けんきゅうきろく(と、あともうひとつ)

レアル・マドリー、リーガエスパニョーラ関係の、なんとなく気になるニュース。

一時代の終わり

2006-08-15 22:15:46 | football
今日はとてもエモーショナルです。

早朝にそのニュースを知って、驚きと共にとても残念で寂しい気分になりました。「モナジャポ」でも記事にした、ジコスの移籍のニュースです。

ASモナコのボランチ、ギリシャ人のアンドレアス・ヴァシリス・ジコス、通称アキス・ジコス。32歳。
ジコスって誰? ってくらいマイナーかもしれませんが、03/04のモナコ大躍進を支えた中の1人です。印象深いシーンといえば、本人は嫌がるかもしれませんが、セミファイナルのチェルシー戦1stレグで、マケレレの罠にかかって退場させられた辺りか。ここでも時々記事にしていた、私の好きな選手のうちの1人です。唯一私がそのサイン入りユニフォームを持っている選手でもあります。

アグレッシブかつ堅実な中盤の守備の人で、アルゼンチン人のルーカス・ベルナルディと2人で勤め上げる中盤の守備は、期間が長いこともあってベストの組み合わせだったと思っています。アグレッシブで、アグレッシブゆえによく黄紙や赤紙を貯めては試合から消えていましたが、ま、それはアキスもルーカスも一緒か。


03/04の戦友、ロテンと敵として戦う(05/06シーズン)

03/04以降、次々とファイナル経験者たちがチームを離れる中、モナコが思い通りに戦えない中でもベテランらしく安定した存在でいました。守備が足りなかった時はCBまでこなしたり、かと思えばミドルシュートを決めるなど攻撃も嫌いじゃなかったり。
1990年代後半はギリシャ代表としてもプレイしていたジコスですが、オットー・レーハーゲルと折り合いが非常に悪く、モナコ所属になった後は召集されず。ギリシャ代表には縁が薄かった。
ピッチの上ではアグレッシブで、レーハーゲルや前所属のAEKアテネの会長など一部人間関係に問題を抱えていましたが、インタビューや話すところを聞いていると非常に穏やかでジェントルな人でした。

契約は2007年までで、辞めるにしてもギリシャに帰るにしても、その契約を全うしてからだろうと思っていました。今シーズンも赤と白15番のユニフォームを身に着けたジコスが、ルイIIで戦うはずだと。
しかしそれが、突然の移籍。移籍先は、モナコに来る前に所属していたAEKアテネ。昨シーズン終盤の負傷が未だ癒えていないこと、監督が代わり新しく若い選手が加入していること、子供をギリシャに残していること、年齢的な問題と先行きのこと。いろいろ考えた結果出した答えだったのでしょう。モナコ側はジコスの契約を解除し、フリーで移籍できるようにしました。ジコスに対するクラブ側の敬意が感じられる、良い計らいだと思います。

少し前のインタビューでは、キャリアを終わるならモナコかAEKで、引退して必要とされたらモナコのスタッフもあり得ると答えていたジコス。それでもまだ引退するわけではありません。希望通りの場所、故郷に戻ってまだしばらくは戦い続けてくれる。AEKアテネは現在CL予備予選を戦っており、1stレグが終わった時点でリード。本戦に出てくれば、ユニフォームが違うジコスを見ることができるかもしれません。今はそれを楽しみにしています。


夢がかなわなかった03/04ファイナル


ジコスがチームを出て、これで03/04を中心になって戦った選手で残っているのは、GKフラヴィオ・ローマ、DFガエル・ジヴェ、MFルーカス・ベルナルディ、MFヤロスラフ・プラシルの4人だけになりました。あれからわずかに2シーズンが過ぎ、残ったのはたったの4人。ジコスの移籍を知った後の現地のフォーラムでは「サイクルが終わったんだ」という言葉がしばしば見られました。
昔を知っているわけではありませんが、これまでモナコに所属した選手たちの名前の華やかさを考えると、モナコというクラブの特徴が出ているように思います。育ち働き老いていく場所ではなく、やって来て滞在して旅立っていく場所。ジコスの移籍が発表された翌朝には、新しい中盤の選手ヤヤ・トゥレの獲得が発表されました。短くせわしないサイクルでフットボールの世界は動いていきます。切ないですね。