午後、強烈に暖房が効いた部屋。窓際の席には日差しが燦々と降り注いでいる。その日差しをまともに受けながら、僕はひどく汗をかいている。眩しい。眩しすぎる。。。
教室にはざっと数えて130人ほどの人がいる。130人ほどの大人が、静かに講義を聞いている。ちらりと辺りを見回すと、何人かは寝ている。僕も睡魔と戦い続けている。6時間も。
昨夜はとうとう眠れなかった。早起きのプレッシャーのせいかもしれないが、昼間に2時間ほどウトウトと眠ってしまったせいである。俗にいう、調整失敗というやつである。
例えば長時間の運転とか、例えば長時間の講義とか、そういうのの前にはたっぷりの睡眠が必要なのである。そんなことは分かりきったことなのに・・・である。
130人の受講者の中で、ただ一人、懸命にノートをとる人物がいる。それは僕である。大して興味のある内容ではないし、重要なことであるとも思えないのだが、ただひたすらにペンを動かし続けているのである。
周りの人はこう思ったことだろう。「こいつ、なんてやる気のある奴なんだ!」
でも違う。やる気なんかない。これは、僕の、眠らないための作戦なのである。
そのうちに、僕は木工細工の設計図を書き始めた。デッサンである。「ここは2300ミリだとして、そうするとここに450ミリの筋交いが必要になるから・・・」といった具合である。それもすべて、眠らないための涙ぐましい努力なのである。
なぜなら、講習の最後にテストがあり、テストでひどい点を取った人には罰を与えると、冒頭の挨拶で先生が述べていたからである。
6時間。昼休みを入れて7時間。
講義の最後にテストが行われた。眠らなかったのは、このテストのためでもある。
配られたテストを一瞥して思った。「やっぱりな」。至極簡単な、誰でも分かるような問題が五つ。まぁ、そんなことだろうとは思ったけど。
そして講師の先生が言う。
「わからない問題があったら、テキストを見ていいですからね」
・・・もう、テストですらないじゃないか。。。
まぁ、そんなことだろうとは思っていたけどね。
そんなわけで、睡魔との6時間の格闘の末、手に入れた資格であります。
「食品衛生責任者」
飲食店でよく見かける、あの黒いボードも頂きました。はい、なんだか感慨深いのです。
家に帰ってきて、チラッと黒いボードを見るたびにこう思っているのです。
「で、これ、どうすんの?」
使い道、あるのかなぁ?