伊坂幸太郎原作、森淳一監督、『重力ピエロ』、5/23、Tジョイ久留米にて鑑賞。2009年19本目。
いつの間にやら気がつくと伊坂幸太郎作品の映画化ラッシュだ。
2006年の『陽気なギャングが地球を回す』を皮切りに、『CHiLDREN』(元々はテレビドラマとして製作され、後に劇場公開された)、『アヒルと鴨のコインロッカー』、『死神の精度』、(ここまではそれほどでもなかったが、ここから映画化のスピードが加速)今年は『フィッシュストーリー』、『重力ピエロ』、『ラッシュライフ』が公開され、さらに来年には『ゴールデンスランバー』が控えている。
本数もそれなりのものがあるが、特筆すべきはその公開間隔の短さ。
『フィッシュストーリー』が三月、『重力ピエロ』が五月、『ラッシュライフ』が六月に公開される。
わずか三ヶ月の間に作品が三本も映画化された小説家がかつていただろうか?
いたかもしれないが、やはり尋常なことじゃない、といっていいと思う。
こうなると気になるのは作品の出来だろう。
何しろ一番最初の『陽気な~』の出来があまりといえばあまりだったので、どうしたって不安がつきまとう。
今週から公開の『重力ピエロ』についても例外ではなかったのだが、本作においてそれは幸い杞憂だった。
映画『重力ピエロ』は映画として完成度が非常に高い作品だった。
単に原作にファンが多いから映画化しました、というようなレヴェルではなく、きちんと原作を読み込み、映画として必要な要素を抽出し、不足するものは補い、見事に映像として具現化してみせた、監督の森淳一は非常にいい仕事をしていると思う。
とにかくワンシーンワンシーンが非常に叙情的で、何ていうか“映画”的なのだ。
例えば春が不良たちをバットで蹴散らすシーン。
泉水と春と父親が食卓を囲むシーン。
燃え盛る炎の中、春と葛城が対峙するシーン。
そういった何気ないシーンが、あぁ、映画を観ているな、そう思わせる。
実際映画を観ていても、映画を観ているな、と思わせる作品はそう多くはない(例えば最近の作品でいえば『グラン・トリノ』などがそうだ。)。
とはいってもまったく不満を覚えないということもない。
それはまぁどれも止むを得ないな、と思えるものなのだけれど、特に個人的に不満だったのが泉水と春の母親役だったのが鈴木京香だったってことかなぁ。
原作では彼女が夫に出会ったのは彼女が二十歳過ぎた頃という設定なので、それを演じるには鈴木京香では無理がある、、、イメージ的には遠くないんだけどね。
何だか上手くまとめ切れなかったけど、本作は映画として非常によい出来栄えなので、一人でも多くの人に観に行って欲しいと思います。お勧めです。
お気に入り度は★★★★、お薦め度は★★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
いつの間にやら気がつくと伊坂幸太郎作品の映画化ラッシュだ。
2006年の『陽気なギャングが地球を回す』を皮切りに、『CHiLDREN』(元々はテレビドラマとして製作され、後に劇場公開された)、『アヒルと鴨のコインロッカー』、『死神の精度』、(ここまではそれほどでもなかったが、ここから映画化のスピードが加速)今年は『フィッシュストーリー』、『重力ピエロ』、『ラッシュライフ』が公開され、さらに来年には『ゴールデンスランバー』が控えている。
本数もそれなりのものがあるが、特筆すべきはその公開間隔の短さ。
『フィッシュストーリー』が三月、『重力ピエロ』が五月、『ラッシュライフ』が六月に公開される。
わずか三ヶ月の間に作品が三本も映画化された小説家がかつていただろうか?
いたかもしれないが、やはり尋常なことじゃない、といっていいと思う。
こうなると気になるのは作品の出来だろう。
何しろ一番最初の『陽気な~』の出来があまりといえばあまりだったので、どうしたって不安がつきまとう。
今週から公開の『重力ピエロ』についても例外ではなかったのだが、本作においてそれは幸い杞憂だった。
映画『重力ピエロ』は映画として完成度が非常に高い作品だった。
単に原作にファンが多いから映画化しました、というようなレヴェルではなく、きちんと原作を読み込み、映画として必要な要素を抽出し、不足するものは補い、見事に映像として具現化してみせた、監督の森淳一は非常にいい仕事をしていると思う。
とにかくワンシーンワンシーンが非常に叙情的で、何ていうか“映画”的なのだ。
例えば春が不良たちをバットで蹴散らすシーン。
泉水と春と父親が食卓を囲むシーン。
燃え盛る炎の中、春と葛城が対峙するシーン。
そういった何気ないシーンが、あぁ、映画を観ているな、そう思わせる。
実際映画を観ていても、映画を観ているな、と思わせる作品はそう多くはない(例えば最近の作品でいえば『グラン・トリノ』などがそうだ。)。
とはいってもまったく不満を覚えないということもない。
それはまぁどれも止むを得ないな、と思えるものなのだけれど、特に個人的に不満だったのが泉水と春の母親役だったのが鈴木京香だったってことかなぁ。
原作では彼女が夫に出会ったのは彼女が二十歳過ぎた頃という設定なので、それを演じるには鈴木京香では無理がある、、、イメージ的には遠くないんだけどね。
何だか上手くまとめ切れなかったけど、本作は映画として非常によい出来栄えなので、一人でも多くの人に観に行って欲しいと思います。お勧めです。
お気に入り度は★★★★、お薦め度は★★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。