この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

トンカラリンにリベンジ♪その二。

2010-05-06 22:33:03 | 旅行
 万全な準備をしてきたつもりでした。
 懐中電灯も、ヘッドランプも持ってきました。
 夏日だというのに、汚れてもいいような長袖のシャツも着てきました。
 よし、完璧!と思ったんですが、一つだけ忘れてるものがありました。

 昨日の記事で、トンカラリンの内部は人が通れる、と書きました。
 が、通れるといっても、立って通れるわけじゃなくて、這ってしか通れないのです。
 さながら『ショーシャンクの空に』のアンディ・デュフレーンのように。

 なので、手袋(軍手)は必須です。
 素手で直に隧道のじめじめした床を触りたくはないですからね。

 そこで一旦近くの道の駅に停めていた車に戻り、車内に軍手がないか、探してみました。
 しかし、そう都合よく軍手は置いてありません(自分の車には大概のものは積んであるんだけど)。
 諦めるか・・・。
 一瞬そう思いましたが、ここまで来て?と問う自分もいました。
 ここまで来て手袋がないからってすごすご逃げ帰ったら、何のために片道二時間掛けて来たか、わかんないじゃん!!
 叱咤する自分に、もう一人の自分が愚図ります。
 でも、絶対に素手では絶対にあの隧道にはチャレンジしたくない・・・。
 どちらの言い分もわかります(どっちも自分だからね)。
 う~~~ん、どうするか・・・?
 悩んだ自分がふと視線を前に向けると、屋台で焼き鳥を焼いているおばちゃんが目に留まりました。そしてそのおばちゃんは軍手をしています。
 よし、賭けよう!そう思いました。
 このおばちゃんに軍手を分けてもらえるかどうか交渉して、分けてもらえたらトンカラリンにチャレンジする、断られたら帰る、そうしよう。
 何だか随分と自主性に欠けた決断をしましたが、そのときはそう思ったのです。
 あの~、と自分はおばちゃんに声を掛けました。
 はい、いらっしゃい、とおばちゃん。
 うわ、自分のことを客だと思ってるよ(当たり前だけど)。
 自分はおばちゃんに事情を説明して、手袋が余っていたら分けてもらえないか、と交渉しました。
 最初は怪訝そうに聞いていたおばちゃんだったのですが、最後には苦笑しながら「古いのでよければいいよ」と快く軍手を差し出してくれました。
 こうして自分はトンカラリン攻略のための最終アイテムをゲットしたのです。

 こうなれば、四の五の言ってられません。
 あとはもうチャレンジあるのみです。
 道の駅から遺跡の方に今度は車で移動し、隧道の入り口の前に立ちました。


   


 いざ、ここに来て、やはり自分がビビっていることに気がつきました。
 蛾は光に向かう習性がありますが、それは人間も同様だと思います。少なくとも暗闇へと進むことを本能的に忌避するのではないでしょうか。
 自分は大袈裟でも何でもなく持てる勇気を全てを振り絞って、隧道の内部へと進入しました。

 隧道は入り口からすぐに狭くなっていて、腰を屈めるだけじゃなく、這いつくばらないと進めないようになっています。
 しかも進む先は真の暗闇なのです。
 
 遺構自体は全長が四百メートル以上あるのですが、このとき自分がチャレンジした隧道は、距離で言えば、二十メートルか、三十メートル、それぐらいだと思います。
 しかし、光がまったく届かない空間の二十メートルは長いですよ。
 いくら進んでも進んでも前方から光は見えてきません。
 あれぇ、こんなに長かったっけ?
 マジで焦りました。パニックになる一歩手前でした。
 普通に歩けば、一、二分で行ける距離が無限にも思えましたね。
 前方から光が見えてきたときはどうしようもなく笑いがこみ上げてきました。


   


 これが自分が脱出した隧道の出口。
 脱出したときは本当に狂ったように笑いが止まりませんでした。人に見られなくて幸いでした。
 これまで遊園地などで体験した、どのアトラクションよりもスリルがありました。まさに極限のスリルが味わえましたね。

 九州は熊本の玉名にあるトンカラリン遺跡は個人的に非常にお薦めです。
 ただし、ただ観光するだけなら限りなく退屈なシロモノです。実際に隧道行軍にチャレンジする勇気と無謀さがある人のみ、是非一度訪れてみて下さい。
コメント (4)
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