この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

賛否両論分かれるであろう『メッセージ』。

2017-05-21 20:43:37 | 新作映画
 ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、エイミー・アダムズ主演、『メッセージ』、5/20、Tジョイ久留米にて鑑賞。2017年19本目。


 ドゥニ・ヴィルヌーヴは自分にとって不思議な映画監督です。
 これまで劇場で観た彼の作品、『灼熱の魂』、『プリズナーズ』、『ボーダーライン』は世間的な高評価に反比例して、そんなに面白いとは思えなかったんですよね。
 どの監督の映画を面白いと思うかは個人の自由なので、ドゥニ・ヴィルヌーヴ作品を面白くないと思うのも自分の自由ではあります。

 ただ、面白くないと思う一方で、なぜか新作はチェックして、この『メッセージ』も早くにムビチケを購入していました。
 おそらく間違いなく『ブレードランナー2049』も観に行くでしょうね。
 本当に不思議な監督だと思います。

 本作は宇宙人とのファーストコンタクトを題材にした作品です。
 宇宙人、果たしているんでしょうか?
 宇宙人がいると考える人はだいたい次のような主張をすることが多いです。
 宇宙は広い、だから宇宙人はいるはずだ、と。
 宇宙は広いから宇宙人はいる、という主張はほとんど根拠がないと言ってよいと思います。
 宇宙の広さを宇宙人がいる根拠にするのであれば、こちらは生命が誕生する確率の低さで宇宙人の存在を否定するまでです。
 地球が誕生してからおよそ46億年たちますが、その間生命が誕生したのはただ一度だけですからね。
 水さえ存在すれば生命が誕生するわけではないのです。

 何だ、コイツ、宇宙人の存在を否定しやがって、と思われるかもしれませんが、そうじゃないのです。
 宇宙人が存在すると主張するのであれば、宇宙の広さ以外の根拠を示してくれよ、と思うのです。
 別に自分も宇宙人の存在を信じたくないわけではないですから。

 さて、繰り返しになりますが、宇宙は広いです。
 しかしこの広さこそが厄介なのです。むしろこの宇宙の広さによって宇宙人の存在は否定されるといってもいいぐらいなので。

 この宇宙のどこかに宇宙人がいる、そしてこの地球にやってきていると仮定します。
 間違いなく言えるのは、その宇宙人は光の速さを越える移動手段を有しているということです。そうでないとそもそも地球にやって来れないですからね。
 我々人類がそれを有するのはいつの日のことでしょうね?千年後?2千年後?3千年後?
 自分は科学者でないので正確なことはわかりかねますが、千年ぐらいの短期間で人類が光の速さを越えられるとは到底思えません。
 なので、我々人類と、今地球にやってきている宇宙人との文明レベルの差は千年や2千年では利かないと言えます。

 また宇宙人が地球にやってきているとして、その目的は何でしょう?
 まず真っ先に否定されるのは侵略です。
 何しろ宇宙人は我々より千年以上文明が先に進んでいますからね。
 宇宙人がその気になれば、侵略は一瞬で終わるでしょう。
 我々が侵略されていないという事実こそが宇宙人の目的が侵略ではないという何よりの証拠なのです。

 他にはどんなものが考えられるでしょう?
 観光?私たちがハワイに行くのと同じ感覚で宇宙人は地球にやってきている?
 観察?宇宙人は我々人類が成熟するのを気長に待ってくれている?
 どちらもあり得ないですよね。
 宇宙人にそれをするメリットがあるとは思えません。

 もし我々が、宇宙人が地球にやってくる目的を一つも挙げることが出来なければ、そもそも宇宙人はいるのだ、などと主張する資格がないと自分は考えます。

 映画『メッセージ』の中で、宇宙人がなぜ地球にやって来たのか、その目的が明かされたとき、自分は、なるほど、と思いましたよ。
 また、宇宙人は時間に関する概念が我々のそれとは違う、と説明されたとき、ほう、と感心しました。
 時間に関する概念が違うのであれば、千年や2千年の差も大して意味がないですからね。
 これらのことから、『メッセージ』は正統派のSF映画であると言ってよいと思います。

 賛否両論分かれる作品ですが、自分は観て満足しました。
 原作も読んでみるつもりです。


 お気に入り度★★★★、お薦め度★★★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
コメント
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