米国では9月下旬に南アフリカからの帰国者にエボラ出血熱の感染が確認されて以降、二次感染が拡大しています。
エボラ出血熱が看護師に二次感染し、不安が広がる米国では、10月21日に開催された感染防止の講習会に医療関係者ら6000人以上が集まったとのことです。
講習会では、防護服の着方や脱ぎ方の実演があり、上着などを1つ脱ぐたびに手袋を消毒する必要があるという注意がありました。
テキサス州で二次感染した2人の女性看護師の感染防止策が不十分だったと問題になっていて、不安も広がっているようです。
パンデミック(pandemic;世界流行)とは、ある感染症(特に伝染病)が、顕著な感染や死亡被害が著しい事態を想定した世界的な感染の流行を表す用語です。
組織の従業員が感染症にかかると、その人が担当していた業務だけでなく、関連する部署の業務も停滞してしまいます。組織運営に必要な人が感染症にかからないようにすることと、万一感染してしまったときに、それを拡散させない方法・手段、感染者に替わって業務を行うことができるように従業員のマルチ能力化など、天変地異とは別の“人”に対するBCP・BCMが必要になります。
世界保健機関が警戒する感染症には、炭疽、鳥インフルエンザ、クリミア・コンゴ出血熱、デング熱、エボラ出血熱、ヘンドラウイルス感染症、肝炎、インフルエンザ、2009年のインフルエンザ(H1N1)、ラッサ熱、マールブルグ熱、髄膜炎症、ニパウイルス感染症、ペスト、リフトバレー熱、重症急性呼吸器症候群 (SARS)、天然痘、野兎病、黄熱病の19疾病があります。
殆どは、国内で発生するのではなく、発生地域への海外渡航者の入国によって感染が拡大します。これらの感染症は、潜伏期間にある感染者を入国の水際で検知することは困難であるとされています。偏に帰国者の意識に頼られるところとなります。
事前の策としては、感染症が発生していると危惧される地域への旅行は控える。事後の策としては、帰国後の行動範囲を極力縮小するといった自粛策の実施くらいしか対策が無いのが実情です。
≪最近のパンデミック≫
●新型インフルエンザ 2009年4月~
このインフルエンザは、「A型H1N1亜型インフルエンザ」、「新型インフルエンザ」、「swine flu」、「H1N1 flu」、「A/H1N1 pdm」(国立感染症研究所の表記)とも呼ばれる。今回の流行はパンデミック2009H1N1とも表記される。このウイルスの名称は、「A(H1N1)pdm09」です。
2009年4月にメキシコでの流行が認知された後、世界的に流行したとされる。2009年6月12日、世界保健機関(WHO)は、世界的流行病(パンデミック)であることを宣言し、警戒水準をフェーズ6に引き上げました。
治療薬の「タミフル」(tamiflu)」という名称も、全国民が一躍知るところとなりました。
●デング熱
デング熱(dengue fever, breakbone fever)とは、デングウイルスが原因の感染症であり、熱帯病の一つ。2014年現在、実用化されている予防ワクチンはまだありません。
感染したときの症状には、発熱・頭痛・筋肉痛・関節痛などがあり、はしかの症状に似た皮膚発疹も発症します。治療方法は対症療法が主体となっています。
ネッタイシマカ(Aedes aegypti)やヒトスジシマカ(Aedes albopictus)などの蚊によって媒介されると考えられています。
2014年8月に東京都の代々木公園と周辺を訪れた人にデング熱の感染が広がりました。1945年以来69年ぶりのことです。
今回の流行は、海外で蚊に刺されて感染した人が代々木公園で複数の蚊に刺され、その蚊が公園に来た他の人を刺すことで広がったと推測されています。
一方、10月以降、代々木公園やその周辺に立ち寄っていない人の感染が千葉や広島で確認されるなど、10月上旬で160人以上の感染が確認されています。
ウイルスを媒介するヒトスジシマカは温帯の日本では10月いっぱいで死に絶え、越冬しません。国立感染症研究所の沢辺京子・昆虫医科学部長は「卵を通じ、翌春に羽化した蚊がウイルスを持つ可能性はゼロに近い」と話しています。
●エボラ出血熱
エボラ出血熱(エボラしゅっけつねつ Ebola hemorrhagic fever、または エボラウイルス病 Ebola virus disease - EVD)は、エボラウイルスを病原体とする急性ウイルス性感染症(高熱を発生し、消化器や花から出血する出血熱)。ヒトにも感染し、50-80%という死亡率を持つ種類も存在します。
起源はアフリカ中央部。コウモリが自然宿主とされています。
患者の血液、分泌物、排泄物や唾液などの飛沫が感染源となる。エボラウイルスの感染力は強いものの基本的に空気感染をせず、感染者の体液や血液に触れなければ感染しないと考えられています。
マラリア原虫を媒介するハマダラカが、吸血したての感染している人の血液を媒介しているという説が浮上しています。
---感染の拡大経緯---
・2014.3.22 ギニア
・2014.3.31 リベリア
・2014.5.27 シエラレオネ
・2014.7.27 ナイジェリア
・2014.8.31 セネガル
・2014.9.28 アメリカ(西アフリカ渡航帰国者)
・2014.10.6 スペイン(スペインへ搬送された患者の医療従事者)
日経新聞 2014/10/20 20:23
ナイジェリアでエボラ終息宣言 WHO
世界保健機関(WHO)は20日、ナイジェリアでエボラ出血熱の感染が終息したと発表した。同国では疑いのある人も含め20人が感染し、8人が死亡したが、最長潜伏期間の2倍に当たる42日間にわたり新たな感染者が出ていない。終息宣言はセネガルに続き2カ国目。リベリアなど3カ国ではなお感染拡大が続いている。
NHK NEWSWEB 2014/10/21 11:58
エボラ流行国からの全帰国者 健康状態の報告義務化
10月21日(水)、エボラ出血熱の感染が西アフリカで拡大していることを受けて、厚生労働省は、ギニア、リベリア、シエラレオネの3か国に滞在したすべての人に対し、帰国した日から3週間、健康状態に変わりがないか毎日、検疫所への報告を義務づけることになりました。
厚生労働省はことし8月以降、日本に到着する国際便の乗客のうち、ギニア、リベリア、シエラレオネ、ナイジェリア、コンゴ民主共和国の5か国に滞在した人が患者などに接触した場合は、検疫法に基づいて発熱などの症状がないか、検疫所への報告を義務づけています。このうち、感染が広がり続けているギニア・リベリア・シエラレオネの3か国に滞在した人については、厚生労働省は、患者などに接触していなくても全員に検疫所への報告を義務づけることを決めました。
報告する期間は、最長の潜伏期間に当たる帰国した日から3週間で、エボラ出血熱の症状の発熱や吐き気、それに出血などがないか1日2回、電話などで検疫所に報告し、症状が出た場合は、直ちに医療機関の受診を求めることにしています。
塩崎厚生労働大臣は「検疫所や保健所、医療機関などで連携して水際での対策を強化したい」と話しています。
【関係サイト】
○ 厚生労働省エボラ出血熱に関するQ&A