ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

珈琲はいかが?7

2016-02-27 05:52:29 | Weblog
ブラジルのサントス港から出荷された珈琲豆は、すべて「ブラジルサントス」という名で呼ばれる。

「ブラジル NO.2 M18」という銘柄の珈琲豆がある。これは名前なのだろうか?
ブラジルの珈琲豆のランクはNo.2が最高評価。なぜなら、自然のものである限り、完璧なものはありえない。つまり欠陥豆が混入している可能性は否めない。してからに、No.1は無しにして、No.2が最高評価となっている。M18は珈琲豆のサイズを表す。M18より大きい豆はM19。
ということは、「ブラジル NO.2 M18」にも、「ブラジルサントス」の中にも、珈琲の種類の名前は入っていないということになるのだが・・・。

例えば、この珈琲を飲んで、この珈琲が好き!となって、この珈琲を買いたい!とか、また飲みたい!とか、人に薦めたい!とか思った場合、どうしたらいいのだろう?

ブラジルのどこの農園のなんていう種類の珈琲豆?
と聞かれることになるんじゃないのか?

というのが、最近の悩み。


ボスキャラのおば様がいる珈琲豆専門店の話。

コロンビアってコーヒーはないとか、ブラジルって名のコーヒーはないとか。
よくよく考えてみればそうだ。キリマンジャロはタンザニアのコーヒーだし、ブルーマウンテンはジャマイカのコーヒーだし、マンデリンはインドネシアスマトラのコーヒーだった気がする。

コロンビアとかブラジルって、おかしいじゃないか。そりゃあそうだよ、おかしいじゃないか。
まぁいい。ひとつ勉強になった。

おば様は畳み掛けてくる。

「珈琲、好きなのね?なんの珈琲が好きなのかしら?」

ここでおかしな回答をするわけにはいかない。もう既に出鼻は挫かれている。
何も知らない素人だと気づかれてしまう。
いや、僕は何も知らないトーシローではないはずだ。
長年培ってきた「エセコーヒー好き」というプライドだってある。
いや、最近はほんとに、コーヒーが好きなのだ。
美味しい珈琲に目覚めたのだ。
大体からにして、「美味しい」なんていうのは主観なわけで、自分が美味しいと思えば美味しいわけで・・・。
そうそう、ポツネン珈琲スタンドの珈琲は美味しいと思うわけで。
始まったばかりのニュー珈琲ライフを、僕は存分に楽しみたいわけで。
いやぁぁぁぁ、ダイジョウブかしらぁぁぁ。

「同じ轍は踏まない」
これは、重要なことである。
ここで「ブラジル」とか「エチオピア」なんて言わない。
だからといって、守りに入ったりはしない。
いつも正直に、いつも等身大で、が信条。

一応、心の中で確認する。

キリマンジャロは大丈夫だよな。

キリマンジャロって言っても大丈夫だよな。

前にも書いたが、最近、キリマンジャロをよく飲んでいる。
スーパーマーケットで買ったクズ豆もキリマンジャロ。ポツネン珈琲スタンドで買った豆もキリマンジャロ。

大丈夫、大丈夫。僕は答える。

「キリマンジャロ、好きです」

へへへ、言っちゃった。キリマンジャロ、ラブ。
へへへ、キリマンジャロ、美味しい。


おば様の反応である。

まず、はぁぁ、とため息をつく。

なぜだろう。

そして言う。

「うちの店はキリマンジャロは置いないのよ」

なぜ置いていないのだろう。なぜだろう?

「なんでですか?なんで置いてないんですか?キリマンジャロ!タンザニアのキリマンジャロ!」

と僕は問う。おば様に問う。

おば様は一言、こう言った。

「だって、美味しくないから」


僕はさ、その時、凍ったみたいだよ。
カチコチーン、ってね。
人って、凍るんだね。
ビックリしたよ。

そして、僕は、その瞬間から、おば様の弟子になったと。

そういう話。

言ったよ。本当に。
「弟子にしてください!」って。

心の中で。

つづく。