ポール・ヴァーホーベン監督、『ブラックブック』、Tジョイ久留米にて鑑賞。
まず最初に断っておきたいのは自分はポール・ヴァーホーベン監督のファンではないということです。彼の作品を全作見たというわけではないですが、『ロボコップ』、『トータル・リコール』、『氷の微笑』、『スターシップ・トゥルーパーズ』、『インビジブル』、メジャーな作品は『ショーガール』以外は見たんじゃないかな、でもどれもさして面白いとは思いませんでした。
そんな自分が断言させてもらいます。
映画『ブラックブック』は傑作であった、と。
ヴァーホーベン監督といえば誰もが作品の根幹にエロスとヴァイオレンスを見出すのではないでしょうか。
本作においてもそれは顕著です。しかし一線を画するのは、これまでの作品では時に行き過ぎた、それどころか時に不必要とさえ思えることがあったその二つの要素が本作では過剰感が一切無く、作品を構成するために必要不可欠だ、ということです。エロスが単なる観客へのサービスではないんですよ。あるシーンでヒロインのラヘルの陰毛がバッチリ見えちゃうんですけど、それによって彼女に与えられた任務の過酷さが表現されるんです。映画史に残る陰毛だと思いましたね。笑。
これまでとの作品との違いはそれにとどまりません。自分はヴァーホーベンといえば登場人物をまるで昆虫か爬虫類か何かのように、血の通った一人の人間として扱わないのが作風だと思っていました。まぁそれが今一つヴァーホーベンを好きになれずにいた理由なんですけどね。なので彼の作品を見ていても登場人物に感情移入することなんてまるでなくて、当然主人公がどんなピンチに陥ってもハラハラドキドキするってこともありませんでした。
しかし本作ではラヘルに感情移入しまくり!!彼女を襲う危機また危機にスクリーンから目が離せませんでした。え、これからどうなっちゃうの?って座席から思わず乗り出しちゃうほどでした。
違いはまだあります。
これまでのヴァーホーベンの作品って良くも悪くも脚本がアバウトだった気がします。例えば『氷の微笑』の有名なシャロン・ストーンの足の組替えシーン、あれは実は脚本に書いてあることでなく、監督であるヴァーホーベンのその場の思い付きだったらしいんですよね。思い付きによる演出が必ずしも悪いっていうわけではなく、時にライブ感を生み出して作品にプラスになることもあるのは承知していますが、本作はヴァーホーベンが脚本も兼ねているせいでしょうか、そういった、ここは思いつきで撮っただろうって思えるシーンが一切ないんです。好みの問題かもしれませんが自分はやはり練りに練った脚本の方が好きですね。
この作品はレジスタンスの中で果たして誰がナチスと通じているのか、というミステリーとしての一面もあるんですけど、これがまた憎いぐらい上手いんですよ。ミスリードが実に巧みで、自分はころっと騙されちゃいましたね。本当に脚本がよく出来ている。まさかヴァーホーベンの映画で脚本の出来のよさに感心することがあるとは思いもしませんでした。
キャスティングも文句のつけようがなく、特にヒロインのラヘルを演じたカリス・ファン・ハウテンは、決して目を瞠るような美人ってわけではないんですけど、本作でのラヘルは彼女以外に考えられないですね。熱演でした。
自分は映画を鑑賞しても必ずしもエンドロールを最後まで付き合う方じゃないんですよね。つまらん!!と思った作品は終わると同時に早々と席を立っちゃいますし。でも本作は久々に圧倒されるものがあって、しばらく席を立てませんでした。
映画『ブラックブック』は本当に傑作だと思いました。自信を持ってお薦めできます。ただし、おそらくは上映期間が短いでしょうから、お近くの映画館で上映されているという方は一日も早く観に行った方がいいです。
まず最初に断っておきたいのは自分はポール・ヴァーホーベン監督のファンではないということです。彼の作品を全作見たというわけではないですが、『ロボコップ』、『トータル・リコール』、『氷の微笑』、『スターシップ・トゥルーパーズ』、『インビジブル』、メジャーな作品は『ショーガール』以外は見たんじゃないかな、でもどれもさして面白いとは思いませんでした。
そんな自分が断言させてもらいます。
映画『ブラックブック』は傑作であった、と。
ヴァーホーベン監督といえば誰もが作品の根幹にエロスとヴァイオレンスを見出すのではないでしょうか。
本作においてもそれは顕著です。しかし一線を画するのは、これまでの作品では時に行き過ぎた、それどころか時に不必要とさえ思えることがあったその二つの要素が本作では過剰感が一切無く、作品を構成するために必要不可欠だ、ということです。エロスが単なる観客へのサービスではないんですよ。あるシーンでヒロインのラヘルの陰毛がバッチリ見えちゃうんですけど、それによって彼女に与えられた任務の過酷さが表現されるんです。映画史に残る陰毛だと思いましたね。笑。
これまでとの作品との違いはそれにとどまりません。自分はヴァーホーベンといえば登場人物をまるで昆虫か爬虫類か何かのように、血の通った一人の人間として扱わないのが作風だと思っていました。まぁそれが今一つヴァーホーベンを好きになれずにいた理由なんですけどね。なので彼の作品を見ていても登場人物に感情移入することなんてまるでなくて、当然主人公がどんなピンチに陥ってもハラハラドキドキするってこともありませんでした。
しかし本作ではラヘルに感情移入しまくり!!彼女を襲う危機また危機にスクリーンから目が離せませんでした。え、これからどうなっちゃうの?って座席から思わず乗り出しちゃうほどでした。
違いはまだあります。
これまでのヴァーホーベンの作品って良くも悪くも脚本がアバウトだった気がします。例えば『氷の微笑』の有名なシャロン・ストーンの足の組替えシーン、あれは実は脚本に書いてあることでなく、監督であるヴァーホーベンのその場の思い付きだったらしいんですよね。思い付きによる演出が必ずしも悪いっていうわけではなく、時にライブ感を生み出して作品にプラスになることもあるのは承知していますが、本作はヴァーホーベンが脚本も兼ねているせいでしょうか、そういった、ここは思いつきで撮っただろうって思えるシーンが一切ないんです。好みの問題かもしれませんが自分はやはり練りに練った脚本の方が好きですね。
この作品はレジスタンスの中で果たして誰がナチスと通じているのか、というミステリーとしての一面もあるんですけど、これがまた憎いぐらい上手いんですよ。ミスリードが実に巧みで、自分はころっと騙されちゃいましたね。本当に脚本がよく出来ている。まさかヴァーホーベンの映画で脚本の出来のよさに感心することがあるとは思いもしませんでした。
キャスティングも文句のつけようがなく、特にヒロインのラヘルを演じたカリス・ファン・ハウテンは、決して目を瞠るような美人ってわけではないんですけど、本作でのラヘルは彼女以外に考えられないですね。熱演でした。
自分は映画を鑑賞しても必ずしもエンドロールを最後まで付き合う方じゃないんですよね。つまらん!!と思った作品は終わると同時に早々と席を立っちゃいますし。でも本作は久々に圧倒されるものがあって、しばらく席を立てませんでした。
映画『ブラックブック』は本当に傑作だと思いました。自信を持ってお薦めできます。ただし、おそらくは上映期間が短いでしょうから、お近くの映画館で上映されているという方は一日も早く観に行った方がいいです。