この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

スター・トレック。

2009-05-30 20:27:04 | 新作映画
 J.J.エイブラムス監督、『スター・トレック』、5/30、Tジョイ久留米にて鑑賞。2009年21本目。

 今回の映画『スター・トレック』において、個人的に何に驚いたかというと、それは監督であるエイブラムスがトレッキー(熱烈な『スター・トレック』マニアのこと)ではないということ。
 テレビブロスのインタビュー記事で彼はそう明言している。
 これだけ歴史のあるテレビシリーズなのだから、再映画化されるとすれば当然トレッキーな人物が監督であっても不思議ではないところだ。
 だが、本作においてはエイブラムスがトレッキーではないということがすべてプラスに働いているように思う。

 いうまでもなく『スター・トレック』が映画化されるのはこれが初めてというわけではない。
 というか、今回で実に十一度目(!)の映画化である。
 だが、過去の十作はいっちゃなんだが、トレッキーの、トレッキーによる、トレッキーのための映画だった。
 はっきりいってトレッキー以外にはまるで楽しめない祭りだったのだ。
 そしてエイブラムスはそのことが充分わかっているように思える。
 本作はこれまでになくアクションに重点が置かれ、そして凄まじいまでの疾走感溢れる作品に仕上がっている。

 エイブラムスの前作『クローバー・フィールド』は巧みなカメラワークとスピーディな展開が際立つ作品である。が、逆にいうとそれしかないともいえる。
 作品を根幹から否定する、何ゆえたまたまビデオカメラを手渡されただけに過ぎない素人がどんなにパニックになろうとも、どれほど阿鼻叫喚の地獄絵図が目の前に展開しようとも、ビデオカメラを手離さないのか?という疑問にいっそ潔いぐらいに背を向けている。
 観ている側も観ている間はそのことがまったく気にならない。
 それは非常に高度な演出があってこそだと思う。

 『スター・トレック』においても同様で、よくよく考えてみれば試験で不正を働くようなイカサマ野郎がそれほど間を置くことなく宇宙船の艦長に就任してしまうのはおかしいはずなのだが、観ている間は観客にこれっぽっちもそのことを頭によぎらせない。やはりエイブラムスの高度な演出があってこそではないだろうか。

 レヴェルの高いアクションと冒頭からひたすら疾走する主人公が楽しめる120分、その手の娯楽作品が好きという方にはお薦めの一本。

 お気に入り度は★★★☆、お薦め度は★★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
コメント (4)
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