8日に行われるバレンシア戦は、今季ベルナベウで行われる最後の試合。この試合で、アルベロアがマドリディスタたちに別れを告げる、とMARCAが報道しました。またアルベロア自身の
インタビューも掲載されています。以下、試合までに終わるかわかりませんが、できるところまでアルベロアのインタビューを。
その前に、所感。
昨シーズン末でも退団?といった空気が報道にはありましたし、今季は右ラテラルに1人補強があって、アルベロアの出場機会はかなり減っていました。また出場機会があっても、少々危なっかしいところも……その時が来たのだなと思います。以下インタビューを読んでいくとわかりますが、過去に実績があったからといって残ることができるクラブではないということ、アルベロア自身よくわかっているだろうと思います。
その時が来たか…と冷静に思う一方で、マドリーに再加入して以来のアルベロアにまつわる諸々は、おそらく近年最強のマドリディスタと言って良いほどのエピソードに溢れている気がして、やっぱり寂しい、惜しい気持ちです。パッと思い出せるエピソードというと最近のことばかりですが、ベンゼマが例の恐喝問題で全世界から叩かれている時に真っ先に「お前の側にいるよ」ってインスタを掲載したり、最終的にはマドリディスタたちに徹底的に嫌われたモウリーニョにも、世話になった・敬意を抱いていると親交は変わることがなかったり。2年前に国王杯を取った時、負傷とリハビリで現地に行けなかったヘセのユニフォームを表彰式に持ち込んでいたり、優勝パレードでラウールの応援マフラーを掲げていたり…仲間への忠誠心、愛情も人一倍。マドリディスモを馬鹿にされ傷つけられれば、これでもかとピケとTwitterで嫌味合戦。みっともない・子供っぽいと言われても、許せない一線を越えられたら率先して声を上げる。あと、ロッカールームで声を出すのも。ロッカールームの映像はなかなか見られませんが、最近だとクラシコの後とか、あと以前デシマの試合前の準備をしている間(
この映像は必見)、仲間を鼓舞する声出しをずっとしていたアルベロア。それが、いなくなってしまう……。
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Q:ベルナベウで、レアル・マドリーとしてのラストゲームを迎えますね。
A:そうだな、正直にいえば、そのことについては考えたくなかった。でも実際、昨日の朝目が覚めて、僕がベルナベウでお別れをするというMARCAの記事を見て、それからSNSのメッセージを見て、髪が逆立つようだった。スペシャルな日がやってきたとわかった。でもそれまでは、考えたくなかったんだ。
Q:寂しさと喜びとが混ざったような気分か、それとも別れを辛く感じているか。
A:人生の最良のものを後に残していくということでは、寂しくて憂鬱な気持ちだよ。たとえどこへ行ったとしても、僕がここで得てきたような幸福を見つけることはできないだろうとわかっている。でも、来るべき時が来たということ。喜びをもって、ファンとクラブにさようならを言うことができる。それは最高なことだよ。
Q:チームを離れることについては、じっくり考えたことでしょうか。
A:そうしないで来たんだ。今こういうことになって、受け入れようとしているところ。でも、ちょっとナーバスになっているよ。
Q:ベルナベウでのお別れでどのようにしたいか、考えたことはありますか。
A:第一に望むのは、試合に勝利してリーガのタイトルを戦い続けるということ。それで、試合が終わったら、ピッチの中央に出て行ってファンにお別れを言う。こんなにも愛してくれたことに感謝したい。それで僕は幸せだろう。
Q:泣いてしまう準備は。
A:そんな準備はできてないし、泣かずにいたいよ。でももし泣いてしまっても、それは幸せだからだ。間違いなく。僕はいつも落ち着いて自分の感情を隠す人間だから、その場でどうなるかわかるだろう。
Q:「エスパルターノ」の最もか弱いところを見るわけですね。
A:(笑って)そうだね、いろいろな感情が集まる瞬間になるだろうし、それをどうしたらいいか難しいだろうな。でも、すべてナチュラルな状態でいたいよ。
Q:アルベロアのマドリーでの冒険を終わりにさせるものは何でしょうか。あなたのキャリアにおいて最も難しい時というこでしょうか。
A:7年間もいられたことは嬉しいし、こんなにも長くこのクラブにいられるとは、その時には全く思っていなかった。振り返ってみても、感じられるのは誇り、プライドだけだ。マドリーを離れるのは決して容易なものではないから、僕にとっては寂しい瞬間だ。でも振り返ってみれば、満足と誇りを感じられる。これまでの僕の人生で本当に幸せな時間だった。
Q:すべてを勝ち取ってきました。名誉に感じているのでは?
A:もちろん。マドリーでプレイすること、それが名誉なことだ。おそらく、1人のフットボール選手として得られる最高のこと。僕にとっては、最上のことだった。マドリーでプレイし、毎日バルデベバスでトレーニングすること。このユニフォームを身につけることが、毎日の喜びの源だったし、おまけにタイトルを得る幸運にも恵まれた。それにすべての監督たちからのサポートも得てきた。ペジェグリーニ、僕が敬愛するモウ、カルロ、ラファ、そして子供の頃のアイドルだったジダンも。もちろん、世界最高の選手たちと毎日トレーニングできたことも。名誉であり、チャレンジだった。僕は多くのものを勝ち得てきたけど、レアル・マドリーでの毎日ほど幸せに感じられるものはないよ。
Q:私たちは、あなたがマドリーを離れることについて話していますが、契約の更新や、最後に状況が変わる可能性は。
A:そう、役立つ存在だと感じていたいし、今シーズン多くの時間ではピッチの中で主役になりたかったのにできなかったから、辛いことだ。過去の経歴によってマドリーにいるわけにはいかない。未来に貢献できるだけが、いることができる。さようならを言う時だし、僕がそれを言うのに正しい時だと思っている。
Q:エスパルターノのいないレアル・マドリーは、何かを失っているようなものだと信じているマドリディスタが多くいます。ロッカールームでのあなたの姿は大切なものでした。
A:僕は大きな遺産をチームの仲間たちに残していくよ。マドリディスモの素晴らしい守り手たちがいるんだから。ラモスやカゼミロ、カルバハル、ナチョのように…それに外部から来た選手たちも、まさにマドリディスタだ。モドリッチのように、ここへきた最初の日から彼はそうありたいと望み、このクラブを守ってきた。僕がそうしてきたように、マドリーを守って欲しい。
Q:マドリディスタについて言いたいことは。
A:この年月で、僕、そして僕の家族が受けた愛情に対しては、ただ感謝するだけだ。彼らには、永遠の恩義を感じている。そしてこのエンブレムを何があっても守っていく、常に白の人々に拍手喝采を送る。
Q:あなたのことを、どのように、どうやって覚えていてほしいと思いますか。
A:何年も前に1人のファンとしてここへやってきて、4階席から試合を見ていた。幸運なことにピッチを歩くことができ、やがてピッチの中でレアル・マドリーを守る者となった。僕は、君たちの中の1人だよ。
Q:あなたがマドリーをより守っていたのが、ピッチの中でのことか、ピッチの外でかわかりません。プレイすることを決してやめないことが、常にクラブを守るための手段とも言える。
A:ピッチの中での方が僕はより幸せだった。自分がプレイしてきたすべての試合、多くのビッグゲームで重要な存在を担えた。ピッチの外では、僕はレアル・マドリーの選手なら誰でもそうすることを果たしてきた。
Q:あなたはマドリディスモのシンボルになりました。今現在、誰がチームの中で「ニュー・アルベロア」になり得るでしょうか。ロッカールームで重要であり、カンテラを代表できるのは。
A:わからないよ。確実なのは、多くのファンが僕の気持ちを反映してくれてきたこと。彼らは僕がすることをしていた、つまりこのクラブを守るということを。彼らはそれを自分たちなりのやり方でやっているし、僕自身もそうだ。僕がよりそこに集中していたというのは本当だけれど、彼らも彼ら自身でマドリディスモを守っていたと感じているだろう。
Q:このクラブには、より情熱的にクラブを守る人物が必要だと思いますか。
A:ブトラゲーニョがその仕事を十分に果たしているし、彼はそれを見事に現している。でも、マドリーでは情熱的にやるということが、特に大変というのも確かだ。マドリーのための物差しと、それ以外の世界のための物差しがあるから。それこそが、ファンに辛い思いをさせているものだと僕は思っている。だから確かに、時には、不公正なことから守ったり、このクラブに対してどういう扱いをするか世界に示すために、声を上げる人がいなかったりする。イエスだと思う、これがマドリディスモが持っていないことだ。
Q:レアル・マドリーのカピタンになるということが、心残りのトゲになっていますか。
A:ノー。そうなれば名誉なことだっただろうが、キャプテンマークにふさわしい仲間がたくさんいる。
Q:マドリーのロッカールームをリードしていくのに、ラウールがお手本になっていたでしょうか。
A:ラウールからは、僕はいつもお手本になることでカピタンでありたいと思い続けていた。彼は常に最初にウォームアップを始めていた。より熱心で、誰よりも真面目で、最初にやってきて最後に帰っていく…それがラウールのやり方だ。言葉や何かよりもね。今シーズンは僕にとって難しい年だったけれど、ベストのプロフェッショナルでいるよう努力してきたし、決して諦めなかった。
Q:マドリーでの年月で思い出すことは。
A:たくさんあるから…でも、楽しむことよりも、勝利を求められるが故に厳しい日々を過ごした。そういうのは、常に行うには不可能なものだけれど。
Q:何か後悔していることは。
A:どちらとも言えない。わからないけど、でもはっきりと、誠実な思いがある。僕は、みんなと同じようにやってきたと考えている。
Q:「ともに行こう、ともに死のう」、レアル・マドリーでのあなたのモットーです。
A:そう、僕たちみんなが一緒であれば僕たちはもっと強くなれる、これがファンに向けて表明するやり方だ。成功は皆のものだからね。
Q:モウはあなたにとって特別な存在でしょうか。モウリーニョが就任した前と後のアルベロアに違いは。
A:マスコミ的にはそうだろうね。確実に、僕に対するマスコミの対応は、その意味では大きく変わったから。でもモウは、フットボールの側面だけではなく、人間としても僕をサポートしてくれた。自分の考えを口にするのを恐れるな、自分のクラブを守ることを恐れるな。それが、ジョゼが僕に残してくれた遺産であり、常に感謝を感じることだ。周囲からの尊敬を失ったということについては、彼にも悪い部分があったのは本当だ。でも良い点は、自分が正しいことをしているとわかって、誠実な気持ちで日々休むことができるということだ。
Q:モウリーニョの言葉で覚えているのは。
A:彼が言っていたのは「”紳士たること”とは、ピッチの中で死ぬということであり、安っぽい哲学ではない」と。これこそ、彼のパーソナリティと、マドリーとは、そのフットボールとはをはっきり表している。
Q:SNSでの今の状態はどう説明できますか。
A:思うのは、人々が、アルベロアとはこうやってクラブを守ろうとしている、と見ていること。結果として僕自身にいろいろな因果が起きたとしてもね。でも、僕は自分がしなければならないことをした、何よりもクラブを守るということを。
Q:あらゆるギャラクティコとプレイしてきました。最も印象深かったのは。
A:夢のようだったね。ラウール、ジダン、ロナウド、ロベルト・カルロス、フィーゴ……まだ20歳で、テレビで見ていたよ。それからフロレンティーノの2度目の就任があって、クリスチアーノ、カリム、カカがいて…世界最高峰の選手たちだ。こうした最高の選手たちとトレーニングできるのは、幸運でありチャレンジでもあった。僕にしてみれば、これも1つのタイトルだったよ。彼らを見て言うんだ、「どうやってそんなに上手にフットボールができるの?」と。口をぽかんと空けてしまうよ。
Q:すぐ近い将来はどうしますか。もっとプレイするつもりですか。
A:プレイし続けるよ、それははっきりしている。トレーニングもプレイすることも好きだし、身体が無理になるまでは続けたい。僕が成し遂げたいことの1つに、マドリーの指導者になってファイナルまで行き成功をおさめるというのがある。でもまだ何もない、来シーズンどこにいるかはわからないよ。
Q:あなたのマドリーとのお別れは、リーガとCLのダブルという大きなものになる可能性があります。
A:夢に見るようなお別れだね。アトレチコと戦ってウンデシマを勝ち取る…それ以上は望めないエンディングだ。でも、僕たちの前に立ちはだかっているのはとても大きなチャレンジだ。僕たちは、ベストな時代にあるライバル、おそらく今現在ヨーロッパで最強であろうチームについて話しているんだ。アトレチコに勝ちたいのなら、パーフェクトな試合をするだけではなく、僕たちの命を懸ける試合になる。
Q:ロッカールームの仲間は、ダブルの可能性を考えていますか。それとも皆、ミラノでのファイナルに集中しているか。
A:僕たちは、リーガで残っている2つの試合に勝つことに集中することの重要性について話し合っている。それ以上のことはない。僕たちが自分たちの仕事をすれば、結果が見えてくるだろう。物事は起こるものだし、リーガでも何事も起こり得る。
Q:アトレチコとの新たなファイナルを、チームはどのように受け入れていますか。
A:自分たちの目の前に、壁、障害となるもの、大きな石が立ちふさがっていることを理解している。僕たちのベストを尽くさねばならない。彼らは大きな自信を付けている。リーガでは僕たちの上位にいて、しかも今シーズンは僕たちよりも多くの補強資金を使ったほどだ。彼らが自分たちが優位だと感じる理由はたくさんあるし、僕たちにしてみれば彼らを倒すためにはすべてを尽くさねばならないと理解するだけの理由がたくさんある。
Q:リスボンで勝利した経験はアドバンテージなのでは。
A:そうであればと願っているよ。彼らには、マドリーに再びファイナルで敗れたらどんなに辛いかという不安があるかもしれない。それに確実に、試合の最後の瞬間まで僕たちが息をしている、ということを考えるだろう。彼らにとっても大変な試合になるだろうし、僕たちがファイナルに来ることを望んでなかったはずだ。
Q:アトレチコは、カップを取れなかったとしても、上昇し続けているという感触を与えています。
A:リスボン以来、彼らは多くの試合を勝っている。でも何よりも重要なのは、僕たちが勝つこと。チチャリートのゴール(昨シーズンのCL)が思い出されるよ。でも僕たちは、彼らが非常に強いチームであり、大きな自信を得ているということを理解している。僕の考えでは、ファイナルはイーブンだ。彼らは、何年も一緒にやって来た仲間で一体になっていて、一方で僕たちのジダンは、就任してまだ数か月だ。彼らには多くのアドバンテージがある。でも良いこともある、それは僕たちがマドリーだということだ。
Q:対戦相手がアトレチコであり、彼らに敗れる可能性があるということが、さらなるプレッシャーとなっているでしょうか。
A:ノー。チャンピオンズ・リーグのファイナルだ。幸運なことに僕たちはデシマを手にしたけれど、手にできなかった彼らが再び僕らと対戦するというのは、よりプレッシャーだろう。僕たちは既に1度勝っているのだから。おそらく彼らの方がよりプレッシャーを感じるだろう。でも試合の中では、何事も起こり得るんだ。
(了)