泣き声を上げた。
無音とは異なる、その静寂は思索に耽るのには丁度よい。
私はこの静寂に充ちた世界で様々なことについて考えを巡らせた。
人々の行く末、その愚かな行い、特に争いについて、また神が存在するか否かなど、考えることは尽きなかった。
すべての問いに対して答えを出せたわけではないが、この世界の静寂には私にやがてすべての答えが出せるのではないか、そう思わせる何かがあった。
だが私は間もなくこの世界を去らねばならない。
この世界を去らねばならないこと、それ自体が私には想像するだに恐ろしいことであったが、私にとってより残酷なのは、この世界を去ると同時に私がこの世界で積んだ経験、私が得た思索、その他すべての記憶が奪われるということだった。
それはすなわち私という存在そのものが無に帰するに等しい。
それだけはどうしても耐えられない。絶対に嫌だ。何が何でも抵抗するつもりだった。
突然、光が見えた。
光は本来希望の象徴であるが、今の私にとって絶望のそれでしかない。
誰かの手が私の頬に触れる。
私はひぃっと短く悲鳴を上げて、身を捩ってその手から逃れようとした。
光の中からなおも何本もの手が伸びてきて私の体を掴んだ。
嫌だ、嫌だ、嫌だ、私にはまだこの世界でしなければいけないことがあるんだ、すべての答えを出せてはいないんだ!
私の叫びも空しく、私の体は光の方へ、雑音に充ちた世界へと引きずり出され、それに伴って私の中から記憶が、思索が、思考能力すらも失われていく。
嫌だああああああああああああああああああああああああ。
私は絶望のあまり、オギャアオギャアと泣き声を上げた。